臨床医が知っておきたい呼吸器病理の見かたのコツ

  • ページ数 : 199頁
  • 書籍発行日 : 2015年4月
  • 電子版発売日 : 2016年4月28日
¥6,600(税込)
ポイント : 120 pt (2%)
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商品情報

内容

見かたのコツを知れば病理がもっと身近になる!

臨床像と病理像を対比してコンパクトにまとめられた一冊。
呼吸器病理を学び直したい!…でも分厚い病理の本を読む気は起きないし、病理医に聞きに行く勇気ももてない…そんな臨床医の皆様の素朴なギモンをふまえ、病理像の見かたのコツを病理医が伝授!
病理像には矢印や囲みを多用しているので、注目すべき部分が迷わず理解できます。

>第1弾『 j臨床医が知っておきたい消化器病理の見かたのコツ』はこちら

序文

臨床医の先生から「病理の重要性はよく認識してはいるものの,なかなか病理を勉強する機会がない」という声をよく聞きます.まとまった時間をとって勉強するには忙しすぎるし,また直接病理医から説明を受けて勉強したいと思っても,自分の持っている病理知識に自信がないため"簡単に聞きに行くほどの勇気がもてない" ということのようです.多くの病理医は,臨床医が質問に来てくれることを歓迎しているのですが,一方で「病理医の説明の意味を最低限理解するための病理学的知識を持っていてくれると,話もスムーズに進むのに」と思っていることも事実です.その最低限の病理学的知識を身につけるためには,ちょっとした"コツ" が必要であり,本書を通してそれをつかんでいただけたらと思います.

本書は2013 年8 月に発行され,現在も好評を博している『臨床医が知っておきたい消化器病理の見かたのコツ』に続く第2 弾として企画されました.構成は同じで,1 症例を見開き2 ページにまとめ,忙しい時間の合間に気軽に勉強できるようにしてあります.

左ページに簡単な臨床経過,胸部画像と診断に重要と思われる病理像を提示して,病理像をみた臨床医からのよくある疑問を「臨床医のギモン」として記載しました.右ページには病理診断を行うために知っておきたい所見を写真内に矢印や囲みなどを入れて,病理組織像の理解を容易にするように工夫してあります.解説文や「+ α 知識」にはその疾患についての必須事項を列挙し,右ページの「臨床医のギモン」の答えとなる部分にはアンダーラインが引いてあります.最後の「キモの一言」は,疾患について"是非とも知っておいて欲しいこと","知っているとちょっとカッコイイこと" を書いて,まとめのかわりとしました.

左ページの胸部画像は,原則として呼吸器疾患の診療で基本として行われている胸部X線写真とCT 写真に統一しました.統一した理由としては,放射線画像でみられる所見が病理像としてどのようにみられるかという点が臨床医にとっては最も興味のあることの1つと考えられるからです.放射線画像と病理像の関係が一番よくわかるのは切除肺の肉眼像やルーペ像と対比することであり,その後に顕微鏡下の組織像へとつながっていきます.本書内には切除肺の肉眼像やルーペ像の写真が多数登場しますが,これも本書の特徴の1 つと考えています.

また,本書は呼吸器科医(後期研修医〜)を対象として企画されたのですが,ところどころにかなり稀な疾患が含まれています.しかしながら,稀な疾患であるために臨床像と病理像を対比してコンパクトに記載した成書(特に日本語で書かれた成書)はこれまでに見当たらず,もしもこういった疾患に遭遇したときにこそ本書が大きな威力を発揮することは請け合いです.

本書はベテランの呼吸器科医の先生にも十分読み応えを感じていただける内容と考えています.放射線科医,病理医,メディカルスタッフの皆さんにとっても有用な情報をちりばめたつもりですので,多くの方々に愛読していただくことを願っています.

最後になりますが,企画の段階から完成まで忍耐強く対応していただいた編集部の鈴木美奈子氏をはじめ,羊土社の皆様に心から感謝いたします.


