内部障害に対する運動療法 基礎から臨床実践まで

  • ページ数 : 272頁
  • 書籍発行日 : 2018年9月
  • 電子版発売日 : 2019年4月10日
¥6,380(税込)
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商品情報

内容

各種運動療法を深く理解し組み合わせて,さまざまな障害に効果的なリハを行うために

内部障害に対する運動療法は,どの障害や疾患であっても,患者の状況に応じて有酸素運動やレジスタンストレーニング,関節可動域運動などをうまく組み合わせてリハを行っていかねばならない。本書ではまず各種運動療法の原理,目的,方法を解説し,それが心血管系,呼吸筋などさまざまな機能や臓器に対してどのような効果をもたらすかを示した。最後にそれらの根拠を基にした臨床実践として各種疾患に対する評価,疾患の基礎知識,リスク管理などにも触れながら,症例に対する効果的なリハを解説。

序文

わが国で理学療法士が誕生してから早くも50 年が過ぎました。この間に理学療法士養成課程も変化し,現在では3 年制の課程から4 年制大学まで,260 校あまりで養成が行われています。また,大学院修士課程・博士課程へ進学し研究を積極的に行うことも可能となりました。このような養成課程の変化は時代の要請であり,理学療法の対象である障害者の変化も影響しています。当初は肢体不自由の患者の占める割合が高かったといえますが,現在では本書で取り上げている内部障害をはじめとして,さまざまな分野の患者が対象となっています。また,「障害者・患者」以外の対象者に対する予防にも関わるようになってきています。このことから,われわれ理学療法士に必要とされる知識・技術も実に幅広いものとなっています。

しかし,養成課程ではそれらのすべての知識・技術を身に付けるには時間が不足しているのが現状です。近い将来の指定規則改正では,学ばなければならない分野が増える予定であり,これまでよりも各分野に掛けられる時間も短縮されることが予想されます。学生にとっては深い知識を身に付けるのがさらに大変になると思われ,生涯学習の重要性がさらに増すことになると思われます。

本書は生涯学習の出発点に立ったばかりの若い理学療法士の方々,解剖学,生理学,運動学などの基礎医学を学んで,さらに運動療法や内部障害を学び始めた学生の方々に向けて,若手を中心とした編集者・執筆者で作成するということで企画されました。Ⅰ章では「運動療法」とは何か,その種類や基礎的な知識の復習,Ⅱ章ではそれらの運動療法が身体に与える影響や効果を機能別に取り上げ,最後にⅢ章では実際の内部障害の患者に「運動療法」を行った場合の効果についてのまとめと,3 段構えにて構成されています。学生の方々は基礎医学の教科書とともに最初から,若手理学療法士の方々はご自分の担当症例に関係するところから読み始めて,ときどき前章を振り返りながら読み進めていただければと思います。前にも述べましたが,これまでにも理学療法は変化し,発展してきました。理学療法を構成している「運動療法」がこれからも発展を続け,本書に掲載された事項よりも,さらによりよい効果や影響が見いだされ,内部障害をはじめ,さまざまな障害を抱える皆様のために活かされるようになることを切に願っております。

最後になりましたが,本書の企画段階から編集までをご担当くださいましたメジカルビュー社榊原様,阿部様,多忙な日常業務のなかご執筆くださった各執筆者の先生方とそのご家族の皆様に深謝いたします。

2018年7月

古川 順光
田屋 雅信

目次

Ⅰ 運動療法の種類とその基礎知識

運動療法とは:総論

運動とは

運動の法則

重力と身体運動

身体の回転運動

身体運動とてこ

身体運動と仕事

エネルギー

訓練の原則

理学療法における運動療法

理学療法の定義

理学療法の対象

運動療法で使われる運動とは

有酸素運動

関節可動域運動(ストレッチング含む)

レジスタンストレーニング

インターバルトレーニング

その他の運動療法

有酸素運動

有酸素運動とは

嫌気性代謝閾値(AT)

AT以下の運動が心疾患患者で推奨される理由

交感神経があまり興奮しない

乳酸の産生が増加しない

糖質・脂質代謝を促進する

長時間の運動ができる

心不全はATレベルの運動でも注意が必要である

CPXを行わない場合の有酸素運動

有酸素運動の効果

関節可動域運動

関節可動域運動,ストレッチングとは

関節の構造と機能

関節の構造と機能

関節運動の特徴

ROMの異常

ROMの評価方法

ROM運動

ROM運動の種類と特徴

ROM運動の適用と注意点

ストレッチング

ストレッチングの種類と効果

静的ストレッチングの原理

ストレッチングの適用と注意点

内部障害とROM運動・ストレッチング

糖尿病

呼吸器疾患

循環器疾患

レジスタンストレーニング

レジスタンストレーニングの目的

レジスタンストレーニングの原理

筋収縮様態

レジスタンストレーニングの原則

レジスタンストレーニングによる効果

レジスタンストレーニングの方法

運動処方のポイント

レジスタンストレーニングで考慮すべきポイント

レジスタンストレーニングの方法

インターバルトレーニング

インターバルトレーニングとは何か

インターバルトレーニングの原理

インターバルトレーニングの効果

インターバルトレーニングと持久性トレーニングとの違い

インターバルトレーニングの例

インターバルトレーニング

高強度インターバルトレーニング(HIT)

