ちょっと待った! その抗菌薬はいりません

  • ページ数 : 320頁
  • 書籍発行日 : 2018年12月
  • 電子版発売日 : 2019年7月19日
¥4,180(税込)
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商品情報

内容

「2020年までに抗菌薬使用量を3分の2に!」ちゃんと対応できていますか?抗菌薬適正使用のための解説書,決定版!

・抗菌薬を「使わないこと」が不安にならない!
・むやみに広域の抗菌薬を使わなくなる!
・症状から感染臓器と菌を想定し,間違いのない薬剤選択ができる!具体的な処方レジメンまでわかる!
・高齢者,また,高血圧や糖尿病などの基礎疾患のある患者さんにも安全かつ効果的に処方できる!

序文

問題への対処法は,問題を起こさないことと,起きた問題を解決することに二分されます。抗菌薬耐性に関しては,前者が"抗菌薬適正使用"であり,後者が"感染対策"に相当します。2018年11月現在,感染対策および抗菌薬適正使用の実践に対する診療報酬加算により,問題の解決,あるいは新たな問題を出さないための医療を実践するインセンティブが付与されていますが,この医療政策をいかにして現場で実効力のあるものとして展開していくかが,医療従事者に託されている課題であり,義務でもあります。

抗菌薬適正使用という戦略を実行するための「理論(知識)」は,書籍やメディアを通して十二分に普及していますが,その「実践が知識ベースで考えるほどには容易ではない」,ということが現実であることは否めません。「わかってはいるが,思ったようにやれない」という,理論と実践が幾分乖離した状況であるともいえます。それは,抗菌薬処方に限らず,知識と経験に照らし合わせながら目前の事象の意味を解釈し,判断し,その対応について意思決定を行うことを規定する人間の行動科学に光を当てられることがないことが一因となっているように思います。

本書は感染症専門医のための本ではなく,抗微生物薬の各論を網羅したものでもありません。抗菌薬を処方することを決定する,そして治療効果を判定するに至る"自分の考え"を頼りとする一般医家の臨床的判断と意思決定の心的機序(mental mechanism)を,抗菌薬処方という医療行為の窓を通して考えてみることを目的の一つとしたものです。また,抗菌薬の各論は,感染症の診断名別ではなく,患者さんの症状・兆候の考察からスタートする実臨床と同じ脈絡において記載しました。なかでも,一般医家の先生方が遭遇する機会の多い症状と,処方頻度の高い抗菌薬を中心として整理しています。

各論は佐賀大学医学部附属病院感染制御部の同門一同で執筆しました。メジカルビュー社編集部の石田奈緒美様には本書企画の原点となっていただき,加賀智子様には編集のみならず,イラストのご草案をいただきました。お二人の,そしてメジカルビュー社の方々の専門的視点からのご助言とご支援に心から感謝申し上げます。

抗菌薬を処方なさる先生方にとって,理論と実践の距離が少しでも縮まるよう,本書を楽しみながらお読みいただけることを願っております。


2018年11月

青木洋介

目次

Ⅰ章 その抗菌薬,本当に使わなくてはいけない?

● 病原細菌との共生が人類を救う!?デフォルトは"抗菌薬を使わない"こと!

● 使えば使うほど効力がなくなる!抗菌薬は大切に使おう

● 抗菌スペクトルを知らずして抗菌薬を使うことは,雑な医療への入り口(破れ窓理論)

● まずは耐性菌ではなく,感受性菌を想定した治療をしよう

Ⅱ章 わかったつもり?やりがち抗菌薬投与を見直す

● "抗菌薬投与"という慣習の背景

● 抗菌薬投与後に解熱を認めるときに考えること

①患者さんが亡くなりかけている?

②細菌感染症ではない?~抗菌薬投与とは無関係な解熱

● 非感染性の発熱を考えよう

①入院患者さんの発熱~解熱を図りたければ,抗菌薬ではなく,NSAID投与を

②高齢者の発熱~悪性腫瘍,自己免疫疾患の可能性も

③術後患者さんの発熱~周術期抗菌薬の漫然とした継続はNO...

