内科医のための 不眠診療はじめの一歩

  • ページ数 : 221頁
  • 書籍発行日 : 2013年2月
  • 電子版発売日 : 2013年11月1日
¥3,850(税込)
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商品情報

内容

誰も教えてくれなかった対応と処方のコツ
「眠れない」という訴えに「とりあえず」処方はご法度!

非薬物療法の進め方から睡眠薬の使い分け・用量用法まで、考え方だけでなく実際の対処法や処方例も紹介した、現場で本当に役立つ入門書!

章末問題で知識の定着が確認でき、巻末では枕や夢など眠りの豆知識が面白い!

序文

不眠はcommon symptom であり,精神科や睡眠の専門医だけでなく内科など非専門医であっても,患者さんから不眠の訴えを聞く機会は多いはずなのですが,実際には医学教育のなかで不眠に関して学ぶ機会にはあまり恵まれていません.このため,患者さんから不眠を訴えられても特に考えることなく,「いつもの睡眠薬」の処方に終わってしまいがちです.確かに不眠はほかのcommon symptom である腹痛や発熱に比べて,救急対応を必要とする症状ではありません.しかしながら,不眠に適切な対応をして質の高い睡眠を確保することは,あらゆる疾患に共通して必要なことです.さらには不眠の臨床的な対応を誤ると,せん妄の初期症状が見逃されてしまい,激しい興奮を伴うせん妄に発展してしまうこともあるかもしれません.また,睡眠薬を服用している患者さんは睡眠薬の服用を続けることに不安を抱きがちです.担当医が適切な対応をとることができないと,服用に対する不安が更に強化され,不眠の遷延化や医原性の臨床用量依存につながってしまいます.

近年,睡眠医学も進歩し,その医療も広がってきました.睡眠医学に関す

る書籍や雑誌も数多く出版されるようになってきましたが,こうした書籍や雑誌の特集は最先端の睡眠医学の情報が重視されがちで,睡眠を専門としない医師や初学者が勉強しようとしても,読破するのは容易ではありません.また,内科医や睡眠を専門としない医師にとって,目の前にいる不眠の患者さんにいかに適切な対応をするか,という臨床課題の解決には必ずしも役立つものではないことが多い気がします.

本書は何よりも目の前の臨床で必要とされる不眠診療のノウハウを,睡眠を専門としない医師にわかりやすく伝えることに主眼を置きました.特に臨床の現場ですぐに役立つように,具体的な処方と対応をあげるとともに,薬剤ごとの特徴を明らかにするように心がけました.また,薬物療法以外の対応 も臨床上重要なのですが,かみ砕いて解説される機会のなかった不眠に対する認知行動療法についても具体的に記載するようにしました.

執筆は,普段から一般急性期病院で内科や外科,その他の診療科の医師と連携をとりながら,臨床で奮闘している中堅・若手の睡眠専門医,精神科医,臨床心理士,薬剤師が担当しています.また,章末に確認問題を加えることによって,初学者でも自学自習できるように工夫をこらしました.忙しい臨床の 合間に,少しずつでも読んでいただき,実践してもらえれば,睡眠の専門医に負けない不眠診療ができるはずです.

最後に羊土社編集部の保坂早苗さん,吉川竜文さんには本書の企画から多くのアドバイスをいただき,細部に至るまで丁寧に校正いただきました.その支えがなければ本書は完成しませんでした.深く感謝しています.


2013年1月

小川朝生
谷口充孝

目次

第1章 不眠の基本を学ぼう

①睡眠の基礎を押さえておこう

睡眠の定義-睡眠と意識障害の鑑別

ノンレム睡眠とレム睡眠

睡眠の年齢的な変化

睡眠のメカニズム

睡眠の役割

②不眠診療のアウトライン

不眠の定義

不眠の原因

不眠の評価(問診)

