看護管理と倫理の考えかた

  • ページ数 : 200頁
  • 書籍発行日 : 2014年3月
  • 電子版発売日 : 2019年8月9日
¥2,860(税込)
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商品情報

内容

臨床のジレンマ30事例を解決に導く!

臨床で看護師が「患者の権利」「看護師自身の権利」をめぐって倫理的なジレンマに悩む30の事例を挙げ,そのジレンマの正体を明らかにしながら,看護管理・倫理の視点で,看護師が,看護管理者が,解決に向けてよりよい判断や行動ができるようなヒントを示す.

序文

はじめに

看護師が臨床現場で倫理的問題と向き合う時,どのような思考をしているのか.その思考に影響を及ぼしているものは何か,倫理的問題を生じさせている背景には一体何があるのか――.看護実践について,倫理の立場からアプローチする私にとって,それらが最も関心のある事柄である.

看護師が遭遇する倫理的ジレンマは,そう単純なものではなく,看護師が身をおく職場環境・人間関係・看護師自身の考え方・患者の状況などさまざまなことに影響を受けている.臨床で活躍する看護師の皆さんとのこれまでの対話のなかで,倫理的問題は看護管理や組織上の問題とも複雑に関係しており,視点を広げてアプローチする必要があると感じていた.そこで趣旨に賛同する看護師,看護教員,大学院生がメンバーとなり「看護管理と倫理の研究会」をつくり,定期的に事例を持ち寄り検討してきた.本書は,その研究会のメンバーが執筆者となり,事例と解説を洗練させて書き上げたものである.

私以外のメンバーはすべて看護職である.メンバーとのディスカッションはもちろんのこと,研究会での私の楽しみの一つは,看護師という人々がいかなる世界で働き,いかなる思考パターンをしているのかを知ることでもあった.ほかのメンバーが当たり前のように考えていることも,私にとってはどれもが新鮮で,看護とは何かを改めて考える機会となった.研究会での事例検討は,メンバーが自分の経験から考えたことを率直に話し合い,難しいといわれる倫理的問題を言語化する場となっていた.

本書は,研究会のメンバー同士が「それってよくある!」とお互いに頷きあうような30 の創作事例をもとに,事例の主人公「私」が直面する倫理的ジレンマを看護管理と倫理の視点から読み解いていくという,従来の看護管理や看護倫理分野の書籍にはなかった新しい試みである.ここで取り上げている事例は,看護師の日常を写し出す鏡のようであり,看護師の思考のパターンをも浮き彫りにしている.こういう日常の看護実践のなかで倫理を考えることがいかに重要なことか,本書を通して実感していただけると思う.読者の皆さん自身が「おかしい」と悩み考えていることを言語化する手助けになればと願っている.なお,本書は中堅看護師を中心にしながら広くスタッフナースの皆さんに向けて書いているが,大学院の看護倫理等の授業でも活用してほしい.本書を通して日々の実践で「おかしい」「気になる」と思うことを改めてみつめ,倫理にかなう看護実践を考えるきっかけとなることを願っている.

また管理職の皆さんにとっては,スタッフが直面する倫理的問題を知り,管理職としてのアプローチを考える一助となればと思う.看護学生の皆さんは,事例を通して一足早く,近い将来遭遇するかもしれない出来事を体験できるのではないかと思っている.


2014年2月

編者を代表して

鶴若麻理

目次

第1章 倫理的ジレンマと向き合う看護管理と倫理のアプローチ 1

1 なぜ看護管理と倫理なのか

2 看護管理と倫理の視点からみる看護実践

第2 章 事例から看護管理と倫理を考える 19

1 患者の権利を守る

1「 患者の権利」と「組織のルールに従うこと」の対立

事例1 ルーチン化した清潔ケア

事例2 患者からの贈り物を受け取る

事例3 小児集中治療室(PICU)でのきょうだいの面会と院内感染管理

事例4 投薬ミスを患者に伝えるか否か

2 「患者の権利」と「権限をもつ人の方針に従うこと」の対立

事例5 経管栄養の実施にあたり高齢患者の意思が考慮されない

〈倫理関連コラム 生命医学倫理の4原則〉

事例6 回復を望めない重篤な疾患をもつ新生児への治療中止をめぐる家族と医師の対立

3 「患者の権利」と「医療資源の配分」の対立

事例7 小児集中治療室(PICU)における医療資源の配分

事例8 死期が近づいた患者を大部屋で看取る

4 「患者の権利」と「患者の権利」の対立

事例9 外来を受診する認知症高齢者の診療と治療

事例10 救急病棟で男性患者と女性患者を同室にする

5 「患者の権利」と「患者の家族の意向に従うこと」の対立

事例11 子どもへの説明を拒否する母親への対応

事例12 高齢患者に対する家族からの虐待

6 「患者の権利」と「患者の家族の病名をチームで共有すること」の対立

事例13 患者の家族の病名をチーム内で共有する

2 看護師自身の権利を守る

1 適切とはいえない労働環境―ワークライフバランスが尊重されない

事例14 先輩看護師より先には帰りづらい

事例15 独身看護師ばかりに偏った土日勤務

事例16 新人看護師へ長時間の指導を行う先輩看護師

2 適切とはいえない労働環境―正当な賃金が得られない

事例17 常態化した未払い残業

3 適切とはいえない労働環境―身体的負担が軽減されない

事例18 物品コスト削減と医療者の安全, どちらを優先すべきか

〈法律関連コラム 看護師に対する安全配慮義務〉

事例19 男性という理由で, 通常2人で行うケアを1人で実施することがあたり前になっている

事例20 自力で移動が困難な患者の喫煙の希望

4 適切とはいえない労働環境―精神的負担が軽減されない

事例21 患者のクレームへの対処

5 看護師へのハラスメント

事例22 医師から看護師へのセクシュアルハラスメント

〈法律関連コラム セクハラと法〉

事例23 医師から新人看護師へのパワーハラスメント

事例24 患者からの好意への対処

6 看護師の意思が尊重されない

事例25 新人看護師が十分な情報の提示がないまま職能団体に加入させられる

事例26 個人の意思が尊重されないまま研究対象者として研究に参加させられる

7 看護師の能力が維持・開発されない

事例27 インシデントの当事者である看護師には仕事を任せない

事例28 初歩的なミスを繰り返すスタッフへの対処

事例29 特定の看護師を担当から外してほしいという患者の要望

事例30 特定の者が強い決定権をもち, 各看護師の意向が取り入れられない

第3 章 倫理的実践が可能となる組織を目指して

1 組織を変革することと臨床倫理委員会の活用


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書籍情報

  • ISBN:9784059151180
  • ページ数:200頁
  • 書籍発行日:2014年3月
  • 電子版発売日:2019年8月9日
  • 判:B5判
  • 種別:eBook版 → 詳細はこちら
  • 同時利用可能端末数:3

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