はじめに
〜有意義な麻酔科研修を目指して〜
本書は「ドリル」というタイトルがついていますが,問題集というよりは「ワークブック」です.皆さんも以前に教科書のワークブックで勉強した経験があると思います.教科書の理解を助けるための,自学・自習用教材がワークブックです.
臨床研修においては,教科書で勉強した内容を,実際の臨床現場で行うために,自ら考えることが必要になります.その手助けをするのが本書です."臨床の場で経験する内容の予習・復習のための課題""教科書的な記載と各施設における実際の臨床をツナグための課題"を多く集めました.各テーマ,課題の前に,学習目標と学習のチェックポイントを設け,理解を助けるようにしました.学習のチェックポイントには重要事項をまとめてありますので,知識の整理に役立つと思います.
本書は,およそ1〜2カ月間の麻酔科研修期間で学べるように,1日目から30 日目まで課題が並んでいます.もちろん,どこから手をつけていただいても大丈夫です.
1日の学習時間の目安を示していますので,興味をもったところから,どんどん始めてください.
本書は,麻酔科専門医を目指す研修医のみならず,他の科を目指す医師にとっても,後に役立つ内容が豊富です.麻酔に携わる看護師や,メディカルスタッフの方々にも自学・自習用に使用していただけたら,麻酔科医の考えていることが理解いただけると思います.
指導医の先生にも,ぜひ本書を指導のための題材として使用していただきたいと思います.本書の答えは,解答例に掲載したものだけではありません.指導医の先生が,実際の現場で各施設の内容に応じて,適宜変更して指導していただくのが最適です.
ちなみに私の病院では,解答を渡さずにまず自習してもらい,研修終了後に解答を渡す予定です.
読者の皆さんが本書を通じて,より充実した麻酔科研修を送れることを願っています.
2015 年9月
青山和義
はじめに
〜著者たちの想い〜
小中学校のドリルにあまり楽しい思い出はないかもしれません.なぜ,楽しくなかったのでしょう? 著者たちはこう考えました.自分から進んでやりたいと思わなかったからではないかと....やる気があるのにつまづいている場合には,少し手引きがあれば楽しくなるのではないかと....
そこで,「興味はあるが適切なテキストがない」「テキストはあっても読みこなせない」「どこがポイントかがイマイチわかりにくい」「計算や導き方がわからない」そのようなさまざまな要因で足踏みをしている研修医や看護師,薬剤師などがいるのではないかと....
ある程度短期間で,小学校のドリルのような手法で楽しくするための工夫を盛り込んだ本書『100 倍楽しくなる麻酔科研修30 日ドリル』は,そのようなところから生まれました.
毎日,少しずつドリルをこなすことによって,麻酔科研修が楽しくなります.まずは,鉛筆と消しゴムを用意して,書き込みながら始めましょう.始めてみればその楽しさが少しわかります.わからなかったところ,間違えたところは,手持ちのテキストや,ガイドに従って参考書籍のページを復習しましょう.何度も調べたり書き込んだりすることで知識は定着します.間違えたところは,チェックをして2 度目,3 度目に挑戦してください.そうして続けていくうちに,麻酔科の知識が定着していきます.
得意になれば麻酔科の世界に引き込まれていくかもしれません.そんなところも狙っています.
このドリルをこなしつつ,実際の麻酔科臨床に臨んでください.そうすれば,必ずや麻酔科の専門医のやっていることや,その考え方は理解できるはずです.
なぜ楽しくないか? その答えは,やっていることが理解できないからにほかなりません.半分は,麻酔科指導医のせい,もう半分は自分のせいなのです.
さあ,始めてみましょう.30 日後には,少し成長した自分がいるはずです.
2015 年9月
讃岐美智義