画像診断 2017年臨時増刊号 (Vol.37 No.4) 画像による病変の由来部位の診断

  • ページ数 : 196頁
  • 書籍発行日 : 2017年2月
  • 電子版発売日 : 2017年12月8日
¥5,500(税込)
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商品情報

内容

画像診断において由来臓器・コンパートメントの決定は,その後の鑑別診断を180度変えてしまいかねない重要のステップである.古くに確立したものから新しい考え方まで,頭部,頭頸部,胸部,腹部など全身の部位ごとに由来診断を解説!
*都合により,紙版の誌面と異なり割愛される箇所があることがございます(p.s150-s163は未収載となっております).

序文

序説

近年,画像診断は目を見張るような進歩を遂げ,ややもすると画像検査を行うことによってあらゆる形態情報が容易に手に入るというような錯覚を与えてしまっているのではないかという危惧さえ覚える.しかし,画像検査の目的を分析してみると,種々の目的が考えられる(表).そして画像検査は多くの場合,1回の検査でこれらすべての目的が達成されるものではない.すなわち,それぞれの目的に応じた検査の選択,検査法の工夫,読影の姿勢,記述法の特化などが必要となってくる.例えば,腹部腫瘍の術前の解剖学的情報を得るための画像検査においては,dynamic CTの動脈相が重要となる.腎腫瘍の存在診断(スクリーニング)の検査において,造影CTが有用なことがわかっていても,通常,スクリーニング検査では造影や多相撮影は行わない.したがって,画像検査を行うにあたっては,その検査目的が何であるかをしっかり認識して検査を選択し,検査法・読影手順・報告書作成などに留意し,画像診断を進めていくことが必要となってくる.

なかでも,病変の部位診断(由来診断)は,個人的に長年興味をもってきたテーマである.最初にこの部位診断の重要性を強く認識したのは25年以上も前に経験したある症例である(図1).dynamic CTの動脈相にて膵頭部に非常に多血性の腫瘤が認められた.その時,読影していた私はすかさず膵頭部のラ氏島腫瘍(現在の膵神経内分泌腫瘍)を疑った.その後に続いて行われた血管造影にても,動脈相から非常によく染まる腫瘍が,膵頭部の動脈アーケード内に取り囲まれて認められた.しかし,手術では腫瘍は膵の被膜上に存在し,病理学的に膵被膜の交感神経叢から生じた傍神経節腫と診断された.幸い術中に高血圧クリーゼなどの発作はみられなかったが,そのような事故が起こっていたとしても不思議はなかった(血管造影中にも!).膵頭部が豊富な神経叢によって取り囲まれていることを想像することができ,膵実質の由来以外に被膜周囲の間葉系組織からの由来にも思い至ることができれば正しい診断にもっていけたかもしれない(情けないことに,その後にも膵頭部の嚢胞と誤診した小さな神経鞘腫を1例経験してしまった).

以後,自分で実際に経験した症例(その多くは誤診例)や,研究会・学会で目にした診断困難症例を思い返しては,いかにしてアプローチすれば病変の由来を正しく診断できるかを考えてきた.そして,それまであまり論じられてこなかった腹部腫瘤の由来診断についてその所見をまとめ,1996年,北米放射線学会で発表したのだが,当時はほとんど見向きもされなかった.2004年に再度,同学会で展示発表し(図2),その際には運良くCertificate of Merit(銅賞相当)を受賞できたものの,その後に書いた論文は残念ながらacceptされなかった.

とはいえ,病変の由来を間違えてしまえば,その後の鑑別診断は全く違ったものになるのだ.

今回,『画像診断』増刊号として,CT/MRIによる病変の由来診断について編集のお話をいただいた.脳神経系や脊髄・脊椎領域のように,血管造影,脊髄腔造影の時代からそのテーマが何度も議論されてきた領域がある一方,これまで比較的まとまって議論がなされてこなかった領域もある.しかし,この由来診断のテーマは画像診断を進めるにあたっての基本であり,それに関して全身の領域についてまとめることは,領域ごとの類似性や相違を考える上でも重要なことと考え,引き受けさせていただくことにした.そこで,中堅の先生方を中心に,若手からベテランの先生まで全国の親しい放射線科医にお願いし,全身のできるだけ広い領域にわたって由来診断について論じてもらうことにした.領域によっては非常に幅広いテーマであったり,はたまた参考文献がほとんどなかったりと,論文の構想や執筆にあたっては先生方に大変ご苦労をおかけしたことであろう.ここに皆様に深く感謝の意を述べさせていただきたい.そして集まった原稿すべてに目を通させていただいたが,いずれも力作ぞろいで,この増刊号が初心者から専門家に至るまで画像診断,特に病変の由来診断に興味をもつすべての方々に貴重な情報源となることを確信している.

