CIRCULATION Up-to-Date Books07 いま、なぜ心不全ですか?

  • ページ数 : 176頁
  • 書籍発行日 : 2015年5月
  • 電子版発売日 : 2015年9月25日
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商品情報

内容

なぜ脳に注目? 心機能はどう扱う? 腎機能障害の評価は? 貧血の意義は?運動は? 栄養は? 薬は? そして未来は?

心不全治療に熱い思いをもって2013年に立ち上がった「U40心不全ネットワーク」。
その若手医師たちが、今の心不全治療をどう見ているのか、何に注目し、何を解決して、どこを目指そうとしているのか。Dr.大西が問います。

CIRCULATION Up-to-Date Booksシリーズ

序文

はじめに

なぜU40心不全ネットワークを作ったのですか?


大西 本来,巻頭言では著者や編者がこの本に込めた思いなどを語るところですが,本書ではU40心不全ネットワーク(以下U40)の代表幹事を務める木田圭亮先生にご登場いただき,U40結成の経緯や思いを伺ってみたいと思います.それでは木田先生,よろしくお願いします.

木田 よろしくお願いします.

大西 さっそくですが,U40はどのようなきっかけで企画されたのですか?

木田 2013年9月に熊本で開催された第61回日本心臓病学会学術集会の夜,若手医師数名で集まる機会がありました.それ以前から研究会や学会などで,他施設の同年代の知り合いの先生はいましたが,顔と名前が一致しないことも多く,なかなか話す機会もないという状況でした.同年代で心不全を専門に日々の診療と研究をしている者同士が集まるだけで,心不全をネタに何時間でも話が止まりません.そんななかで,心不全のおもしろさ,奥深さ,そしてこれからの心不全に対する危機感,いろんな共通した思いがあることを感じました.

大西 私もそうでしたが,同世代の人たちと現場の意見交換をすることで,新しい臨床に即したアイデアが湧くことが多いのは事実ですね.

木田 そんな思いから1カ月,構想を練りました.サッカー日本代表がワールドカップの優勝を目指し,若い選手たちが海外リーグで活躍する姿を重ね合わせ,2013年10月にFacebookを利用して,"友達"数名に以下のようなメッセージを送りました.

「マリアンナの木田です.今回,新しい企画を提案させてください.われわれ世代(U40)による心不全専門医のネットワークを作っていきませんか?ほかにも全国でがんばっておられる先生方との輪を拡げていきましょう.みなさんのご意見をお願いします!」

すると,予想をはるかに超え,一気に全国にネットワークが拡がりました.

大西 Facebookを利用されたのは,おもしろいと思います.始まりはどのようなかたちでしたか?

木田 まずは,2013年11月に大宮で行われた第17回日本心不全学会学術集会で発足会をしようということになり,全国から30名ほどが集まりました.そこで,U40のコンセプトを話し合い,会則や幹事などの大枠が決まりました.また,懇親会だけではなく,教育的な強化合宿をやること,学会でのジョイントセッション,書籍や教科書の出版,ロゴの作成,全国多施設共同による臨床研究などで論文を作成し日本から世界へ発信していくことなど多くのアイデアが出されました.そしてもう一つ,私たちU40世代だけでの活動ではなく,日本の心不全のオピニオンリーダーの先生方にサポーターとして入っていただきたいと考えました.そして,後に顧問としてサポートいただくことになる先生方に以下のようなメッセージを送りました.

「本会は先日の日本心不全学会学術集会の夜に発足しました.先生に憧れ,心不全に情熱のある,これからの心不全を支える,20代,30代によるU40の会です.ぜひ,先生にはアドバイザーというか顧問というか,サポーターとして,われわれ世代を後押ししていただく立場として,本会を温かく見守っていただけたら幸いです」

大西 メッセージが届いて,「ついに自分たちより若い人たちが動き出したか!」とうれしかったことを覚えています.

木田 はい,大西先生からは以下のようなメッセージをいただき,感激したことを覚えています.

「木田先生,お誘いいただきありがとうございます.この10年,心不全のトップランナーが代わらないことを危惧しておりました.心不全の分野に大きな波をもたらしてくれることを期待しております.私も駆け出しのころ,他大学の先生方に無償でいろいろ教えていただきました.臨床心機能しかできない私が何をお手伝いできるかわかりませんが,後方支援させていただきます」

ほかにも「木田先生,仲間に入れていただいて光栄ですが,すでに心不全治療の未来を創る使命は先生方の世代に移っていると思います.私は,その先行地ならし部隊として裏方に徹します.あとはよろしくお願いいたします」「新しい風が巻き上がり出しましたね.みんなで日本の心不全に対する心意気を世界に示しましょう.僕もジャスト40なので,ますます熱い気持ちでがんばります.ありがとう」など,日本の心不全を牽引する一世代上のオピニオンリーダーの先生方からこのような熱いメッセージをいただき,本当にありがたかったです.

大西 われわれはU40の言葉を借りればU50となりますので,マネジメント業務も増え,残念ながら現場から少しずつ足が遠ざかっていきます.そういう意味では,まさに心不全の現場を支えている先生たちの世代が発信する情報が重要だと思います.今後,U40をどのように展開していきたいと考えていますか?

