Dr.イケノの思春期お悩み相談室 漢方薬で癒すこころとカラダ

  • ページ数 : 180頁
  • 書籍発行日 : 2019年7月
  • 電子版発売日 : 2019年7月24日
¥3,278(税込)
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商品情報

内容

思春期特有のストレスに起因する不定愁訴や学校行事が原因の症状に対し、東洋医学的視点から症状緩和をはかる治療法を紹介。こういった症状で、こんな状況のこの子には○○の処方、というように、多数症例をあげ処方までの流れをわかりやすく解説しています。医療関係者だけでなく、患者さんご本人やご家族、学校関係者など、広く読んでいただきたい思春期漢方の入門書。

序文

はじめに

「あなた...あなたですよ!」今このページを見ているあなたにこの本を読んでもらいたいのです。あなたは、何らかの悩みを抱えてこの場にいるはずです。それは、あなた自身、家族、それとも知り合いの誰かの悩みでしょうか。そして、この本が、悩みを解決する一つのヒントになるかもしれません。この本は、医学書の形式をとっていますが、医療関係者だけではなく、今まさに思春期の悩みを抱えている患者さんご本人、そのご両親、学校関係者の方々に広く読んでいただきたいと思います。現在、小児科外来の患者さんは、感染症やアレルギー疾患に代表される昔からの症状だけでなく、大人と同様の慢性の頭痛、腹痛や下痢など消化器症状、不眠や朝起き不良、全身倦怠感といった不定愁訴を持つ患者さんが年々増加しています。そうした患者さんたちは、ひとりひとりが、症状も原因も異なるので、今風のガイドラインで一律に治療することは困難を極めます。特に「朝起き不良なら起立性調節障害」とか、「倦怠感なら貧血」とか、検査で簡単に診断できて治療に取りかかれる場合はそれほど多くないことを、現場の医療者も、患者さんご本人もよく知っています。実際は、検査では異常が見つからず、かといって子どもに対して「心療内科へ行きなさい」とは簡単に言えない現状があります。たとえ勇気を出して心療内科の門をたたいても、「うちは高校生以下はお断り」とか「とりあえず軽い抗うつ剤で様子を見ましょう」とか言われる場合も多いと聞きます。

フリーアクセスと呼ばれる日本の医療制度下でも、体のことは内科や外科など、心は心療内科か精神科というテリトリーがはっきり分かれており、その区別がはっきりつかない場合や心と体の両方に問題を抱えている場合は、どちらの科からも煙たがられる傾向があります。しかし、小児科は本来小児内科であるにも関わらず、眼科、皮膚科や耳鼻科、心の問題でもすべて小児科で初診となります。あいにく小児科主治医が、そのすべての分野に精通しているとは限りません。また、思春期にさしかかるとさらに話が複雑で、制度上は中学生まで小児科、高校生は成人科で区切られています。しかし、中学を卒業していきなり大人になるわけではなく、思春期の問題は小学校高学年から始まり、おおむね高校卒業くらいまで残るというのが、私の持っている印象です。

そうした思春期の体と心の不調が入り混じった患者さんに、漢方薬が効くことに気づいて、私が積極的に診療に取り入れるようになったのは、二〇年ほど前のことです。漢方は心身一如といって、もともと心と体は相関するという立ち位置にあり、心にも体にも有効です。また、漢方は、血液検査も、画像診断もない時代に始まっていますので、そうした侵襲的検査をせずに、患者さんの訴えや、身体診察所見から診断をつけ、治療を選択できるようにシステム化されています。たとえ、検査で異常がなくても、漢方的診察で異常を指摘することは比較的容易なのです。さらに、痛み止めや下痢止めなど対症療法に終始することが多い西洋薬に比べ、根本的な原因を自然治癒力を応用して正常化させようとする漢方治療のほうが、むしろ完全治癒をもたらしやすいこともあります。癌などの悪性腫瘍や生活習慣病が少なく、自然治癒力が旺盛な思春期こそ、漢方治療が有効であるとさえ言えます。

この本の中では、そうした患者さんたちとの出会いを、個人情報に注意-blockしながらできるだけ具体的に記載し、その場合の診断の目安と治療方法をいくつか挙げ、現在の最新科学で解明されつつある漢方薬のエビデンスについて解説しました。細かいことは抜きにして、「この子は、私と似てる」とか、「私もこういうことよくある」とか共感してもらえる部分が必ず見つかると思います。また、文体は医学書的な堅さをできるだけ避け、エッセイを読むように気楽に見ていただけるよう工夫したつもりです。現役の医療関係者の方々にも、息抜きとして読んでいただければ幸いです。

もし、皆様が原因不明の症状が長く続き、日常生活に支障をきたしている場合や、ドクターショッピングに疲れ果て、医療に不信感を募らせている場合には、「漢方」と呼ばれる二〇〇〇年以上に渡って脈々と受け継がれ、現代でもそのニーズを失っていない世界に、ほんのちょっとでも目を向けてください。

この本が、皆様にとって漢方の世界への最初の入り口となることを祈っております。


池野 一秀

目次

第Ⅰ章 思春期漢方医学とは─漢方薬で若者を救う

第Ⅱ章 季節・天候による不調と漢方薬

1.春の女神症候群 春の不定愁訴に効果的な漢方薬

2.雨の降る日は×× 梅雨時の頭痛、月経痛に効果的な漢方薬

3.夏なんてキライだ! 夏の食欲低下、全身の疲れに効果的な漢方薬

4.夏の夜中は別の顔 朝の頭痛、腹痛の意外な原因とその治療

5.秋風の憂い 夏の疲れに効果的な漢方薬

6.冬がまた来る 寒い朝の腹痛に効果的な漢方薬

7.私は雪女 冷えとしもやけに効果的な漢方薬

第Ⅲ章 生活リズムの障害と漢方薬

1.朝が来なければいいのに 朝起きられない場合の漢方薬

2.眠れない夜 不安を和らげ安眠を促す漢方薬

3.いい夢見ようぜ! 漢方薬で悪夢を楽しい夢に

第Ⅳ章 学校行事に役立つ漢方薬

1.運動会でヒーローに パフォーマンスを上げる漢方薬

2.受験を乗り切る 緊張を取り実力発揮させる漢方薬

3.風邪なんてへっちゃら インフルエンザに効果的な漢方薬

4.学校へ行きたい 不登校の原因と治療

5.学校は社会の縮図 人間関係を漢方で解決

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書籍情報

  • ISBN:9784880025889
  • ページ数:180頁
  • 書籍発行日:2019年7月
  • 電子版発売日:2019年7月24日
  • 判:B6判
  • 種別:eBook版 → 詳細はこちら
  • 同時利用可能端末数:3

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