EBMに基づく脳神経疾患の基本治療指針 第4版

  • ページ数 : 824頁
  • 書籍発行日 : 2016年3月
  • 電子版発売日 : 2018年10月26日
¥14,300(税込)
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商品情報

内容

脳神経外科・神経内科で扱う疾患を網羅し、各疾患の概念から治療までをエビデンスに基づきコンパクトにまとめた、脳外科医、神経内科医の日常診療に役立つ一冊。

2010年、改訂第3版刊行以降に改訂・追加されたガイドラインの情報を盛り込み、スポーツ頭部外傷・妊娠分娩と脳血管障害・サルコペニア・遺伝相談など新規項目(16項目)も追加し、進歩の著しい脳神経疾患の日常診療に対応できるよう内容を一新した改訂第4版。

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序文

第4版 序文

『EBMに基づく脳神経疾患の基本的治療指針』の初版は2002年に上梓しました。当時,日本のガイドラインはまだ少なく,初版の序に書きましたように「脳神経疾患における診断・治療における現時点でのevidenceをまとめ,evidenceがないものについてはスタンダードとなるような論文を引用し,日常の診断・治療に役立てていただくこと」を目的としました。その後,『脳卒中治療ガイドライン』をはじめとして,日本神経学会や日本神経治療学会のガイドラインなど各種疾患のガイドラインが続々と発表されており,日本医療機能評価機構が運営するMinds(マインズ)ガイドラインセンターのホームページには200近いガイドラインないしそれに準じたものが載せられています。これらの各学会などで出されたガイドラインも有料で分厚くなっており,取り揃えて活用することは実臨床の場では実際的ではありません。従って,一冊にまとめて臨床の現場で活用していただけるようにすることも本書の意義の一つと思います。また,エビデンスレベルの高い臨床試験などが行われていない,ないし,行えない疾患などについて,特に希少疾患についても,臨床現場で参照できるようにすることも必要であると思っております。

今回の改訂第4版を出すにあたり,さらなる充実と発展のために辻 貞俊,塩川芳昭,成田善孝の3名を編集に加え,第3版の項目を update するとともに,最近問題となっている「妊娠分娩と脳血管障害」「がん治療における卵子・精子保存」「てんかんと運転免許」「てんかんと妊婦」「スポーツ頭部外傷」などの項目を加え,また「Familial tumor」「可逆性後頭葉白質脳症,可逆性脳血管収縮」「Crow・深瀬症候群」「福山型先天性筋ジストロフィー」「サルコペニア」「ロコモティブシンドローム」なども新たに追加しました。

臨床の現場では,個々の患者さんの病態に合わせた治療することが必要であり,標準治療のみですませるわけにはいきませんし,ガイドラインの上からは有効な治療法がない場合でも,その患者さんにとっての最良の治療を知恵を振り絞って行うことも必要です。米国の医師Atul Gawandeはその著書『Better(医師は最善を尽くしているか)』で"未熟児に対する治療に取り組んだ産婦人科医のような戦う医師がいたから未熟児が健康に育つようになった。医師には戦って欲しい。医師が戦うのをやめ,安易にガイドラインに頼ってその通りの治療しかしない場合には,"助けられたはずの命を諦める"という最悪の医療ミスを生じる可能性につながるであろう。"と結んでいます。

本書が現場で奮闘している先生方の日常診療に少しでもお役に立てば幸甚です。


2016年2月

編集代表 田村 晃

目次

第1章 脳血管障害

1 くも膜下出血

2 未破裂脳動脈瘤

3 脳動静脈奇形

4 高血圧性脳出血

5 脳梗塞

6 もやもや病(Willis動脈輪閉塞症)

7 脳動脈解離

8 脳静脈・静脈洞閉塞症

9 海綿状血管奇形と発生学的静脈形成異常

10 脳アミロイドアンギオパチー

11 高血圧性脳症

12 頚部頚動脈疾患

13 妊娠分娩と脳血管障害

第2章 脳腫瘍

1 治療成績の読み方

2 脳腫瘍全国集計調査報告による頻度と治療成績

3 治療方法の意義と合併症

4 各論(1)─脳実質内腫瘍

a 神経上皮系腫瘍:神経膠腫(gradeⅠ)

b 神経上皮系腫瘍:神経膠腫(gradeⅡ・Ⅲ)

c 神経上皮系腫瘍:膠芽腫(gradeⅣ)

d 神経上皮系腫瘍:脳室上衣腫

e 胎児性腫瘍:髄芽腫

f 胎児性腫瘍:PNET

g 胎児性腫瘍:非定型奇形腫様/ラブドイド腫瘍(AT/RT)

5 悪性リンパ腫

6 胚細胞腫

7 血管芽腫

8 松果体細胞腫

9 頭蓋内脂肪腫

10 過誤腫

11 Central neurocytoma

12 各論(2)─脳実質外腫瘍

a 髄膜腫

b 下垂体腺腫

c 神経鞘腫

d 頭蓋咽頭腫

e 類皮腫,類上皮腫

f 脊索腫

13 各論(3)─遺伝子異常による脳腫瘍

a Neurofibromatosis(NF-1/NF-2)

b von Hippel-Lindau病

c Tuberous sclerosis(結節性硬化症)

d 家族性腫瘍(遺伝性腫瘍症候群)

