◆ 基本編 ◆
1章 免疫学のおもしろさ
1.免疫学の本質とは ─ 獲得免疫系のもつ複雑な仕組み
2.学問としての位置づけ ─ 免疫学は生命科学をリードしてきた
3.医学としての免疫学 ─ 原因不明の病気の多くは免疫系が関与している
4.日本の免疫学 ─ 他の分野と比べて,日本の競争力が強い
5.免疫学の未来 ─ 免疫学はまだまだ発展し続ける
2章 獲得免疫とは?
1.免疫反応の基本型 ─ 免疫学は抗原特異性を扱う学問である
2.脊椎動物の持つ獲得免疫システム① ─ ひとつの細胞に1種類の分子という大原則
3.脊椎動物の持つ獲得免疫系② ─ 自己寛容と免疫記憶
4.食細胞,T細胞,B細胞の分業 ─ 病原体を食べる,感染細胞を殺す,抗体をつくる
3章 抗原情報の伝わり方
1.抗原レセプターは何をみているか ─ こんなすごい分子は他にない
2.獲得免疫系による免疫応答の概要 ─ 樹状細胞とヘルパーT細胞が登場!
3.MHCクラスⅠとクラスⅡ ─ 抗原提示法には2通りある
4.クラスⅡ分子を用いた抗原特異的な免疫反応 ─ ヘルパーT細胞はクラスⅡ分子上のペプチド抗原をみる
5.MHCクラスⅠ分子を介した抗原特異的な細胞傷害 ─ キラーT細胞は感染細胞を殺傷する
4章 多様性の創成と自己反応細胞の除去
1.T細胞がつくられるところ ─ 胸腺はT細胞をつくるための臓器
2.多様性の創出 ─ 遺伝子再構成という驚くべき仕組み
3.T細胞の正の選択と負の選択 ─ 役立つ細胞を選び,危険な細胞を取り除く
4.B細胞の分化と選択 ─ B細胞の負の選択と受容体再編成
5章 自己反応性を抑制するさまざまな調節系
1.自己反応性細胞の除去には漏れが多い ─ 負の選択は完全ではない
2.T細胞が活性化されるとき ─ 感染時だけ反応する仕組み
3.T細胞アナジーの成立 ─ 定常状態で自己反応性細胞を排除する
4.抑制性細胞による抑制 ─ 制御性T細胞による自己反応性細胞の抑制のメカニズム
5.活性化したT細胞を死なせるシステム ─ 免疫反応の終息点の制御
◆ 展開編 ◆
1章 血液細胞の発生と分化
1.造血細胞はどこから来るのか ─ 造血細胞は流浪の民
2.造血幹細胞 ─ 全ての免疫細胞のみなもと
3.造血幹細胞のニッチ ─ 隠れ家でほっこり
4.系列決定の進行過程 ─細胞分化の最もドラマチックな出来事
5.新しい造血モデル ─ ようやく骨組みがみえてきた
2章 免疫組織の発生とT細胞・B細胞の分化
1.胸腺の発生 ─ 極性を失った上皮細胞の塊
2.胸腺に移住する前駆細胞 ─ 胎生期の移住細胞は解明された
3.胸腺環境と骨髄環境の決定的な違い ─ 実はNotch だった
4.胸腺内初期T細胞分化① ─ 胸腺でT細胞系列への完全な決定が起こる
5.胸腺内初期T細胞分化② ─ TCR β鎖再構成のチェックポイント
6.正の選択の基本原理は? ─ いまとてもhot な話題
7.組織固有の抗原に対して胸腺で起こる負の選択 ─ 胸腺髄質に末梢組織が映し出されている
8.ヘルパーになるかキラーになるかの運命を選ぶとき ─ 動的シグナルモデルとは?
9.胸腺でつくられる他のT細胞 ─ T細胞はヘルパーとキラーだけじゃない
10.B細胞のつくられ方 ─ 抗原レセプターのつくられ方はT細胞と似ている
3章 さまざまな免疫応答の機序 ─ 抗原特異的反応を修飾するさまざまな要素
1.リンパ節/ 脾臓の構造と機能 ─ 免疫細胞の出会いの場
2.免疫細胞の移動 ─ リンパ球による巡回パトロール
3.リンパ節で起こること ─ 免疫細胞の出会いの場
4.親和性成熟 ─ リンパ節/ 脾臓で起こる抗体の「進化」
5.いろいろな抗体分子 ─ 体中でうまく使うための工夫
6.クラススイッチ ─ 抗体分子の抗原結合部位の使い回し
7.免疫記憶 ─ 二度目は速やかに
8.MHC の多型性 ─ 病原体とのせめぎあい
9.粘膜免疫 ─ 他の組織とひと味ちがう
10.ヘルパーT細胞のサブセット ─ Th1,Th2,Th17......どこまで増える?
11.サイトカイン ─ 至近距離で働くホルモンのようなもの
4章 自然免疫系の生体防御機構 ─ あらっぽいけど,すばやい反応
1.自然免疫系の基本型 ─ 獲得免疫系との関わりを抜きにしてみてみよう
2.自然免疫系と獲得免疫系の関わり方 ─ もちつもたれつ
3.病原体センサー ─ 獲得免疫系の始動役
4.補体はすごい ─ 強力な防衛線
5.NK細胞は自己と非自己を見分ける ─ キラーT細胞とは別の殺しのプロ集団
6.自然免疫から獲得免疫への橋渡しをする種々の細胞 ─ 役者は増えて来た
7.自然免疫と獲得免疫との中間的な細胞 ─ どっちやねん!
5章 いろいろな生物の免疫 ─ 免疫系の進化を考える
1.無脊椎動物の免疫 ─ 獲得免疫がなくてもどうということはない
2.ヤツメウナギの獲得免疫系の驚異 ─ 独自の獲得免疫系
3.獲得免疫の出現のシナリオ ─ サメでも哺乳類とほぼ同じ
4.B細胞のつくられ方は動物種によってこんなに違う ─ T細胞はほとんど同じなのに
◆ 応用編 ◆
1章 自己免疫疾患・アレルギー ─ 免疫反応が体に害を及ぼすとき
1.アレルギーのメカニズム ─ 抗体をまとった細胞達が大暴れ
2.自己免疫疾患とは ─ 免疫が自分を標的にする
3.自己寛容が破綻する仕組み ─ 一定の割合で起こりうるシステム上のエラー
2章 医療と免疫学 ─ 免疫学をどのように医療に活かすか
1.移植免疫のツボ ─ 免疫の仕組みについて教えてくれる
2.腫瘍免疫の問題点 ─ 免疫監視機構は本当にあるか
3.再生医療と免疫 ─ iPS細胞の光と影
● 文献一覧
● おわりに
● 索引