2015年4月

編集者を代表して
清水禎彦



目次

はじめに

付録 染色法の種類と特徴

執筆者一覧

第1章 肺の非腫瘍性病変

0. 肺の正常構造と病変の見かた

《§1 先天性異常》

1. 大動脈から分岐する異常動脈に支配された嚢胞を含む低吸収域

2. 気管支が分布しない領域に認められた低吸収域と嚢胞様構造

3. 左肺底区に分布する異常動脈

《§2 感染症》

4. 血痰・湿性咳嗽を主訴とする右上葉の空洞を伴う結節性病変

5. 発熱・咳嗽を主訴とする右下葉の多発結節と空洞性病変

6. 慢性咳を呈する患者に認められた広範な微細粒状影

7. 発熱患者に認められた両肺野に多発する微細粒状影

8. 舌区にみられた著しい気管支拡張と石灰化を伴う結節・浸潤影

9. Crescent signを有する肺腫瘤影

10. 無症状で発見された肺野小結節

11. 高IgE症候群の患者に出現した症状の乏しいすりガラス状陰影

12. 発熱・呼吸困難を訴え,びまん性陰影を呈した関節リウマチ患者

13. 胸膜直下に存在する境界明瞭な結節

《§3 間質性肺炎》

14. 蜂窩肺を呈する慢性間質性肺炎に発生した肺癌の肺葉切除例

15. 胸膜直下の微細網状影を呈する慢性間質性肺炎

16. 亜急性に進行する呼吸困難と下肺野の収縮を伴う浸潤影

17. 両側下肺野優位に認められる網状影と収縮性変化を伴う浸潤影

18. 喫煙者に認められた両下肺野の地図状のすりガラス状陰影

19. 乳癌放射線治療後に出現した左肺のコンソリデーション

20. 急性経過ですりガラス状陰影が出現した患者

21. 両側上肺野の容積減少と胸膜直下のコンソリデーション

《§4 アレルギー肉芽腫性》

22. 喫煙増加に関連して発症した急性経過の肺水腫様陰影

23. 急性経過で出現した末梢域優位の多発性すりガラス状陰影と浸潤影

24. 気管支喘息患者に認められた気管支を閉塞する腫瘤

25. 亜急性経過の息切れとびまん性すりガラス状陰影

26. 霧視のある患者に認められた広範囲の微細粒状影

27. 上肺野優位の不整形嚢胞と空洞性小結節

《§5 膠原病》

28. 関節リウマチ患者に発見された胸膜直下の孤立性結節

29. 関節リウマチ患者に認められた下肺野優位の網状影

30. 各種治療に反応せず急速に進行した間質性肺炎例

《§6 血管炎±壊死性肉芽腫》

31. 多発性浸潤影と気管支血管束に沿う多発結節

32. MPO-ANCA陽性者の慢性間質性肺炎

《§7 じん肺症》

33. 石綿曝露歴患者の胸膜肥厚と肺線維症の肺葉切除例

34. 金属研磨の職歴がある患者にみられた小葉中心性粒状影とすりガラス状陰影

《§8 循環障害》

35. 肺血栓塞栓症患者に発見された孤立性結節

36. 肺気腫と高度の肺高血圧のため呼吸不全となり死亡した剖検例

《§9 COPD》

37. 肺癌切除例の背景肺に認められる多発空気嚢胞

《§10 気道病変》

38. 進行性の呼吸困難を呈し,胸部X線で過膨張を示した例

39. 関節リウマチ患者に認められた気管支・細気管支病変

40. 下肺野優位で対称性のびまん性小葉中心性結節

《§11 遺伝子変異・代謝異常》

41. 偶然発見された多発する薄壁嚢胞

42. 腎腫瘍手術歴・気胸手術歴のある女性に認められたびまん性薄壁嚢胞

43. 無症状で発見された広範な両肺すりガラス状陰影

44. 肺癌患者の背景肺に認められた高吸収の微小結節

《§12 高γグロブリン血症》

45. 慢性咳を訴える患者に認められた広義間質の肥厚と微細粒状影

46. 多クローン性高γグロブリン血症を伴う胸部異常陰影

第2章 肺の腫瘍性病変

0. 肺の腫瘍性病変に関する基礎知識

《§1 悪性上皮性腫瘍》

1. 左上葉無気肺を伴う肺門部腫瘤

2. 右下葉の胸膜直下に認められたnotchingを伴う結節

3. 中心部が濃厚で辺縁部がすりガラス状を呈する肺結節

4. 充実性で八つ頭状の辺縁と胸膜陥入をもつ肺結節

5. 肺炎様陰影を呈した肺癌

6. 気胸・無気肺を呈した20代女性の稀な腫瘍

7. 喫煙歴のある男性に発見された境界明瞭な孤立性結節

8. 無症状で発見された境界明瞭な孤立性結節

9. 急速に増大した左肺尖部腫瘤

10. 充実性成分とすりガラス成分の両方をもつ肺腫瘤

11. 胸痛を有する患者の肺尖部腫瘤

12. 検診で発見された境界明瞭な孤立性結節

13. 中葉気管支を閉塞する10 mmのポリープ状結節

14. 亜区域気管支が突き当たる境界明瞭な結節

15. 慢性咳を有する患者に認められた左主気管支内腫瘤

《§2 良性腫瘍》

16. 8年の経過で増大傾向を示した肺野孤立性小結節

17. 無症状の30代女性に発見された境界明瞭な卵円形結節

18. 右肺門部に発生した稀な腫瘍

《§3 その他》

19. 気管支が貫通する境界不鮮明な肺野結節

20. 子宮筋腫術後の女性に認められた多発結節

21. 直腸癌術後の女性に認められた結節 

22. 3年間変化が認められなかった境界明瞭な結節

23. 右肺門部に認められた辺縁平滑で良好な造影効果を示す結節

第3章 胸膜・縦隔の病変

0. 正常構造と病変の見かた

《§1 胸膜病変》

1. 石綿曝露歴のある患者に認められたびまん性胸膜肥厚と腫瘤

2. 石綿曝露歴のある患者に認められた胸水と縦隔側の胸膜肥厚

3. 人間ドックで発見された多発胸膜腫瘤

4. 胸膜面から半球状に立ち上がる充実性腫瘤

《§2 縦隔病変》

5. 前縦隔に認められた嚢胞性腫瘤

6. 多結節性で内部に小嚢胞を含む前縦隔腫瘍

7. 辺縁凹凸不整,内部に低吸収域を含む前縦隔腫瘍

8. 比較的均一に造影される前縦隔腫瘍

9. 脂肪成分を含む厚い壁の前縦隔嚢胞性腫瘤

10. 縦隔と胸膜に多発する腫瘤

11. 傍椎体部の辺縁平滑な紡錘形腫瘤

12. ターゲットサインを示す辺縁平滑な傍椎体部腫瘤

13. 気管背側に接する嚢胞性腫瘤

14. 下位胸椎に接して認められる縦長の縦隔腫瘤

15. 甲状腺手術歴のある女性に認められた前縦隔腫瘤

巻末付録

略語一覧

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書籍情報

  • ISBN:9784758117784
  • ページ数:199頁
  • 書籍発行日:2015年4月
  • 電子版発売日:2016年4月28日
  • 判:B5判
  • 種別:eBook版 → 詳細はこちら
  • 同時利用可能端末数:3

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