木田 活動自体はまだ1年数カ月に過ぎませんが,ものすごい勢いで動き出しています.2014年6月には2日間にわたり,フェローコースという名称で名古屋で国内合宿をして,全国から60名のメンバーが集まりました.第2回は2015年6月に東京で開催予定です.2014年10月に大阪で開催された第18回日本心不全学会学術集会では2時間の枠をいただき,症例検討会を行うことができました.また,REALITY-AHFという多施設共同の急性心不全レジストリーもエントリー開始となりました.こちらの結果もたいへん楽しみです.また,U40のメンバーはすでに留学帰りや現在留学中の人たちがいたり,これから留学したいなど状況もさまざまで,非常にモチベーションが高く,お互い刺激し合える仲間たちです.飲み会だけの仲良しサークルではなく,しっかりと結果を求めていく体育会系,仕事きっちりの戦闘集団であることをお忘れなく(笑).U40に参加したい,興味のある先生は,次ページの連絡先までご連絡ください.お待ちしています.

大西 今後,どんどん仲間が増え,U40として研究発表や論文が増えてくるといいですね.先生方が何をやっているグループかということを,循環器内科医やコメディカルに知ってもらいたくて,本書を企画しました.

木田 本書を通して心不全に興味をもち,心不全を専門とする研修医や若手循環器内科医が増え,日本全体の心不全学の底上げができ,さらなる発展に寄与できたらと思います.今回は,自分が心不全で興味をもっている部分,書きたいところを書こうというコンセプトで始まりました.しかし,同じ心不全に興味があるといっても,みんな興味のある部分が違います.まさに,心不全が単一疾患ではなく,複雑な病態,多様性のある治療,管理が必要であることを反映していると感じました.それでも共通した問題意識,これから私たちが解決していかなければならない問題点を抽出できたのではないかと思います.今回の企画は,私たちにとってたいへんモチベーションが上がりました.大西先生にはこのようなかたちでサポートしていただき感謝いたします.

大西 本書を通して,心不全に携わる若い医師がいま現場でどのようなclinicalquestionをもち,それに対してどのように対応しているかをご理解いただき,循環器に携わる医師やコメディカルの方々にU40の今後を温かく見守っていただきたいと思います.木田先生,ありがとうございました.

木田 ありがとうございました.


2015年3月

大西 勝也
大西内科ハートクリニック院長
三重大学大学院医学系研究科
循環器腎臓内科客員准教授


木田 圭亮
U40心不全ネットワーク代表幹事
聖マリアンナ医科大学
循環器内科講師

目次

・はじめに

・U40心不全ネットワークについて

・執筆者一覧

第1章 心不全の病態生理

(01)心不全患者の脳になぜ注目しているのですか?

(02)若い先生たちは心機能とどう向き合えばいいですか?

(03)心不全患者の後負荷をなぜ重要視しているのですか?

(04)心不全におけるうっ血・体液貯留についてどうアプローチしていますか?

(05)急性肺水腫のどういう点に注目していますか?

(06)なぜ機能性僧帽弁閉鎖不全症に興味を持ったのですか?

(07)なぜ左室収縮性が保持された心不全(HFpEF)に興味を持ったのですか?

(08)なぜ心不全における自律神経機能に注目しているのですか?

第2章 心不全の検査

(09)BNPで心不全はわかりますか?

(10)心不全において心エコーで何を評価しますか?

(11)心不全患者に対する心臓MRIは実際有効なのですか?

(12)なぜ心不全患者の副甲状腺機能に注目したのですか?

第3章 心不全の増悪因子

(13)心不全患者に安全に運動してもらうためにはどのようにすればいいですか?

(14)なぜ心不全患者の栄養に興味を持っているのですか?

(15)心不全における腎機能障害はどのように評価すればいいですか?

(16)心不全における貧血の意義とは何ですか?

(17)なぜ透析患者の心不全に興味を持ったのですか?

第4章 心不全と治療

(18)心不全患者における利尿薬治療は今後どのような方向に進むのでしょうか?

(19)心不全急性期にβ遮断薬を内服しているとどんなメリットがあるのですか?

(20)強心薬って本当に"悪"なんでしょうか?

(21)心不全への陽圧換気をどのように位置付けていますか?

第5章 重症心不全の管理

(22)低血圧を伴う心不全患者にどのようにアプローチしていますか?

(23)急性心不全における腎機能悪化をどうとらえればいいですか?

(24)虚血の絡んだ心不全から何を学びましたか?

(25)補助循環を用いた心不全治療は今後どうなっていくのでしょうか?

(26)日本の心臓移植の未来はどうなるのでしょうか?

(27)重症心不全とは何ですか? 内科医としてどう向き合ったらいいのですか?

第6章 U40世代が抱える心不全を取り巻く問題

(28)なぜ高齢者の心不全に興味を持ったのですか?

(29)なぜ心不全チームを作ったのですか?

(30)なぜ心不全のクリニカルパスに興味を持ったのですか?

(31)心不全において病診連携を進めているのはどうしてですか?

(32)終末期医療の現状と今後はどうなりますか?


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書籍情報

  • ISBN:9784840453684
  • ページ数:176頁
  • 書籍発行日:2015年5月
  • 電子版発売日:2015年9月25日
  • 判:A5判
  • 種別:eBook版 → 詳細はこちら
  • 同時利用可能端末数:3

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