● 抗菌薬の治療効果は体温やCRPの下降ではない!『細菌の増殖抑制』のみが指標

● 不明熱の検査の基本的な進め方

● これだけは押さえよう!感染症診療の基本的な考え方

①身体診察

②発熱

③バイタルサインの確認

④血液培養採取

Ⅲ章 患者さんをどう診るか?~どのように考えるか? どのように考えてはいけないか?

● まずはプロブレムリストで患者さんの病態を整理・把握しよう

● 直感は思考の幅を狭くする?鑑別診断を多角的視点で考えよう

● 「うまく説明できる」の罠

● 白血球やCRPの上昇がなくても,感染症を考えるとき

● 感染臓器を絞り込み,原因微生物を推定しよう

①問診のポイント~仮説を立てる

②診察のポイント~仮説の検証

● 初期治療薬は可能な限り狭域に

● 最悪のシナリオを回避せよ!市中で見逃したくない感染症

● 医療関連感染の大半を占める,5大感染症をまずは鑑別しよう

Ⅳ章 いざ,実践!抗菌薬を投与する,しない?何を,どう使う?

● 薬剤選択は「間違えなければよい」がキホンのルール

● 呼吸器感染症が疑われる症状

①咳嗽および喀痰

②咽頭痛

③胸痛あるいは季肋部痛

④息切れ,肺炎

● 消化器症状

①腹痛

②下痢

③悪心・嘔吐

④黄疸

● 尿路に関連する症状

①排尿痛

②頻尿・残尿感

③腰痛・側腹部痛

● 皮膚および筋・骨格系の症状

①発疹(紫斑を含む)

②表在リンパ節腫張

③発赤・腫張

④関節痛

● 頭頚部の症状

①視力障害,めまい,眼球運動障害

②耳痛・耳漏,歯性感染症

③頭痛

④意識変容

● 周術期(術後感染予防)

● 人工物deviceを有する患者

人工関節感染・人工弁心内膜炎

Ⅴ章 抗菌薬が効かない!?こんなとき,どう考えればよいですか?

● この抗菌薬は効いている?

①抗菌薬は「患者さん」ではなく,患者さんの体内にいる「病原菌」に作用する

②抗菌薬はこのままでよいのか,変えるほうがよいのか

● 抗菌薬が奏効するための条件

● 抗菌薬をいつまで投与するか?

Ⅵ章 こんな患者さんで使える薬・使えない薬

● 高齢者

● 糖尿病

● 慢性腎不全および肝硬変

● 免疫抑制患者

● 妊婦と授乳婦

● 精神科的疾患背景,あるいは不定愁訴と思われる症状を有する患者

Ⅶ章 90分でマスターする!代表的薬剤の抗菌スペクトル

● 主要病原細菌とβ-ラクタム系薬のスペクトル

● ペニシリン系薬

● セフェム系薬

● カルバペネム系薬

● キノロン系薬

● マクロライド系薬

● アミノグリコシド系薬

● ST合剤

● 抗MRSA薬

● 抗真菌薬

付録

● 腎機能低下時に減量が必要な抗菌薬・抗真菌薬(成人)

● 肝機能低下時に減量が必要な抗菌薬・抗真菌薬(成人)

● 腎機能・肝機能による用量調整が不要な抗菌薬・抗真菌薬(成人)

● 特に注意しておきたい抗菌薬の薬剤間相互作用

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  • Androidロゴは Google LLC の商標です。

書籍情報

  • ISBN:9784758318044
  • ページ数:320頁
  • 書籍発行日:2018年12月
  • 電子版発売日:2019年7月19日
  • 判:A5判
  • 種別:eBook版 → 詳細はこちら
  • 同時利用可能端末数:3

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特記事項

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