関西では京都および滋賀地区を中心に「救急放射線画像研究会」が定期的に開催されており,症例検討を中心に毎回,活発な討論がされています(平成29年11月の段階で91回開催).その世話人のお一人である早川克己先生(前 岩手県立釜石病院・京都市立病院)から,「東京でも若手のための救急放射線の勉強会を開催しては」というアドバイスをいただきました.そこで,藤田安彦先生(前 東京西徳洲会病院放射線科,現 徳之島徳洲会病院院長),高木 亮先生(日本医科大学付属病院放射線科,現 日本大学)に賛同いただき,平成21年3月に第1回を開催する運びとなりました.先達による関西を中心とした「救急放射線画像研究会」に準えて,名称を「救急放射線画像研究会 in 東京」とし,症例持ち寄りの勉強会として始まりました.平成30年1月現在で52回を重ねるに至っています.
平成24年に,本研究会の世話人3名(井田,高木,藤田)が編者を務め,研究会出席者を中心とする執筆による「画像診断別冊KEY BOOKシリーズ すぐ役立つ救急CT・MRI」の発刊に至りました.
改訂第2版では,章編者として「救急放射線画像研究会 in 東京」の世話人に新たに加わった服部貴行先生(大久保病院),古川 顕先生(首都大学東京健康福祉学部),田嶋 強先生(国立国際医療研究センター病院),森田 賢先生(東京女子医科大学)にも担当していただきました.さらに,「呼吸器」の章に芦澤和人先生(長崎大学大学院医歯薬学総合研究科)にも加わっていただきました.
また初版に引き続き,早川克己先生に救急画像診断時の造影剤の適正な使用方法や注意点について,最新情報を含めてご執筆いただきました.
放射線科医は読影室にこもってばかりいるのではなく,CTやMRI,IVRの現場で撮像プロトコールの指示を出し,緊急読影を行い迅速に診断を提供することで,救急スタッフの一員として責務を果たすことが可能となります.救急現場で積極的に検査法を提案し画像診断管理を行うことで,時期を逸しない,より効率的かつ非侵襲的な診断法を組み立てることができるようになります.初療段階で放射線科医が病態診断に関与することで,主治医単独の自己完結型医療を防ぎ,より的確な診断と治療方針の選択につながります.予約外の緊急検査依頼を断ることに心血を注ぐより,救急主治医と一緒になって診断のためにどのような撮像法が適しているかを考える方が,患者にとっても有益です.
本書が放射線科のみならず救急を志す若手医師の一助となることを願い,そして多くの放射線科医が救急に興味をもってくれることを望みます.
井田 正博
「画像診断別冊KEY BOOKシリーズ すぐ役立つ救急のCT・MRI」は救急疾患の画像診断を勉強する初学者ために企画された本で,初版の発行から約6年が経過しました.この本を企画した当時は,救急診療で比較的多く遭遇する疾患を中心に症例を選び,放射線科医や放射線技師はもとより,当直業務を行う救急医,外科医,内科医にも気軽に手に取ってもらえるような本を目指しました.第2版に向けて,実際の救急診療を考えて外傷と非外傷性を分けて疾患を整理しました.また,初版では少し物足りなかった胸部,腹部の非外傷性救急疾患について,この分野の専門の先生に新たに章編者に加わっていただき,より充実した内容になるように心がけました.さらに,症例が多くなりすぎて本が重くならないことにも留意しました.救急診療では,本を読みながら診察をするような余裕はありません.ちょっと気になった症例を,気軽にパッと手に取って勉強できることも大切な要素と考えました.第2版を救急診療の画像診断に少しでも役に立てていただければ幸いに思います.
最後に,新たに章編者に加わっていただいた先生方に深く御礼を申し上げます.
高木 亮
平成21年3月に井田先生のお誘いで「救急放射線画像研究会 in 東京」に参加することになった次第ですが,本研究会は井田正博先生と高木 亮先生が中心になり,症例持ち寄りの勉強会として始まりました.そして現在も症例検討を中心に毎回,活発な討論がされています.
平成24年には研究会出席者を中心に各項の執筆を担当して,「画像診断別冊KEYBOOKシリーズ すぐ役立つ救急CT・MRI」を発刊することができました.これもひとえに執筆者と学研メディカル秀潤社の担当者が尽力されたおかげだと感謝しております.
今回は,井田正博先生,高木 亮先生をはじめ,古川 顕先生,服部貴行先生,森田 顕先生など素晴らしい放射線診断専門医が参加されることになり,この出版に参加できることは大変光栄に思っています.現在は,内科の仕事に従事しながら管理職・臨床などに携わっていますので,現役の放射線診断専門医ではありませんが,このような救急画像診断の大切さを知る機会を与えていただき,ありがとうございます.
救急の現場で,本書が多くの研修医や救急現場の多職種に利用され,患者様の治療に貢献できることを願っています.
2018年1月
藤田安彦