小澤竹俊の緩和ケア読本 苦しむ人と向き合うすべての人へ

  • ページ数 : 200頁
  • 書籍発行日 : 2012年7月
  • 電子版発売日 : 2013年7月12日
¥2,090(税込)
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商品情報

内容

治すことのできない患者さんを前にして私たちには何ができるのか?

「やがてお迎えが来る人の前で、私たちには何ができるのでしょうか?」 この難問の解決策を、なるべくシンプルに言葉にした。

専門用語を最小限にして、会話シーンも織り込みつつ、具体的にわかりやすく「緩和ケア」のエッセンスをまとめた1冊です。看取りに関わることで自身も苦しむすべての人に贈ります!

序文

もしあなたが、まもなくお迎えが近いと思われる人の担当になったら、どのように関わるでしょう?どれほど心を込めて関わっていっても、日に日に弱くなっていきます。安易な励ましは通じません。元気になっていく人と関わるのではなく、食事が減り、歩けなくなり、やがてお迎えが来る人の前で、私たちは、何ができるのでしょうか?

この難問の解決策をなるべくシンプルに言葉にしてみたいと思います。長年、緩和ケアを実践し、学んできた経験をもとに、めぐみ在宅援助モデルを考案しました。


めぐみ在宅援助モデル


1.相手の苦しみをキャッチする

2.相手の支えをキャッチする

3.どんな私たちであれば、相手の支えを強めることができるのかを知り、実践する

4.支えようとする私たちの支えを知る


あなたが関わっている人の中で、苦しんでいる人を思い出してみて下さい。その人の苦しみをやわらげる援助を当てはめてみましょう。


相手の苦しみをキャッチする


まずはていねいに、相手の苦しみをキャッチしたいと思います。どんな苦しみがあるかを知ることは大切です。痛みであれば、痛み止めなどの工夫で和らぐことでしょう。しかし、どれほど医学が発達しても、すべての苦しみを取り除くことなどできません。病気の進行とともにやがてお迎えが来てしまいます。では、どうしたらよいのでしょう。苦しみが残りながらも人は穏やかに生きていくことができるのでしょうか?答えはイエスです。人は“支え”が与えられたとき、“苦しみ”の中でも穏やかさを保ちながら生きることができます。ですから、相手の支えをキャッチすることを次の課題とします。


相手の支えをキャッチする


相手の支えにはどのようなものがあるでしょう。健康なとき、苦しまないときには気づかなかった自らの“支え”に、病気やけがや困難や苦しみを通して、人は気づいていきます。その“支え”をキャッチしていきたいと思います。


どんな私たちであれば、相手の支えを強めることができるのかを知り、実践する


これが難しいのです。相手の支えを強めることは、励ますことでも、苦しみの原因をわかりやすく説明することでもありません。“苦しんでいる人は、自分の苦しみをわかってくれる人がいるとうれしい”ということを学ぶ必要があります。


支えようとする私たちの支えを知る


決して臨床の現場は良い話だけではありません。力になれずに苦しむことがあります。看取りの現場において大切にしたいテーマは、“逃げない”ことです。力になれなくても逃げずに関わり続けるためには、支えようとする私たちの支えが必要になります。“誰かの支えになろうとする人こそ、一番、支えを必要としています”という言葉を、私は座右の銘としています。

さて、あなたが頭の中に浮かべた苦しむ人の関わり方は見えてきたでしょうか?苦しみをキャッチしつつ、相手の支えをキャッチしていきます。そして、その人の支えを強めることができるとき、これ以上つらいことはないという絶望の中にあっても、希望の光を見いだすことができます。支えを強めることができるのは、一部のエキスパートだけではありません。私たち全員が持つ可能性です。

これから日本は多死時代を迎えようとしています。様々な理由で、人生を終えようとする人達が、急性期の病院ではなく、在宅や介護施設で過ごす時代になります。元気な人と関わるだけではなく、日に日に弱っていく人と関わり、誠実に援助を行える人が、それぞれの地域で求められます。医師・看護師・薬剤師といった医療専門職だけではなく、介護・福祉に関わる人にも、あるいは患者さんの家族にも理解でき、実践できる緩和ケアでなければ、本当の意味で緩和ケアは広がっていかないでしょう。

この本では、私が学んできた緩和ケアについて、専門用語を最小限にして、そのエッセンスを表現してみました。この本を通して、苦しむ人と向き合う仲間が一人でも増えていくことを、心から願っています。


2012年 7月

めぐみ在宅クリニック院長
小澤 竹俊

目次

第1章 苦しみをキャッチする基本テクをマスターしよう

その1 良い援助者の第一歩とは?