14 転移性脳腫瘍

15 囊胞性病変

a Rathke囊胞

b 第三脳室コロイド囊胞

c 松果体囊胞

16 眼窩内腫瘍

17 頭蓋骨腫瘍

18 がん治療における妊孕性の温存と生殖医療

第3章 頭部外傷

1 頭部外傷

2 小児の頭部外傷

3 スポーツ頭部外傷

第4章 小児・先天奇形

1 水頭症

2 頭蓋縫合早期癒合症

3 二分脊椎,二分頭蓋

4 Chiari奇形(Ⅰ型,Ⅱ型)

5 脊髄空洞症,延髄空洞症

6 頭蓋底陥入症

7 くも膜囊胞

8 新生児頭蓋内出血

9 Galen大静脈瘤

第5章 脊椎・脊髄疾患

1 脊髄腫瘍

2 血管障害

3 外傷

4 椎間板ヘルニア,脊椎症

5 脊髄空洞症

6 頚椎後縦靱帯骨化症

7 黄色靱帯骨化症

8 環軸椎脱臼

第6章 機能的脳神経外科疾患

1 三叉神経痛

2 顔面痙攣

3 難治性疼痛

4 Parkinson病(外科的治療)

5 ジストニア,振戦,その他の不随意運動

6 書痙

第7章 頭部外傷

1 包括的な治療方針

2 てんかんの外科的治療の適応と治療成績

3 てんかんと自動車運転

4 てんかんと妊娠

5 高齢者てんかん

第8章 頭痛

1 片頭痛

2 緊張型頭痛

3 群発頭痛とその他の頭痛

4 低髄液圧症(脳脊髄液減少症,脳脊髄液漏出症)

5 Tolosa-Hunt症候群

6 帯状疱疹後神経痛

7 可逆性後頭葉白質脳症(PRES),可逆性脳血管攣縮症候群(RCVS)

第9章 感染症

1 細菌性髄膜炎

2 脳膿瘍

3 無菌性髄膜炎

4 急性ウイルス性脳炎

5 結核性髄膜炎

6 真菌性髄膜炎

7 遅発性ウイルス感染症とプリオン病

8 エイズ脳症(HIV関連神経認知障害)

9 ヒトT細胞白血病ウイルス1型関連脊髄症(HAM)

10 ムコール菌症

11 神経梅毒

第10章 炎症性疾患

1 多発性硬化症と視神経脊髄炎

2 アトピー性脊髄炎

3 急性散在性脳脊髄炎(ADEM)

4 Bickerstaff脳幹脳炎

5 神経Behçet病

6 神経サルコイドーシスと硬膜炎

7 側頭動脈炎とリウマチ性多発筋痛症

8 膠原病の中枢神経症状

第11章 変性疾患

1 脳血管性認知症

2 Alzheimer型認知症(Alzheimer病)

3 前頭側頭型認知症

4 Lewy小体型認知症

5 Parkinson病とその関連疾患

6 振戦とその関連疾患

7 脊髄小脳変性症

8 筋萎縮性側索硬化症(ALS)と脊髄性筋萎縮症(SMA)

9 多系統萎縮症

10 Huntington病

第12章 後天性/先天性代謝疾患

1 ビタミン欠乏症

2 Wernicke-Korsakoff脳症

3 肝性脳症

4 尿毒症性脳症

5 糖尿病神経障害

6 甲状腺疾患に伴う神経・筋障害

7 アルコール依存症と神経障害

8 悪性腫瘍に伴う神経障害

9 ミトコンドリア病

10 白質ジストロフィー

11 Wilson病

12 糖原病

13 電解質浸透圧異常

第13章 末梢神経障害

1 Guillain-Barré症候群

2 慢性炎症性脱髄性多発ニューロパチー(CIDP)とその類縁疾患

3 Charcot-Marie-Tooth病

4 家族性アミロイドポリニューロパチー

5 急性間欠性ポルフィリン症

6 末梢性顔面神経麻痺

7 手根管症候群,肘部管症候群

8 膠原病に伴う末梢神経障害

9 重症疾患多発ニューロパチー(CIP)と重症疾患ミオパチー(CIM):ICUAW

10 Crow・深瀬(POEMS)症候群

第14章 筋疾患

1 重症筋無力症

2 Lambert-Eaton筋無力症候群

3 炎症性筋疾患

4 筋ジストロフィー

5 Duchenne型筋ジストロフィーとエクソン・スキップ治療

6 福山型先天性筋ジストロフィー

7 筋強直症

8 周期性四肢麻痺

9 ステロイドミオパチー

10 悪性高熱

11 悪性症候群

12 サルコペニア

第15章 その他の脳神経疾患・治療

1 頭蓋内圧亢進と脳浮腫

2 睡眠障害

3 特発性正常圧水頭症

4 薬物に伴う神経障害

5 薬物によるニューロパチー

6 定位放射線治療の適応と治療成績

7 ボツリヌス毒素の適応と治療法

8 運動器不安定症とロコモティブシンドローム

9 スポーツと脳神経疾患

第16章 遺伝子診断と遺伝相談

1 遺伝子診断とそのガイドライン

2 神経疾患の遺伝相談

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書籍情報

  • ISBN:9784758315562
  • ページ数:824頁
  • 書籍発行日:2016年3月
  • 電子版発売日:2018年10月26日
  • 判:B5変型
  • 種別:eBook版 → 詳細はこちら
  • 同時利用可能端末数:3

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