妊娠期の正常と異常 <Science and Practice 産科婦人科臨床シリーズ 2>

  • ページ数 : 392頁
  • 書籍発行日 : 2020年3月
  • 電子版発売日 : 2020年4月24日
¥22,000(税込)
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商品情報

内容

胚(受精卵)から始まるヒトの発生と成長を,妊娠初期・中期・後期のphaseごとにとらえ,流産,不育症,異所性妊娠,早産,妊娠高血圧症候群,常位胎盤早期剝離,多胎,胎児発育不全などの病態を科学的に解説.妊婦健康診査に役立つ胎児・胎児付属物(胎盤,臍帯,羊水)の異常とその対応,悪阻,妊娠糖尿病,悪性腫瘍合併妊娠など母体管理,さらに出生前診断,遺伝カウンセリングを紹介.

あわせて読む → 「Science and Practice 産科婦人科臨床シリーズ」

序文

近年,医療の標準化,さらにはその普及が叫ばれるようになり,国内外で多くのガイドラインが作成されています.こうしたガイドラインは,臨床試験によるデータを重視する医療,すなわちevidence‒based medicine( EBM)を重要な柱としており,通常,エビデンスレベルをもとに決定された推奨度が記載されています.ガイドラインによって,多くの医療者が,手軽に標準医療を実施できるようになり,大半の症例において,医師の能力を問わず,どこでも良質な医療を受けられるようになりました.一方,ガイドラインの普及は,疾患の状態が患者ごとにすべて異なっているという視点を失わせ,医療者が最適な医療を患者に施すために熟考することを忘れさせました.ガイドラインに頼るあまり,疾患の本質を考えず,記載された通りの医療を施すことが増え,結果として,その患者に最適の医療を施さないことが起こりうるように感じられます.患者への最適な治療法を考えるためには,疾患の背景となる生理学的,病理学的基礎知識が必要であり,疾患の発症機序と本質を理解していなければなりません.

周産期領域は,特にEBM が重視されている領域で,ガイドラインも国内外で数多く作成されています.専門性を問わず,大半の産婦人科医師が関わることが求められ,また正常に経過していた妊娠,分娩に突然異常が発生するリスクをもちながら,必ずしも十分な思考時間を取れないこともあって,産婦人科のなかで,最もガイドラインの有用性が高い領域といえます.しかし,それだけでは,時に患者を救えないことがあります.わが国の周産期医療が世界最高レベルであればこそ,それを維持するためには,医療体制だけでなく,個々の医師のレベルアップが必要です.

本書は,妊娠の生理,病理の基礎を明らかにし,それがどのようにして臨床に結びついているかを理解できるように構成いたしました.執筆者は,すべてわが国随一の専門家であり,本書を通読することにより,妊娠女性,胎児への医療の基礎と臨床を体系的に理解できるような優れた総説が収められています.ガイドライン適用の妥当性を自分で判断し,ガイドラインに合わない患者が現れても十分に対応できることをめざしました.本書が,日常診療の向上に役立つことを期待いたします.


2020年2月

専門編集 藤井 知行
東京大学大学院医学系研究科生殖・発達・加齢医学専攻
産婦人科学講座教授

目次

1章 妊娠の生理と栄養

胚と着床,胎生期の薬剤感受性

母体の変化

妊娠中の食事と栄養管理

2章 妊娠初期の異常とその管理

流産の病理

流産の処置

不育症

異所性妊娠(子宮外妊娠)

悪阻

甲状腺機能異常

3章 妊娠中期・後期の異常とその管理

早産の病理

早産の管理

妊娠高血圧症候群の病態機序

妊娠高血圧症候群の管理

HELLP症候群・急性妊娠脂肪肝

常位胎盤早期剥離

妊娠糖尿病

多胎

悪性腫瘍合併妊娠

4章 胎児診断

胎児超音波診断の基礎

胎児・胎盤の機能評価

5章 胎児・胎児付属物の異常とその管理

胎児異常概論

先天性心疾患-胎児心エコーによる評価

胎児発育不全

胎児治療

胎盤・臍帯・卵膜の異常

羊水量調節とその異常

6章 出生前診断と遺伝カウンセリング

出生前診断

遺伝カウンセリング


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書籍情報

  • ISBN:9784521747620
  • ページ数:392頁
  • 書籍発行日:2020年3月
  • 電子版発売日:2020年4月24日
  • 判:指定なし
  • 種別:eBook版 → 詳細はこちら
  • 同時利用可能端末数:3

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