有疾患者に対するインターバルトレーニング

その他の運動療法

体幹安定化エクササイズ

腰部体幹安定性を評価するテスト

腰部安定化エクササイズ

スリングエクササイズセラピー

サスペンションポイントの位置変化による運動の性質変化

目的に応じたスリングエクササイズセラピーの具体例

Ⅱ 各種運動療法が身体の機能にもたらす効果

運動による身体への効果:総論

運動による骨格筋代謝の変化と回復

運動時のエネルギー供給

運動後の回復

エネルギー基質

運動に伴う短期的身体機能変化

血流調節

血液ガス調節

内分泌系

体温調節

運動による長期的な身体機能変化

骨格筋

血流調節

血液ガス調節

代謝・内分泌

運動と病態生理

呼吸機能に対する効果

身体活動における呼吸機能の基礎知識

各種運動療法が呼吸機能へ与える効果

胸郭可動域トレーニング

呼吸筋トレーニング

有酸素運動とレジスタンストレーニング

循環機能に対する効果

運動中の心血管系の効果および反応

末梢循環

肺循環

有酸素運動が循環機能にもたらす効果

インターバルトレーニングが循環機能にもたらす効果

留意すべき点

レジスタンストレーニングが循環機能にもたらす効果

留意すべき点

歩行訓練が循環機能にもたらす効果

留意すべき点

代謝機能・腎機能に対する効果

〈代謝機能に対する効果〉

エネルギー

筋収縮におけるエネルギー源

エネルギー供給機構

糖代謝

グルコースとグリコーゲン

グルコースの取り込み

運動と糖代謝

運動療法の効果

運動療法が耐糖能,インスリン感受性に及ぼす効果

脂質代謝

リポ蛋白

脂質の機能,脂質代謝

運動・脂質代謝

運動療法の効果

蛋白質代謝

蛋白質の機能,蛋白質代謝

運動・蛋白質代謝

運動療法の効果

〈腎機能に対する効果(運動が腎機能に及ぼす影響)〉

腎血流量(RBF)

運動療法による影響

腎血漿流量(RPF)

糸球体濾過量(GFR)

運動療法による影響

蛋白尿

運動療法による影響

筋力・筋持久力向上に対する効果

有酸素運動が筋持久力にもたらす効果

運動持続のための要素

有酸素運動と無酸素運動

持久力とは

持久力向上のための運動とは

有酸素運動と最大筋力の関係

ストレッチングと筋力の関係

スタティックストレッチング

ダイナミックストレッチング

バリスティックストレッチング

PNFストレッチング

インターバルトレーニングと筋力・筋持久力の関係

トレーナビリティ

インターバル

ランニングにおけるインターバルトレーニング

柔軟性改善に対する効果

柔軟性とは

ストレッチングが柔軟性に及ぼす効果

ストレッチングとは

スタティックストレッチング

ダイナミックストレッチング

バリスティックストレッチング

疾患特異性-萎縮筋に対するストレッチング

筋力トレーニングが柔軟性に及ぼす効果

負荷量

Ⅲ内部障害に対する運動療法の効果

【心血管疾患に対する運動療法と効果】

狭心症,心筋梗塞

狭心症,心筋梗塞のリハの流れと運動療法の種類

急性期のリハの流れ

急性期のリハの介入時期と運動療法の処方

回復期の運動療法

残存狭窄を有する心筋梗塞における注意点

心筋梗塞に対する運動療法の効果

心機能

左室リモデリング

自律神経・体液性因子

冠危険因子

こんな症例には一工夫

心不全

左心不全と右心不全

理学療法の流れ(急性増悪期から安定期)

心不全に対する運動療法の種目

step 1

step 2

step 3

心不全に対する運動療法の効果

心臓への効果

末梢効果

神経体液因子

QOL ,長期予後

こんな症例には一工夫

心臓外科手術後

〈心臓外科手術後の急性期リハビリテーション〉

心臓外科手術と周術期管理の進化

早期離床の定着

早期離床の重要性

心臓外科手術後の急性期のリハに求められること

術後リハビリテーションの実際

患者の特徴を把握する

離床開始が可能な状態か判断する

離床プログラムを考える

離床を進める

高齢心臓外科手術患者に対して必要な取り組み

〈心臓外科手術後の回復期リハビリテーション〉

術後回復期のリハビリテーションの目的(効果)

術後リハビリテーションの方法

ウォームアップ

有酸素運動

レジスタンストレーニング(RT)

こんな症例には一工夫

末梢動脈疾患(PAD)

PADとは?

