めざせ!基本的読影力の向上 胸部X線写真 改訂2版

  • ページ数 : 266頁
  • 書籍発行日 : 2009年6月
  • 電子版発売日 : 2011年12月29日
¥7,480(税込)
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商品情報

内容

初めてX線写真を学ぶ読者のために、1枚のX線写真をもとに基本的なことから診断までを分かりやすく解説した「めざせ!基本的読影力の向上 胸部X線写真 改訂2版」の電子書籍版です。
電子書籍版では南山堂医学大辞典、イヤーノートへのリンク参照、目次・索引リンク、串刺し検索など電子版ならではの機能を搭載しました。

序文

改訂にあたって


最近の新聞記事に,京都府城陽市の小学校4年生だった男児(10歳)がタバコを持っているのを父親が発見して追及したところ,成人識別カード「タスポ」がなくてもタバコを買える顔認証方式の自動販売機で買ったと,息子が白状したという小さな記事があった.この認証システムは顔の骨格やしわなどの特徴で年齢を判断する仕組みだという.再現実験では,その男の子が自転車のフレームに立ち,高い位置にあるカメラに顔を近づけたところ,3回のうち1回は成人と認識したという.ヤンチャ坊主には違いないが,どんな大人びた顔の子供だったのだろう.もっとも組み込まれていた顔認証方式のシステムは,京都の業者によって直ちに修正が加えられたという.

JAXA(宇宙航空研究開発機構)が打ち上げた月探査衛星「かぐや」には,NHKが開発したハイビジョンカメラが搭載されていて,月面の鮮やかな画像がインターネットに公開されている.これらの画像を見ると,1969年7月21日にアポロ11号が月面に着陸して鮮明な画像を送ってきたとき,いやもっと昔,少年の頃にレンズだけを買ってきて自作した天体望遠鏡で月を眺めたときの感激を,まざまざと思い起こさせてくれる.これらの驚くべき技術は,リモートセンシングとテレメトリー,さらには画像認識と画像解析などの技術の進歩によるものであろう.

胸部X線写真の読影は,よくよく考えてみれば画像認識と画像解析の技術であると極言してもよい.ヒョッとすると,その道のプロたちは既に胸部X線写真の読影技術のソフトも開発済みなのではないか?と疑心暗鬼に駆られる.医療の分野でもイメージング技術の進歩には目を見張るものがあり,胸部CTでも対向2門の管球を備えて息止めなしで撮影できる機種ができている.高速で撮影された詳細な画像が3次元表示されて,これが画像解析により直ちに正常か異常か,画像診断としては何が妥当であるなどと,液晶画面に表示される時代が間もなく到来するのではないかと銀齢医者は怯える.

しかし現実の日々の診療の現場では,フィルムやパソコンの画像を見ながら,不安な面持ちで見つめている患者にキッパリと正常か異常か,異常であれば治療が必要か,観察だけで良いのかを自信を持って告げなければならない.長年の間,呼吸器科医として胸部X線写真の読影をしてきたが,見落としの不安がないといえば嘘になる.経験を重ねた俺が見落としなどする筈がないと思い上がれば,若い先生方から陰で失笑される羽目になる.

読影に当たっては,いつも初心に帰り,異常な陰影がもしあればその異常はどのパターンに該当するかを考え,その中で患者の病歴などの条件を考えた挙句に,最も可能性の高い疾患を選び出すように努力しなければならない.

今回の改訂のポイントは以下の点である.

2003年の初版から,胸部X線写真を気管・気管支・肺の構造に基づく画像解析,それによる合理的な鑑別法を記述することを目指してきた.今回の改定に当たっては,肩肘を張らずに気軽に読んで頂けることを目指して,Ⅲ編の「陰影パターン別の主要疾患の読影」を全面的に口語体で書き直してⅡ編とした.各sectionの見出し語はあえて除き,つづけて読んで頂ければ各陰影の特徴が理解できるように工夫した.またⅡ編の「陰影パターン別の鑑別診断」は書き改めてⅣ編として,陰影別に比較できるようした.今回の改定版でも全ての図版は畠中が担当した.