なお本書では,眼球,腹壁,睾丸,関節など,取り上げられなかった領域もあるが,それについては,もし改訂の機会を得ることできた際にはぜひ挑戦したいと考えている.最後に,この斬新な企画をもちかけていただき,終始執筆者を励まし,集まった原稿をすばらしい書籍に編集してくださった画像診断編集室に心よりお礼を申し上げる.


2017年1月
筑波大学医学医療系放射線医学
南 学

目次

第1章 中枢神経

1. テント上を中心に脳表から頭蓋骨- intraaxial vs. extraaxial-

1 脳実質内(intraaxial) vs. 脳実質外(extraaxial)

2 くも膜下腔から頭蓋冠

3 症例提示

NOTE
脳の栄養血管

2. テント上,脳室から脳室周囲

1 第三脳室内腫瘍

2 松果体部腫瘍の鑑別

3 側脳室内腫瘍

NOTE
中間帆槽(velum interpositum cistern)
三側性網膜芽細胞腫(trilateral retinoblastoma;TRb)

3. テント下

1 脳実質内・外の鑑別のための評価

2 病変部や隣接する骨の変化に対する評価

3 病変の進展パターンや形状に対する評価

4 第四脳室および中脳水道近傍

4. 眼窩・頭蓋底・トルコ鞍周囲

1 眼 窩

2 頭蓋底

3 トルコ鞍周囲

NOTE
tram-track sign

第2章 頭頸部

傍咽頭間隙,口腔底,舌骨下頸部

1 傍咽頭間隙と周囲の間隙

2 口腔底とその周辺

3 舌骨下頸部

NOTE
滲出性中耳炎?
頭頸部癌の原発巣

第3章 脊椎・脊髄腔

髄内,硬膜内髄外,硬膜外および脊椎

1 髄 内

2 硬膜内髄外

3 硬膜外

4 脊 椎

第4章 胸部

1. 縦 隔

2 縦隔区分(規約区分)による鑑別診断

3 心横隔膜角部(cardiophrenic space)

4 横隔膜脚後腔(retrocrural space)

5 心嚢周囲構造

6 縦隔腫瘍? 肺腫瘍? 胸膜腫瘍?

NOTE
epipericardial fat pad ? pericardial fat pad ? paracardial fat pad ?

2. 肺・胸壁

1 胸膜の腫瘤性病変

2 巨大な腫瘤性病変

3 胸壁の腫瘤性病変

4 腹部臓器の胸腔内突出

5 慢性膿胸合併症

6 胸壁感染症の胸腔内波及

NOTE
split pleura sign

第5章 腹部

1. 上腹部

1 総 論

2 各 論

[未収載] 2. 後腹膜腔

1 後腹膜の解剖

2 後腹膜病変の分類

3 症例提示および読影手順

3. 下腹部(

1 総 論

2 各 論

第6章 骨軟部

1. 骨

1 骨組織

2 骨腫瘍診断における基本事項

3 骨髄腔内病変

4 骨皮質病変

5 骨膜下病変

6 骨膜性病変

7 傍骨性病変

NOTE
骨端(apophysis):荷重に関与しない骨突起
骨表在性病変:傍骨性(juxtacortical /parosteal),骨膜性(periosteal)

2. 軟部組織

1 骨由来か軟部由来か?

2 筋膜で区画された部位の診断

3 神経や腱膜・筋膜との関係

4 滑液包とリンパ節

NOTE
代表的な滑液包

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書籍情報

  • ISBN:9784780909449
  • ページ数:196頁
  • 書籍発行日:2017年2月
  • 電子版発売日:2017年12月8日
  • 判:B5判
  • 種別:eBook版 → 詳細はこちら
  • 同時利用可能端末数:3

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