内科で診る不定愁訴-診断マトリックスでよくわかる不定愁訴のミカタ

  • ページ数 : 172頁
  • 書籍発行日 : 2014年11月
  • 電子版発売日 : 2016年8月12日
¥3,520(税込)
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商品情報

内容

不定愁訴に過度に振り回されず取り組むために―

不定愁訴は、現場には常に存在するが、系統だった考え方が存在しないという、一風変わった臨床状況である。
現場の多忙な臨床医にとってより実際的に整理し、実用レベルの記述に落とし込み、心療内科分野の本ではなく、あくまで内科学の指南書となるように書かれています。

序文

はじめに

「不定愁訴」とは,非常に医療者本位の言葉である(本書では,医療者=医師とする).患者が,不定愁訴を訴えて来院することはない.不定愁訴は,医師が不定愁訴とみなすことで初めて認識されるもので,実体はない.そもそも不定愁訴とは定義されないので科学的でなく,認識の段階で客観性も欠き,臨床研究も存在しない.もちろん,症候学の教科書で不定愁訴が症候リストに挙がることはない.不定愁訴は,現場には常に存在するが,系統だった考え方が存在しないという,一風変わった臨床状況であるといえる.

これまでにも不定愁訴をテーマとした本や雑誌の記事は存在した.しかし,その多くが「不定愁訴に耳を傾けよう」「不定愁訴に隠れた疾患を見逃さないようにしよう」「病歴をしっかり聴取しよう」といった個々の医師にとって具体的な実践に結びつかないものとなっている.ある程度は努力をうながせても,本当の意味で実際的でなく,原理のようなものを解説した記述でないからだと思う.海外発のものでは,どちらかというと内科的・器質的疾患が除外されたことが前提となっている雰囲気の内容である.実際の現場では,その除外の困難さが問題となっているというのに!「不定愁訴」について科学的記述をなすことは不可能である.しかし,その誰もとっつきたがらない愁訴とその周辺について深め,現場の多忙な臨床医にとってより実際的に整理し,実用的なレベルの記述に落とし込もうとする努力であるなら可能であると思い,本書を執筆することにした.心療内科の分野の本ではなく,あくまで内科学の指南書となるよう努めた.

本書の底に,(ともすると複数の医師に見放された?)救われない患者の心に寄り添い患者の健康のために尽くすといった種の崇高で美しい理念はない.われわれは,患者のことは本当の意味で理解はできない.ただし,自分達のことは制御できるし改善もできる.われわれはscientistの端くれであり,また臨床医という合理的な存在でもあるので,「内科学における知的好奇心」さえもっていれば,極論すれば患者に寄り添わなくてもプロとしてgood outcomeをもたらす潜在性はもっていると思われる.臨床医は実理が大事なのである.私の所属する国立国際医療研究センター病院 総合診療科では,不定愁訴患者に日々直面しているが,症例によっては治療可能な内科疾患を見出すことに成功できている.

本書の意図は,臨床医の先生方が,現場で「不定愁訴」に過度に振り回されず,疲弊せず,場合によっては興味をもって取り組んでいただくことにある.さらに,患者の診断がわかり症状軽快に結びつくならば担当医冥利に尽きるであろうし,著者としてこのうえない喜びである.患者という「不定なもの」を相手に,個々の担当医が本書を読んで「不定愁訴」に取り組むことで何かを得ようとするならば,それが本書の他書にない本領である.


平成26年10月

国立国際医療研究センター病院 総合診療科
國松淳和

目次

はじめに

1章 不定愁訴学総論

不定愁訴成立のための条件

不定愁訴を形成し複雑化させる因子

不定愁訴の多面性について--不定愁訴分類の試みと診断マトリックス

2章 不定愁訴診療実践編

総論から実践へ

不定愁訴診療 5つの原則

原則1 バイタル正常でも病気はありえる

原則2 CRP陽性を見過ごさない

原則3 全身疾患を想起せよ

原則4 感染症は少ない

原則5 認知機能の異常に注意!検査スクリーニング法の実際--不定愁訴から器質的疾患を見抜くために

3章 不定愁訴ケースファイル

01 何も病気ないんですか? 心配で心配で...。食欲も落ちてしまって

02 関節や腰が痛くて... 更年期かしら?

03 一緒に自営業をしている兄が倒れてから忙しくて...

04 とにかく口がかわいてしまって... やっぱり精神的なものでしょうか?

05 今回の頭痛はつらい。身動きがとれない。お母さんも頭痛もちでした

06 2〜3年前から足がふらつくんですよ...

07 2年前に駅の階段で転んでからずっとふらついちゃうんだよ

08 2週間前に母が亡くなり、九州の実家まで往復して大変だったんです。それに先月から夫が癌で入院していて...

09 5〜6年前から物忘れが進んできてます。認知症ですよね?

10 物忘れがひどくて... ふらふらするし、よく転んじゃう

11 精一杯生きたのでもういいですわ

12 震災後から眠れず、食欲もなくなってきて...

13 2週間前から苦しくなってきた。そういえば半年以上前からだるいです

14 ずっと熱があってだるいです。原因がわからないんです

15 ホント、メンタルが不安定です

本当の不定愁訴患者との面談のコツ

"本当の"不定愁訴とは

"本当の"不定愁訴患者との面談の実際

不定愁訴に思う

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書籍情報

  • ISBN:9784521739960
  • ページ数:172頁
  • 書籍発行日:2014年11月
  • 電子版発売日:2016年8月12日
  • 判:A5判
  • 種別:eBook版 → 詳細はこちら
  • 同時利用可能端末数:3

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