不眠の検査所見

不眠の治療の基本

不眠と精神疾患

診断名として「睡眠障害」はなるべく使わない

専門医への紹介のタイミング

③入院患者の不眠に注意-不眠とせん妄の鑑別

入院中の不眠をどのように考えるか

せん妄の見落としに注意

不眠とせん妄を鑑別する目をもとう

④薬物療法の基本的な進め方-睡眠薬の使い方と止め方

睡眠薬の選択方法

睡眠薬を開始して数日の時点で注意すべきこと

睡眠薬を減量・中止するタイミングとその方法

●1章 確認問題

第2章 睡眠薬に詳しくなろう

①睡眠薬の概略を知ろう

睡眠薬の歴史を知ろう

ベンゾジアゼピン系薬剤について詳しくなろう

睡眠薬としても使われるその他の薬剤も知っておこう

②主な睡眠薬の特徴を知ろう

一般的な使い分け

非ベンゾジアゼピン系薬剤

ベンゾジアゼピン系薬剤

メラトニン受容体作動薬

鎮静作用のある抗うつ薬

抗精神病薬

その他の薬剤

●2章 確認問題

第3章 処方の仕方~こんな不眠への処方は?

①不眠のタイプで使い分け-基本的な処方

②睡眠薬が効かない患者

③睡眠薬の依存を心配する患者

④高齢の患者

⑤妊婦,授乳中の患者

⑥筋力低下など転倒・転落のリスクのある患者

⑦肝障害,腎障害,緑内障を伴う患者

⑧かゆみや痛みで眠れない患者

⑨認知症(BPSD)の患者

⑩精神疾患(うつ・不安)の患者

⑪アルコール依存の患者

⑫幻覚や妄想をもつ患者

⑬急性のストレスに伴う不眠の患者

●3章 確認問題

第4章 非薬物療法に詳しくなろう

①非薬物療法の進め方

なぜ,非薬物療法は効果があるか?

非薬物療法の適応

睡眠指導

リラクセーション法

認知行動療法の概要

睡眠日誌の記入

ベッド上で過ごす時間の制限

心配の枠づけ

思考記録表

最後に

②ケーススタディでわかる認知行動療法

セッション1-治療の説明と睡眠指導,睡眠日誌の活用

セッション2-睡眠状況の確認とベッド上で過ごす時間の設定

セッション3-心配の枠づけ

セッション4-思考記録表の活用(状況・出来事,気分,自動思考)

セッション5-バランス思考の検討

セッション6-認知行動療法の定着の確認

●4章 確認問題

第5章 色々な不眠への対処~こんなときどうする?

①せん妄を発症する疑いがある場合

②せん妄になってしまった場合

③薬剤に依存的な場合

④過量服用の既往がある場合

⑤昼夜逆転している場合

⑥夜勤に伴う不眠の場合

⑦睡眠中にパニック発作を起こした場合

⑧睡眠時無呼吸症候群の場合

⑨レストレスレッグズ症候群の場合

⑩睡眠中に異常行動がみられる場合

⑪睡眠薬服用後に車を運転する場合

●5章 確認問題

睡眠Q&A 患者さんからこんな質問されたら?

Q 忙しくて睡眠時間があまりとれないのですが,質のよい睡眠をとるコツはありますか?Q なぜ夢を見るのですか?

Q 疲れているときは5分でも眠ると,頭がスッキリ楽になります.細かい眠りでも,身体にはよいのでしょうか.

Q 朝型とか夜型とかは体質ですか? それぞれ良い悪いはありますか?

Q SF映画に出てくるような睡眠カプセルが現実となる可能性はありますか?

Q 睡眠薬は,本当に習慣性がありますか?習慣性以外に,どんな弊害があるのでしょうか?

Q 枕はどんなものがいい?

Q 寝言を言っている人に返事をしてはいけないと聞いたことがありますが,本当ですか?Q 不眠を治療することでうつ病は予防できますか?

Q 自分に合った睡眠時間はどのように設定したらよいのでしょうか?

Q コーヒーを飲んでも爆睡してしまいますが,カフェインが効く体質,効かない体質があるのですか?

Q 人間以外の動物はどのような睡眠をしているのですか?

Q 何のためにヒトは寝るのですか?

Q 睡眠時間の短い日が続くと,何となく慣れてしまいますが,体への負担は大丈夫なのでしょうか?

Q いびき,寝言は遺伝する?


付録:睡眠日誌,思考記録表

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書籍情報

  • ISBN:9784758117302
  • ページ数:221頁
  • 書籍発行日:2013年2月
  • 電子版発売日:2013年11月1日
  • 判:A5判
  • 種別:eBook版 → 詳細はこちら
  • 同時利用可能端末数:3

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特記事項

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