PADの病態生理

間欠性跛行(IC)

重症虚血肢(CLI)

PADの診断

足関節上腕血圧比(anklebrachial pressure index;ABI)

歩行負荷試験

足趾上腕血圧比(toe brachial pressure index;TBI)

皮膚組織灌流圧(skin perfusion pressure;SPP)

超音波検査

虚血創の評価

治療

IC

CLI

リハビリテーションの実際

ICの運動療法

CLIの運動療法

こんな症例には一工夫

【呼吸器疾患に対する運動療法と効果】

慢性閉塞性肺疾患(COPD)

COPDの診断

COPD患者に対する理学療法の効果

評価と運動プログラムの立て方

運動療法開始時や重症例

運動前後のウォーミングアップとクールダウン

COPDの運動器障害

運動耐容能低下

筋力低下

筋の構造変化

呼吸困難感のある場合

栄養障害の併存

胸郭可動域改善運動

棒体操

徒手胸郭伸張運動

徒手肋骨捻転運動

有酸素運動

有酸素運動の効果

自宅で行う有酸素運動

屋外で行う有酸素運動

レジスタンストレーニング

レジスタンストレーニングの目的

レジスタンストレーニングの強度,収縮様式について

下肢のレジスタンストレーニング

スクワットと立ち上がりについて

上肢のレジスタンストレーニング

呼吸筋トレーニング

こんな症例には一工夫

間質性肺炎

間質性肺炎とは

分類

主要症状

疾患ごとの予後を見据えた介入

IPF

膠原病に伴う間質性肺炎(CTD-ILD)

IPAF

理学療法プログラム

ポイント

間質性肺炎に対して酸素療法は有効か

間質性肺炎に対するリハビリテーションの効果

長期的な効果

間質性肺炎の運動強度の増加に伴う反応の特徴

こんな症例には一工夫

気胸合併間質性肺炎のかかわり

【代謝疾患に対する運動療法と効果】

糖尿病,脂質異常症,肥満

糖尿病

運動療法が糖尿病にもたらす効果

糖尿病の特徴

糖尿病のリスク管理

糖尿病に対する運動療法の実際

こんな症例には一工夫

脂質異常症

運動療法が脂質異常症にもたらす効果

脂質異常症の特徴

脂質異常症のリスク管理

脂質異常症に対する運動療法の実際

こんな症例には一工夫

肥満

運動療法が肥満にもたらす効果

肥満のリスク管理

こんな症例には一工夫

【腎臓疾患に対する運動療法と効果】

慢性腎臓病(CKD)

慢性腎臓病患者に対する運動療法の考え方

CKDの概要

CKDの定義

CKDの重症度分類

腎機能の評価

CKDの病態

CKDはCVDの危険因子である

透析患者への運動療法

透析患者の特徴

透析患者の検査

運動療法の適応と禁忌

理学療法評価

運動療法の種類

運動療法の効果

リスク管理

運動療法のタイミング

透析中運動療法

合併症に対する運動療法

保存期CKD(透析導入前)患者への運動療法

保存期CKD患者の身体的特徴

運動処方

運動療法の効果

リスク管理

こんな症例には一工夫

【フレイル,サルコペニアに対する運動療法と効果】

がん関連

〈がん患者に対する運動療法〉

がん患者における運動療法の役割と効果

がん患者に運動療法を行う際のリスク管理

〈フレイル・サルコペニアを呈するがん患者に対する運動療法〉

がん患者のフレイル・サルコペニア

フレイルを呈するがん患者の特徴

サルコペニアを呈するがん患者の特徴

フレイル・サルコペニアを呈するがん患者のアセスメント

予後予測やリスクアセスメント

身体機能・身体活動量のアセスメント

栄養状態のアセスメント

フレイル・サルコペニアを呈するがん患者に対する運動療法のポイント

運動療法の強度:低負荷・高頻度の有用性

身体活動量向上プログラムの導入

チーム医療の必要性

こんな症例には一工夫

心臓,呼吸

フレイルを有する心疾患・呼吸器疾患患者に対する運動療法

フレイルやサルコペニアを呈する原因

フレイル,サルコペニアに対するレジスタンストレーニングの考え方

高齢者に対するレジスタンストレーニングの方法

レジスタンストレーニングの種類

その他の対策

こんな症例には一工夫

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  • Appleロゴは、Apple Inc.の商標です。
  • Androidロゴは Google LLC の商標です。

書籍情報

  • ISBN:9784758319294
  • ページ数:272頁
  • 書籍発行日:2018年9月
  • 電子版発売日:2019年4月10日
  • 判:B5判
  • 種別:eBook版 → 詳細はこちら
  • 同時利用可能端末数:3

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特記事項

※今日リンク、YNリンク、南山リンクについて、AndroidOSは今後一部製品から順次対応予定です。製品毎の対応/非対応は上の「便利機能」のアイコンをご確認下さいませ。


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※書籍の体裁そのままで表示しますため、ディスプレイサイズが7インチ以上の端末でのご使用を推奨します。