瘢痕・ケロイドはここまで治せる

  • ページ数 : 230頁
  • 書籍発行日 : 2015年2月
  • 電子版発売日 : 2019年2月27日
¥15,400(税込)
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商品情報

内容

瘢痕(傷あと)をいかに目立たなくするか!

傷あとをいかに治すか、形成外科医がまさに真正面から取り組むべき分野にもかかわらず、長い間この分野の本はおおくは出版されて来なかった。本書では、JSW scar scale も解説・掲載して現代の最新情報を1冊に纏める。前半は研究の進む基礎分野、後半は臨床で取り組まれている様々な治療手技を紹介する。

序文

はじめに

形成外科が真摯に取り組んできた領域の一つが,瘢痕(傷あと)をいかに目立たなくするかという方法論の確立でした。胎児創傷治癒ではScarless wound healing(瘢痕のない創傷治癒)が生じると言われておりますが,われわれの体ではLess-scar wound healing(瘢痕の少ない創傷治癒)が現在の目標です。現在の医学では瘢痕を消すことはできませんが,そこに他人の目が向かなくなれば目標を達成したと言うことができるでしょう。

ただ,ケロイド・肥厚性瘢痕という壁があり,Less-scar wound healingでさえ達成が困難で,なかなかこの領域の臨床が進まなかったのも事実です。しかし,昨今の基礎研究の飛躍的な進歩から,瘢痕形成のメカニズムが徐々に明らかになりつつあります。瘢痕形成のメカニズムを理解することによって,熱傷瘢痕,瘢痕拘縮,ケロイド,肥厚性瘢痕,成熟瘢痕,萎縮瘢痕といったさまざまな瘢痕に最適化した治療が可能となるのです。

世界中の学会や学術誌でも,「Scar」がキーワードとなり,熱い議論がかわされ始めています。世界は「傷を治す」時代から,「傷あとを残さない」時代に突入していると言っても過言ではありません。

本書の刊行にあたり,日本の形成外科の叡智を結集して瘢痕に立ち向かうために,この分野のエキスパートの先生方に執筆をお願いいたしました。瘢痕形成のメカニズムを基礎から理解でき,かつ臨床にすぐに役立てる本となったと自負しております。また,克誠堂出版の大澤王子様には企画から刊行に至るまで大変なご尽力をいただきましたので,深謝いたします。