その2 同じ出来事ならば、苦しみは、同じなのでしょうか?

その3 一人ひとり異なる苦しみに、共通点などあるのでしょうか?

その4 苦しみの大きさを評価することはできますか?

その5 4つの苦しみについて教えて下さい

その6 良い援助者になるために、第一線の現場で有用な苦しみの分類はありますか?

その7 身体的な苦しみへの対応を教えて下さい

その8 スピリチュアルな苦しみについて教えて下さい

その9 将来の夢を失うスピリチュアルな苦しみとはどのような苦しみですか?

その10 将来の夢を失うスピリチュアルな苦しみを、もっと具体的な例で紹介して下さい

その11 関係の支えを失うスピリチュアルな苦しみとはどのような苦しみですか?

その12 死別後の悲しみはどのような苦しみですか?

その13 関係の支えを失う苦しみの具体的な例を教えて下さい

その14 選ぶことができる自由を失うスピリチュアルな苦しみとはどのような苦しみですか?

その15 トイレに一人で行けない、迷惑をかける苦しみはどんな苦しみですか?

その16 未告知の患者さんの苦しみはどのような苦しみですか?

その17 選ぶことができる自由が奪われる苦しみについて、具体的に実例を挙げて下さい

Column 1 感性を養う難しさ

第2章 支えをキャッチする基本テクをマスターしよう

その1 苦しみの中でも幸せがみつかるのでしょうか?

その2 苦しみの中でも幸せと思うのはなぜ?

その3 将来の夢とはどのようなものですか?

その4 将来の夢は、この地上だけのものですか?

その5 支えとなる関係はどのようなものですか?

その6 支えとなる関係は、手で触れる必要がありますか?

その7 選ぶことができる自由とはどのようなものですか?

その8 自律と自立の違いについて教えて下さい

その9 宗教は支えになりますか?

Column 2 定食セットのみのお店か?単品オーダー可能なお店か?

第3章 どのような私たちであれば相手の支えを強めることができるのでしょうか?

その1 苦しんでいる人は、どのような人がいるとうれしいのでしょうか?

その2 相手の苦しみをわかること、理解することはできますか?

その3 相手の苦しみを100%理解できないとしたら、私にできることはどんなことですか?

その4 どんな人が、苦しんでいる人から見て、理解者(わかってもらえる人)になるのですか?

その5 どのように聴くと、理解者(わかってくれる人)になるのでしょうか?

その6 反復がないと、どんな会話になるのでしょうか?

その7 反復があると、どのような会話になるでしょうか?

その8 どのように反復すると良いのでしょうか?

その9 沈黙とはどのような技法ですか?

その10 沈黙がないと、どのような会話になるのでしょうか?

その11 沈黙があることで、何が変わるのでしょうか?

その12 問いかけとはどのような技法ですか?

その13 支えを強めるための問いかけについて、教えて下さい

その14 聴くことだけが支えを強める援助になるのですか?

Column 3 "支える"と"支えを強める援助"

第4章 支えようとする私たちの支えを知る

その1 ホスピスの話はきれいな話が多いですが、良い話だけですか?

その2 力になれないとき、どんな工夫をしましたか?

その3 弱さ・無力の持つ確かな力とは?

第5章 人はどのようにして最期を迎えるの?─終末期の自然経過─

その1 終末期で共通する自然な経過とはどのようなものですか?

その2 食事が減ることで気をつけることは?

その3 歩ける距離が短くなることで気をつけることは?

その4 なぜ食事が減り、眠くなる時間が増え、歩く距離が短くなるのでしょう?

その5 治療が難しくなった人の相談を受けるとき、どのように対応したら良いのでしょうか?

その6 急ぐ相談、待てる相談を見わけるヒントはどのようなものですか?

Column 4  誰のために緩和ケアがあるのでしょう?

Column 5 急性期医療でも、緩和ケアでも共通する関わりについて

第6章 演 習

はじめに

演習1 最期まで自宅で療養したい人への支援

演習2 最期まで施設で療養したい人への支援

演習3 孫の成長を楽しみにしている人への支援

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  • コンテンツの使用にあたり、M2Plus Launcherが必要です。 導入方法の詳細はこちら
  • Appleロゴは、Apple Inc.の商標です。
  • Androidロゴは Google LLC の商標です。

書籍情報

  • ISBN:9784784943302
  • ページ数:200頁
  • 書籍発行日:2012年7月
  • 電子版発売日:2013年7月12日
  • 判:A5判
  • 種別:eBook版 → 詳細はこちら
  • 同時利用可能端末数:3

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特記事項

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