腫瘍病理鑑別診断アトラス 甲状腺癌

  • ページ数 : 254頁
  • 書籍発行日 : 2011年4月
  • 電子版発売日 : 2019年2月20日
¥13,200(税込)
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商品情報

内容

甲状腺癌の病理診断のスタンダードをめざした腫瘍病理鑑別診断アトラス!

甲状腺癌は,予後良好な乳頭癌・濾胞癌から,きわめて増殖スピードが速く,有効な治療のない未分化癌にいたるまで,さまざまな生物学的態度を示す病態がある.本書は,取扱い規約やWHO分類を読んだだけではわかりづらい実際の取り扱い,診断のポイントとコツをわかりやすく記載するほか,低分化癌やCASTLEなどの新しい疾患概念の解説,依然として重要な課題である濾胞癌と濾胞腺腫の鑑別,穿刺吸引細胞診についても盛り込んだ.

>『 腫瘍病理鑑別診断アトラス』シリーズ

序文

本年3月11日の東日本大震災で引き起こされた福島第一原子力発電所事故との関連で,放射性物質による甲状腺癌発生率上昇の危険性が国民的関心事となっている.今までの事例をみると,とりわけ年少者に甲状腺乳頭癌の発生が増す危険性があると推測される.

甲状腺癌が一般の注目を浴びるのは,残念ながら今回のように放射線障害としてである.このたびは,放射性ヨード摂取は甲状腺癌発生率を高めうるという知識だけは広く浸透したように思われる.

ところで,甲状腺癌は,予後良好な乳頭癌・濾胞癌から,極めて増殖スピードが速く,有効な治療のない未分化癌に至るまで,様々な生物学的態度を示す病態がある.しかも,臨床に密着して機能する病理診断では,単に"悪性である"あるいは"腺癌である"というレベルではなく,個々の病変はいかなる組織型であるかの判断が要求される.他方,近年改訂されたWHO分類や取扱い規約分類では,低分化癌やCASTLEなどの新しい疾患も加えられ,これらの理解の普及は急務である.また,従来から議論されてきた濾胞癌と濾胞腺腫の鑑別も依然として重要な課題である.穿刺吸引細胞診の利用も含め,濾胞性腫瘍の診断にはどのような考え方で臨むべきかも,今日的な対応の理解が求められている.

本書では,このような新旧の様々な病理診断上の課題について解説される.病理医の診断業務の一助として,また病理診断への一般的な知識を深める手段として活用していただければ幸いである.

平成23年4月

坂本 穆彦
廣川 満良


この「腫瘍病理鑑別診断アトラスシリーズ」は日本病理学会の編集協力のもと,刊行委員会を設置し,本シリーズが日本の病理学の標準的なガイドラインとなるよう,各巻ごとの編集者選定をはじめ取りまとめをおこなっています.

腫瘍病理鑑別診断アトラス刊行委員会
坂本穆彦,深山正久,真鍋俊明,森永正二郎

目次

第1部 検鏡前の確認事項

I.取扱い規約分類とWHO組織分類

1.取扱い規約の意義

2.現行取扱い規約刊行までの変遷

3.WHO組織分類の推移

4.細胞診の扱い

II.病理標本の取扱い方

1.生検材料の取扱い

2.手術材料の取扱い

3.固定法の実際と取扱い規約に沿った切り出し法

第2部 組織型と診断の実際

I.悪性腫瘍

1.乳頭癌

2.濾胞癌

3.低分化癌

4.未分化癌

5.髄様癌(C細胞癌)

6.悪性リンパ腫

7.その他の原発性悪性腫瘍

1.胸腺様分化を示す癌(ITET/CASTLE)

2.胸腺様分化を伴う紡錘形細胞腫瘍(SETTLE)

3.粘表皮癌

4.扁平上皮癌

5.平滑筋肉腫

8.転移性腫瘍

II.その他の腫瘍および関連病変

1.濾胞腺腫

2.好酸性細胞腫瘍

3.硝子化索状腫瘍

4.腺腫様甲状腺腫

5.その他

1.奇形腫

2.傍神経節腫

3.神経鞘腫

4.甲状腺内(異所性)胸腺腫

第3部 鑑別ポイント

I.核内細胞質封入体・すりガラス状核・核の溝

II.扁平上皮化生とモルラ

III.脈管侵襲

IV.被膜浸潤

V.被膜形成を伴う病変

VI.明細胞の評価

VII.囊胞の評価

VIII.微小癌

IX.異所性甲状腺組織

X.診断に有用な免疫染色

1.甲状腺腫瘍の診断に用いられる主な抗体

2.甲状腺の転写因子

3.甲状腺ホルモン関連抗体

4.C細胞ホルモン関連抗体

5.細胞骨格線維

6.細胞接着因子関連抗体

7.細胞膜表面抗原抗体

8.細胞増殖,細胞死関連抗体

9.脈管抗原

10.甲状腺癌の分化度と免疫染色で検出される分化形質

第4部 臨床との連携

I.臨床診断のアルゴリズムと治療

1.甲状腺悪性腫瘍の診断

2.甲状腺悪性腫瘍の治療

II.放射線被曝と甲状腺癌

1.医療被曝と甲状腺癌

2.原爆被爆と甲状腺癌

3.チェルノブイリ原発事故と小児甲状腺癌

4.動物実験での放射線誘発甲状腺腫瘍

5.甲状腺癌とヨードの影響

6.放射線誘発甲状腺癌の遺伝子異常

7.放射線の胎児への影響

8.核実験場と甲状腺癌

III.甲状腺機能検査と甲状腺腫瘍

1.サイログロブリン(Tg)

2.TgAb,抗甲状腺ペルオキシダーゼ抗体(TPOAb)

3.遊離T42遊離T3

4.甲状腺刺激ホルモン2TSH)

5.TSH受容体抗体(2RAb)

6.2後の展望

IV.遺伝2甲状腺癌

1.Cowd2n症候群

2.家族性大腸ポ2ポーシス

3.Wern2r症候群

4.多発性内2泌腫瘍症

5.その他の症候群に関連する2状腺腫瘍

6.症候群非関連の家族性非髄様癌2甲状腺癌

V.術前診断における穿刺吸引細2診の意義

1.細胞診で甲状腺悪性腫瘍との診断の2ンパクト

2.2移の診断

3.細胞診で良性との診断の2ンパクト

VI.術中迅速診断の2応と限界

1.腫瘍の2前評価法

2.腫2の手術法

3.術中迅速2断の適応

VII.病理診断報2書の記載

1.甲状腺組織検体に関する病理2断報告書

2.甲状腺穿刺細胞診検体に関する病理2断報告書

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書籍情報

  • ISBN:9784830622328
  • ページ数:254頁
  • 書籍発行日:2011年4月
  • 電子版発売日:2019年2月20日
  • 判:B5変型
  • 種別:eBook版 → 詳細はこちら
  • 同時利用可能端末数:3

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