2015年1月

日本医科大学形成外科
小川 令

目次

基礎編

1.胎仔創傷治癒とScarless Wound Healing

1 瘢痕や傷あとをどのように認識しているのか

2 胎仔の創傷治癒の研究とは

3 胎仔の創傷治癒と一般的な成獣の創傷治癒との違い

4 胎仔の皮膚が再生能を有している理由


2.動物とヒトにおける瘢痕形成の違いと動物瘢痕モデル

1 ヒトと動物の瘢痕形成の違い

2 ヒトと動物の皮膚構造の違い

3 瘢痕研究の手法と動物モデル

4 動物モデルの限界と可能性


3.瘢痕のメカノバイオロジーとメカノセラピー

1 メカノバイオロジー

2 メカノセンサー,メカノレセプター

3 メカノシグナル伝達経路

4 メカノセラピー

5 瘢痕予防・治療のためのメカノセラピー


4.皮膚創傷における細胞外マトリックスのさまざまな機能

1 瘢痕における細胞外マトリックス

2 創傷治癒過程における細胞外マトリックスのさまざまな機能


5.瘢痕形成と弾性線維の役割

1 弾性線維の基礎

2 瘢痕と弾性線維


6.ケロイド・肥厚性瘢痕のメカニズム総論

1 創傷治癒過程における瘢痕形成

2 ケロイド・肥厚性瘢痕の局所因子

3 ケロイド・肥厚性瘢痕の全身的因子

4 ケロイド・肥厚性瘢痕の人種差・動物種差

5 ケロイド・肥厚性瘢痕の病理組織学的所見


7.ケロイド・肥厚性瘢痕のエネルギー代謝

1 ケロイド・肥厚性瘢痕のATP値


8.炎症性疾患としてのケロイド・肥厚性瘢痕─CD4陽性T細胞などの炎症細胞が病態に及ぼす役割─

1 慢性炎症と線維化のメカニズム

2 CD4陽性T細胞と免疫バランス,線維化

3 炎症性疾患としてのケロイド・肥厚性瘢痕


9.線維増殖性疾患としてのケロイド・肥厚性瘢痕

1 創傷治癒と線維化について

2 線維増殖性疾患としてのケロイド・肥厚性瘢痕の特徴

3 線維化の機序についての知見

4 治療の展望


10.ケロイド発症におけるfibrocyteの関与の可能性

1 Fibrocyteとは

2 Fibrocyteの機能

3 ケロイドとfibrocyteの関連性について

4 Fibrocyteを標的とする治療の可能性


11.ケロイド治療の標的としてのIL-6シグナルとWntシグナル

1 ケロイド電子線治療による遺伝子変化

2 ケロイドとIL-6シグナル

3 ケロイドとWntシグナル

実践編

12.種々の瘢痕評価スケールの特徴と比較

1 概説:瘢痕評価スケール

2 瘢痕評価スケールの検証

3 熱傷瘢痕評価スケールの信頼性の検討

4 線状瘢痕評価スケールの信頼性の検討

5 客観的評価のための評価ツール

6 日本からの瘢痕分類評価表の発信


13.瘢痕・ケロイドの診断

1 概念

2 JSW Scar Scale 2011を使用したケロイド・肥厚性瘢痕の診断

3 ケロイド・瘢痕診断の今後

4 読者に伝えたいこと・関連事項


14.種々の瘢痕に対する切除および縫合法

1 概念

2 施術手技の概念

3 施術手技の実際

4 術後管理

5 読者に伝えたいこと


15.瘢痕に対する植皮術─リストカット瘢痕に対する植皮による治療─

1 概念

2 適応と非適応

3 施術手技・術後管理・経過観察

4 読者に伝えたいこと


16.瘢痕・ケロイドに対する皮弁手術

1 概念

2 適応

3 施術手技・術後管理

4 代表症例

5 読者に伝えたいこと・関連事項


17.熱傷瘢痕・瘢痕拘縮に対する予防・手術法

1 概念:熱傷瘢痕の手術について

2 施術手技

3 読者に伝えたいこと


18.ケロイドに対する術後放射線治療

1 概念

2 治療の実際


19.ケロイドに対する高線量率組織内照射療法

1 概念

2 適応と非適応

3 施術手技

4 術後管理・経過観察

5 代表症例

6 補足


20.ケロイド・肥厚性瘢痕に対するステロイド治療

1 概念

2 適応と非適応

3 施術手技

4 術後管理・経過観察

5 代表症例

6 読者に伝えたいこと・関連事項


21.瘢痕・ケロイド治療における圧迫・固定療法

1 概念

2 適応と非適応

3 施術手技

4 術後管理・経過観察

5 代表症例

6 読者に伝えたいこと


22.シリコーン材を用いた瘢痕治療

1 概念

2 適応と非適応

3 施術手技

4 術後管理・経過観察

5 代表症例

6 読者に伝えたいこと・関連事項


23.ケロイド・肥厚性瘢痕に対するNd:YAGレーザー治療

1 概念

2 適応と非適応

3 施術手技

4 代表症例

5 読者に伝えたいこと・関連事項


24.瘢痕・ケロイドに対するパルス色素レーザー治療

1 概念

2 適応と非適応

3 施術手技

4 術後管理・経過観察

5 代表症例

6 読者に伝えたいこと・関連事項


25.成熟瘢痕に対するフラクショナルレーザー治療

1 概念

2 適応と非適応

3 施術手技

4 術後管理

5 代表症例

6 合併症回避のコツ

7 読者に伝えたいこと


26.ざ瘡瘢痕に対するケミカルピーリング

1 概念

2 適応と非適応

3 施術手技と術後管理

4 代表症例

5 読者に伝えたいこと・関連事項


27.瘢痕に対するリハビリメイク

1 概念

2 適応と非適応

3 施術手技

4 瘢痕に対するリハビリメイクの特徴

5 事例

6 読者に伝えたいこと

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書籍情報

  • ISBN:9784771904361
  • ページ数:230頁
  • 書籍発行日:2015年2月
  • 電子版発売日:2019年2月27日
  • 判:B5判
  • 種別:eBook版 → 詳細はこちら
  • 同時利用可能端末数:3

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特記事項

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