腫瘍病理鑑別診断アトラス 皮膚腫瘍II

  • ページ数 : 340頁
  • 書籍発行日 : 2010年12月
  • 電子版発売日 : 2019年2月6日
¥16,500(税込)
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商品情報

内容

皮膚腫瘍の病理診断のスタンダードをめざした腫瘍病理鑑別診断アトラス!

皮膚腫瘍は,組織学的にも多彩であると同時に腫瘍概念も多彩で,WHO分類でもさまざまな問題点を内包している.そこで本書は,その矛盾点を整理し訂正した形で組織分類を提示し,アトラスとして明快に解説した.2分冊の1冊目となる『皮膚腫瘍II』では,メラノサイト系腫瘍とリンパ・組織球・造血系腫瘍を取り上げる.皮膚科医と病理医にとって皮膚腫瘍に関するひとつの「共通語」を提供し,相互理解を促進するとともに,研修医にも役立つ病理学的ガイドラインとした.

>『 腫瘍病理鑑別診断アトラス』シリーズ

序文

皮膚腫瘍は,臨床的に気づかれやすく,生検されやすい位置にあるため,病理に提出される材料は多く,組織学的にその種類も多彩である.また,他臓器に同様の腫瘍があるとしても,その生物学的特性は皮膚特有で,取扱いも異なることが多い.それは,その発生母体となる細胞の種類が多いことに加え,様々な成分が混在する腫瘍が多いことにもよる.そのため,腫瘍概念も多彩で,これまで様々なものが提唱されてきた.同一の腫瘍でありながら,名称の異なるものもある.近年,これらを統廃合し,もっと発生学的に理解しやすい皮膚腫瘍分類を作る試みがなされてきたが,いまだ十分に合意の得られたものはない.2006年に提出されたWHO分類は様々な問題点を内包しているものの,すでに確立された概念を選び出しまとめたため,ある程度多くの研究者に支持され得る分類となっていると言えよう.一方,日本皮膚悪性腫瘍学会による「皮膚悪性腫瘍取扱い規約」は組織分類を提示するよりも,皮膚原発悪性腫瘍の診断へのアプローチの仕方と,病期分類や治療内容を正確に記載するための基準を指し示すにとどまっている.

そこで,本書では,WHO分類を中心としながらも,その矛盾点を少し訂正した形で組織分類を提示し,それぞれを解説していくこととした.しかし,かなり整理された分類であるといっても,すべての腫瘍を網羅しようとすると1冊の本にまとめることが困難となる.したがって,本皮膚腫瘍病理アトラスを2分冊として編集させて頂くことにした.第一編では角化細胞性腫瘍,付属器系腫瘍と皮膚特有の間葉系腫瘍を取り上げ,メラノサイト系腫瘍とリンパ・組織球・造血系腫瘍を第二編として別に取り扱うこととした.そのため,基本的な領域に関しては多少重複させ,それぞれまとまった形で提示し,持ち歩きやすく使いやすいように配慮した.各分冊とも「検鏡前の確認事項」,「組織型と診断の実際」,「鑑別ポイント」,「臨床との連携」の4部に分かれている.それぞれの病変での病理検体の取扱いから,組織分類に沿った各腫瘍の解説,類似病変とその鑑別法,知っておくべき臨床上の取扱いと治療法など,多くを記載した.それに加え,分類や概説では表せない必要事項や最近の知見を「トピックス」として随所に盛り込むことにした.本編は「Ⅱ.メラノサイト系腫瘍とリンパ・組織球・造血系腫瘍」を取扱ったものである.

皮膚病理の分野では,いまだに臨床と病理との間でお互い理解の及びがたいところが存在している.本書が,皮膚科医と病理医にとって皮膚腫瘍に関するひとつの"共通語"を提供し,相互理解を促進するとともに,研修医にとっても役立つ病理学的ガイドラインとなることを期待している.


平成22年11月

真鍋 俊明
清水 道生


この「腫瘍病理鑑別診断アトラスシリーズ」は日本病理学会の編集協力のもと,刊行委員会を設置し,本シリーズが日本の病理学の標準的なガイドラインとなるよう,各巻ごとの編集者選定をはじめ取りまとめをおこなっています.