1973年「胸部の異常陰影」を出版し,1982年に「胸部X線読影のポイント」,2003年にこの本の初版を出版した.老いと共に次第に気力の衰えてきた著者たちを励まして,さまざまな助力を頂いた編集長の市井輝和氏は,金芳堂の社長になられた.本当に嬉しいことである.

今回も貴重なX線写真を提供して頂いた草津総合病院肺がん・呼吸器疾患センター,京都工場保健会,洛和会ヘルスケアシステムの皆さん,洛和会音羽病院放射線科村本聡先生に心からの御礼を申し上げる.


2009年 5月


ねがはくは花のしたにて春しなむ
そのきさらぎの望月のころ 西行


さりながら

万緑の中 ゆるゆると生きて候


著者一同




この四つの手形は著者らの手です.大きさ,形状が色々ですが,どれも手としての機能は正常です.本人は自分の手を正常と思っていますが,他人の手もそれを見て正常と判断しています.そう判断するのは,手というものが個人差があるものの,一定の形状の限界を越えなければ,それは正常と考えるからです.

胸部X線写真も同じように個人差があります.何処から何処までを正常とするかは多くのフイルムを観察して,正常の限界を知ることが大切です.

さて,そのX線写真には,白い線や斑点,黒い帯状の,あるいは灰色の領域が雑多に無数に,無秩序にみられます(ようにみえるのですが).さて「何処が異常なのか,ないのか」どう判断したらよいのでしょうか.

野球をネット裏から観戦したことがありますか?投手が球を投げて打者がカーンと打った時,あなたの視野には球除けネットが目に入りましたか?その時,見えていたのは投手と打者と白球と,それを追う野手だけですね.

レントゲン写真にみられる種々雑多な模様は,そのほとんどが人間の正常の構造がみせる模様です.それらをフイルムから消去すると残った部分が異常な部分として見えてくるのです.あなたの頭脳のコンピュータに正常の人間の構造(解剖)の上限から下限までインプットしておき,フイルムをみる時に,その中の正常部分を消去してしまうと異常所見が明らかになります.人体の解剖をよく理解していれば,うろこから眼が落ちたように異常が浮かびあがるのです.(どこか,おかしい表現がありましたか?惰性で漫然とレントゲン写真をみていると思わぬ見落としや誤診をするものです.どうか医者をやっている間はいつも用心なさって下さい)

この本では解剖を同時によく理解していただくということで読影の順序は次のようにしてあります.


1.皮膚,筋肉などの軟性胸壁,および肋骨,椎体などの骨性胸壁

2.横隔膜,胸郭下口(胸郭上口も図示)

3.縦隔

4.気管・気管支

5.肺門

6.胸膜

7.肺


X線写真にみられる様々の陰影の中から正常器官や臓器の陰影を取り除いて異常所見をみつけて下さい.その異常所見の形状をパターン別にシェーマとして表示してあります.各々のページを開いて異常所見の解明に役立てて下さい.

1973年に金芳堂から「胸部の異常陰影」(著者は池田貞雄,船津武志,人見滋樹,甲斐隆義)を出版,さらに1982年に同一の著者らが「胸部X線読影のポイント」を出版しました.初版から30年の歳月が流れました.

今回は,この二冊の本の著者二人と新人二人が協力して,新しい視点でX線写真の本に挑戦しました.全ての図版は著者の一人,畠中が担当しました.

出版に際して力強い激励と心細やかな助力をして頂いた金芳堂市井輝和氏,また貴重なX線写真を提供して頂いた京都工場保健会,洛和会ヘルスケアシステム,京都桂病院に心からお礼を申し上げます.


2002年 12月


『歓喜の歌』光芒よぎる雪一片

An die Freude


著者一同

目次

胸部X線写真の用語集

Ⅰ編 読影のガイドライン

Ⅱ編 種々の陰影の読影-基本と応用-

Ⅲ編 X線写真でみられる“気になる所見”

Ⅳ編 陰影パターン別の鑑別診断

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書籍情報

  • ISBN:9784765313834
  • ページ数:266頁
  • 書籍発行日:2009年6月
  • 電子版発売日:2011年12月29日
  • 判:B5判
  • 種別:eBook版 → 詳細はこちら
  • 同時利用可能端末数:3

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