改訂第3版の序文
1988年に本書の初版として,「実地医家のための外来小手術アトラス」が世に出てから,もう18年という年月が経つ.私は大学での教育職を断念して,市井の一形成外科医として生きて行くことを決意して,はや四半世紀が経った.私の専門分野である形成外科,美容外科は,開業してからのほうが手術件数が俄然多くなるという,他の外科系診療科では考えられない,唯一特殊な診療科である.おかげで外来手術で可能な手術に関しては,大学病院や総合病院などの施設の病院の形成外科医よりもずっと多くの手術症例を経験することができ,現在もまだそれが続いている.
そこで今回の改訂では,イラストによる解説だけでなく,実際の症例をできるだけ各章のなかに供覧することにした.それによって,読者にその手術法が間違いのないものとの確信をインプットできればと思う.そして,その症例の術前と手術,そしてさらに術後経過を見て頂き,「早く治す」だけでなく,本書が目指すところの「美しく治す」ための参考にして頂きたいと願う次第である.
大学病院や総合病院では,その大きい組織ゆえに,今なお患者よりも医者の方が立場が上というイメージがある.それゆえ患者は不満があってもよほどの落ち度がない限り,ストレートにクレームをいうことはない.しかし,著者のような第一線のクリニックでは,患者は対等の立場でものをいう傾向にあり,少しでも気に入らなければ不満をいう.そしてちゃんとした結果を出して初めて,患者の方から敬意を払ってもらえることになる.そこでようやく患者よりも立場が少しだけ上位になるわけである.
そういう状況下で,20年あまりの歳月を過ごして来た著者は,今振り返って考えて見ても,患者が患者を呼ぶ,つまり口コミで患者が集まるようになるには10 年以上の年月を要した.
本書のタイトルに,今回「スキル」という冠をつけさせて頂いたのは,著者が現在手掛けている「スキル美容外科手術アトラス」と,タイトルを統一させる意味もあるが,"skill"とは,「習練により得られる,特に巧妙な特殊技能」という意味であり,"technique"よりも深い意味があるところが,著者の目指す主旨に合致していると思うからである.
本書のタイトルに,今回「スキル」という冠をつけさせて頂いたのは,著者が現在手掛けている「スキル美容外科手術アトラス」と,タイトルを統一させる意味もあるが,"skill"とは,「習練により得られる,特に巧妙な特殊技能」という意味であり,"technique"よりも深い意味があるところが,著者の目指す主旨に合致していると思うからである.本書のタイトルに,今回「スキル」という冠をつけさせて頂いたのは,著者が現在手掛けている「スキル美容外科手術アトラス」と,タイトルを統一させる意味もあるが,"skill"とは,「習練により得られる,特に巧妙な特殊技能」という意味であり,"technique"よりも深い意味があるところが,著者の目指す主旨に合致していると思うからである.
著者が今もそうしているように,1例1例を大切に精魂込めて取り組んで頂きたいと願う.そして手術は抜糸がすめばおしまいではなく,少なくとも1ヵ月後,できれば術後2,3ヵ月まではフォローして観察して見て頂きたい.そこでようやく見えて来るものがあるはずである.そこで初めて価値ある納得と反省ができるのである.「手術1症例の十分な考察は,10例の経験に匹敵する価値がある」と著者は確信する.
本書を手に取るご縁を頂いた先生方すべての,今後の精進とご発展を心より願っている.
最後に,著者のわがままな企画に従って,新刊と変わらないほど大変な,改訂版作りを承諾頂き,アドバイスを頂いた文光堂の浅井照夫顧問と企画部の鈴木祥子氏と,そして膨大な時間を本書の完成につぎ込んで下さったスタッフ諸氏に深く感謝申し上げる次第である.
2006年3月9日
市田 正成