腫瘍病理鑑別診断アトラス刊行委員会
坂本 穆彦,深山 正久,真鍋 俊明,森永 正二郎

目次

第1部 検鏡前の確認事項

I.メラノサイト系腫瘍とリンパ・組織球・造血系腫瘍の分類

1.メラノサイト系腫瘍の分類

2.リンパ・組織球・造血系腫瘍の分類

II.病理標本の取扱い方

1.メラノサイト系腫瘍を念頭に置いた摘出材料の取扱い

2.リンパ球・組織球・造血系腫瘍を念頭に置いた取扱い

第2部 組織型と診断の実際

I.メラノサイト系腫瘍

1.良性腫瘍および腫瘍類似病変:母斑細胞母斑

総論

各論

(1)先天性色素細胞性母斑

(2)青色母斑

(3)合併母斑

(4)黒色斑

(5)単純黒子

(6)異形成母斑

(7)部位特異的母斑(肢端母斑,外陰部母斑)とMeyerson母斑

(8)持続性(再発性)色素細胞性母斑

(9)Spitz母斑

(10)(Reed)色素性紡錘形細胞母斑

(11)白暈母斑

2.悪性腫瘍:悪性黒色腫

総論

各論

(1)表在拡大型黒色腫

(2)結節型黒色腫

(3)悪性黒子と悪性黒子型黒色腫

(4)肢端黒子型黒色腫

(5)線維形成性黒色腫と線維形成性神経向性黒色腫

(6)青色母斑由来の黒色腫

(7)先天性巨大色素性母斑由来の悪性黒色腫

(8)小児黒色腫

(9)母斑様黒色腫

(10)持続性黒色腫と黒色腫の局所転移

II.リンパ・組織球・造血系腫瘍

1.良性腫瘍および腫瘍類似病変

総論

各論

(1)偽リンパ腫

(2)類乾癬

(3)Langerhans細胞組織球症

(4)不定細胞組織球症

(5)塊状リンパ節症を伴う洞組織球症

(6)若年性黄色肉芽腫

(7)細網組織球症

(8)先天性自然消失性細網組織球症

(9)肥満細胞症

2.悪性腫瘍

総論

各論

(1)菌状息肉症

(2)Sezary症候群

(3)肉芽腫性皮膚弛緩症

(4)CD30陽性T細胞リンパ増殖性疾患

(5)皮下脂肪織炎様T細胞リンパ腫

(6)原発性皮膚末梢性T細胞リンパ腫,非特定

(7)皮膚成人T細胞白血病/リンパ腫

(8)節外性NK/T細胞リンパ腫,鼻型

(9)皮膚外原発T細胞リンパ腫の皮膚浸潤

(10)皮膚原発濾胞辺縁帯B細胞リンパ腫

(11)皮膚原発濾胞中心リンパ腫

(12)皮膚原発大細胞型B細胞リンパ腫

(13)血管内大細胞型B細胞リンパ腫

(14)リンパ腫様肉芽腫症

(15)皮膚外原発B細胞リンパ腫の皮膚浸潤

(16)Hodgkinリンパ腫

(17)芽球型NK細胞リンパ腫

(18)前駆Tリンパ芽球型リンパ腫/白血病と前駆Bリンパ芽球型リンパ腫/白血病

(19)真性組織球性リンパ腫

(20)骨髄性白血病の皮膚浸潤

第3部 鑑別ポイント

I.メラノサイト系腫瘍で問題となる疾患の鑑別

1.Spitz母斑と悪性黒色腫

2.悪性黒色腫と先天性母斑

3.異形成母斑と悪性黒色腫

4.線維形成性黒色腫と線維形成性Spitz母斑

5.先天性母斑に発生する増殖結節と悪性黒色腫

6.Meyerson母斑と湿疹

7.単純黒子と日光色素斑

II.メラノサイト系腫瘍の免疫組織化学

1.メラノサイト系マーカーについて

2.正常のメラノサイトの免疫組織化学

3.母斑細胞性母斑における免疫組織化学

4.悪性黒色腫における免疫組織化学

5.未分化腫瘍の鑑別

III.リンパ・組織球・造血系腫瘍で問題となる疾患の鑑別

1.菌状息肉症と扁平苔癬とその他の炎症

2.表皮内浸潤を伴う皮膚悪性リンパ腫の鑑別

3.辺縁帯B細胞リンパ腫と皮膚形質細胞増加症

4.皮下脂肪織を侵すリンパ腫の鑑別

5.血管内大細胞型B細胞リンパ腫と反応性血管内皮細胞腫症

6.Langerhans細胞組織球症と肥満細胞症

7.Rosai-Dorfman病と若年性黄色肉芽腫

IV.リンパ・組織球・造血系腫瘍の免疫組織化学

1.リンパ・組織球・造血器腫瘍と他細胞系腫瘍の鑑別

2.リンパ・組織球・造血器腫瘍の鑑別

3.リンパ系腫瘍の鑑別

第4部 臨床との連携

I.ダーモスコピーによる色素性病変の鑑別

II.皮膚原発悪性黒色腫の病期分類と病期別治療指針

III.皮膚原発悪性黒色腫の治療効果判定基準

IV.リンパ・造血系腫瘍における病期の判定と病期別治療方針

V.リンパ・組織球・造血系腫瘍における治療効果判定

VI.病理診断報告書の記載


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書籍情報

  • ISBN:9784830622298
  • ページ数:340頁
  • 書籍発行日:2010年12月
  • 電子版発売日:2019年2月6日
  • 判:B5変型
  • 種別:eBook版 → 詳細はこちら
  • 同時利用可能端末数:3

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