伊東毒性病理学

  • ページ数 : 542頁
  • 書籍発行日 : 2013年7月
  • 電子版発売日 : 2018年7月27日
¥30,800(税込)
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商品情報

内容

毒性病理学を体系的にまとめたこの分野の必須の書。

本書「伊東毒性病理学」では、最新の毒性病理学の発展を取り入れ、医薬品、農薬、食品添加物、化学品などに含まれる化学物質による一般毒性・発がん性等の有害性を正しく評価するための最新の毒性病理学的手法、毒性病変の発生メカニズム、腫瘍性病変および加齢性病変、ヒトへの健康影響の評価を詳しく解説。毒性を学ぶ際に、発生病変の考え方、基本的な毒性病変の病理診断のこつがわかる必須のテキストです。

序文

毒性病理学は,形態学的観察という病理学的手法を用いて,今や毒性学を支える重要な学問領域となっており,医薬品,農薬,食品添加物などの安全性や産業化学物質の安全性の確保のほか,環境汚染物質や食品夾雑物の人への健康影響の関心が高まる中で,身の回りにある化学物質が人体および生態系に悪影響を及ぼす可能性がないかを検討し,それらのリスクを評価するという重要な役割が課せられています.また,市販される製品が生体にとって「安全」であることを科学的に実証するために,毒性病理学はその検証の一端を担っています.社会的要請の下に毒性評価における重要な分野として発展してきており,今後もその役割の必要性は増すばかりです.

一方では,米国において国家予算でがん原性試験が実施され,当初はNCI(国立がん研究所)の傘下で,後にNTP(国家毒性計画)に受け継がれた研究事業が,いずれもNIH(国立衛生研究所)の援助で行われてきました.NTPの開始と共に毒性病理学に対する必要性と期待が大いに高まりました.我が国を含め他の国においても安全性に対する科学的根拠を得るために同様の計画が開始されました.これらの事業で実施された動物実験は毒性病理学の発展と共に毒性メカニズムや毒性影響の理解に著しい進歩をもたらしました.

同じ頃に米国ではSTP(毒性病理学会Society of Toxicologic Pathologists)が設立され,既に40年が経過しました.我が国でもJSTP(日本毒性病理学会Japanese Society of ToxicologicPathology)が生まれてから約30年が経過しました.(故)伊東信行先生は,学会の創設時に設立に努力され,毒性病理学の今日の発展に大きく貢献されました.

1994年に伊東信行先生のご尽力により毒性病理学を体系的にまとめた「最新毒性病理学」(中山書店)が出版され,ほぼ20年が経過しました.その間,科学の進歩には目覚しいものがあります.今回,20年ぶりに発刊される「伊東毒性病理学」は,毒性病理学分野に多大な貢献をされた伊東信行先生を偲んで,門下生が中心になって執筆・編纂したものです.近年の毒性病理学の進歩を積極的に取り入れ,医薬品,農薬,食品添加物,化学品などの化学物質による一般毒性,発癌性,生殖毒性などを正しく理解するための,最新の毒性病理学的手法の紹介や,過去に報告されたデータによる毒性病変の発生メカニズムの解説および具体例の紹介,各種化学物質のヒトへの健康影響を正しく評価する指針となる様に専門家に執筆を依頼した結果,執筆者数は85名に及ぶという学際的な内容となりました.

毒性病理学専門家の多くは,獣医系の診断病理学の教育を受けると共に,毒性学や実験手法をよく理解しています.一方,我が国では,山極・市川によるウサギの耳にコールタールを塗布して世界初の発癌実験(1915年)を行った歴史に端を発し,伝統的に発癌研究,あるいは動物モデルを用いた実験研究が盛んで,病理学に関係した医師を含めた医学系研究者が動物モデルを用いたメカニズム研究を行ってきました.これらの毒性病理学者は産業界のほか,大学,政府機関,受託研究機関,コンサルタント等で活躍しています.診断病理を会得した病理学者は生体異物に対する組織反応に精通していますが,毒性学の究極的なゴールは,ヒトの健康を守る目的のほか,動物を含めた環境の健全性を守ることでもあります.

本書では,基本的な毒性病変の病理診断のコツをわかり易く説明すると共に,発生メカニズムの解説や,過去に報告されたデータを具体的に紹介し,各種化学物質のヒトへの健康影響を正しく評価するためのよりどころになるように努めました.さらに索引には日本語と英語を併記して,辞書的な役割をもたせてあります.毒性病理学を目指す人達のみならず,毒性評価に携わる人々にも役に立つことを大いに願っております.

なお,執筆者一同総力を挙げてまとめましたが,至らぬ点も少なからずあることと思います.記述に関してお気づきの点がありましたら,今後の改訂に役立てていきたく,大所高所からの忌憚ないご意見を賜れば幸甚です.


2013年初夏

編者を代表して
高橋 道人

目次

1 毒性病理学概論

1.1 毒性病理学

1.2 化学物質の生体内運命

1.3 毒性発現のメカニズム

1.4 実験動物の栄養

1.5 実験動物に対する影響要因

1.6 遺伝子改変動物

1.7 化学発癌

1.8 ラット及びマウスの自然発生腫瘍

1.9 細胞増殖

1.10 アポトーシス

1.11 化学物質のホルミシス効果

2 規制と評価

2.1 行政・規制

2.2 化学物質の規制

2.3 化学物質のリスクアセスメント

3 毒性試験

3.1 一般毒性試験

3.2 発癌性試験

3.3 神経毒性試験

3.4 免疫毒性試験

3.5 生殖発生毒性試験

3.6 局所刺激性試験

3.7 吸入毒性試験

3.8 遺伝毒性試験

3.9 毒性試験における統計解析

4 検索方法

4.1 臨床病理検査

4.2 病理組織染色法と染色結果

4.3 電子顕微鏡学的検索

4.4 免疫組織化学的検索法

4.5 毒性病理学における実践免疫染色法

4.6 分子病理学的検索法

4.7 バイオマーカー

4.8 マイクロアレイ技術を利用したトキシコゲノミクス

5 化学物質の毒性

5.1 医薬品

5.2 食品添加物および食品中の汚染物質

5.3 農薬

5.4 工業化学物質

5.5 金属

5.6 生体材料および医療機器

5.7 内分泌撹乱物質

5.8 環境汚染物質

5.9 カビ毒

5.10 ナノマテリアル

6 標的器官の毒性病理

【呼吸器系】

6.1 鼻腔

6.2 肺


【消化器系】

6.3 歯牙

6.4 口腔,舌,咽頭

6.5 唾液腺

6.6 食道

6.7 前胃

6.8 腺胃

6.9 小腸,大腸

6.10 肝臓,胆嚢

6.11 膵臓(外分泌)


【循環器系】

6.12 心臓

6.13 血管


【泌尿器系】

6.14 腎臓

6.15 尿管,膀胱,尿道


【生殖器系】

6.16 精巣,精巣上体

6.17 前立腺,精嚢腺,尿道球腺,凝固腺(前立腺前葉),その他の雄性生殖器

6.18 卵巣,卵管,子宮,膣,その他の雌性生殖器


【神経系】

6.19 脳,脊髄,末梢神経


【造血器系】

6.20 血管,骨髄

6.21 胸腺,脾臓,リンパ組織


【内分泌器系】

6.22 下垂体

6.23 甲状腺

6.24 上皮小体

6.25 副腎

6.26 松果体

6.27 膵臓(内分泌)


【感覚器系】

6.28 眼

6.29 耳


【運動器系】

6.30 骨格筋

6.31 骨,軟骨,関節


【外表系・その他】

6.32 皮膚,皮下

6.33 ジンバル腺,包皮腺,陰核腺

6.34 乳腺

6.35 体腔

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書籍情報

  • ISBN:9784621086421
  • ページ数:542頁
  • 書籍発行日:2013年7月
  • 電子版発売日:2018年7月27日
  • 判:B5判
  • 種別:eBook版 → 詳細はこちら
  • 同時利用可能端末数:3

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