てんかんの診かた

  • ページ数 : 168頁
  • 書籍発行日 : 2016年10月
  • 電子版発売日 : 2019年8月14日
¥5,720(税込)
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商品情報

内容

てんかん専門医が経験した確定診断が困難だった症例、治療介入により症状が安定、あるいは悪化した症例など、全64症例を呈示!

各症例ごとに診断に至る着眼点、治療方針を決定づけたポイントについて、わかりやすく解説している。さらに発作抑制を目的とした外科手術や薬物療法のみではなく、患者への精神医学的ケア、行動療法的アプローチ、また家族や学校、職場などの環境調整がてんかん治療において極めて重要であることを症例の経過を通し伝えている。 医療従事者だけでなく、当事者、家族、施設・学校関係者、警察・司法関係者など、てんかんに関わるすべての方にお読みいただきたい1冊です。

序文

まえがき

本書は精神科以外の領域の治療者,医療に携わる方々,教育関係者などの読者向けに,てんかん治療に関わっている精神科医が経験した興味深い症例をまとめたものである.本邦ではてんかんは主に精神科医により治療されてきたが,最近では小児科医(小児神経科医),神経内科医が多く,脳外科医も積極的に治療に参加している.一方,相対的に精神科医の参加が少なくなってきた.最近,てんかんを持つ患者のQOLには,発作の抑制,合併精神症状,治療による副作用が大きく影響することが明らかとなった.新たな薬剤の導入,外科治療の導入などにより発作が抑制される患者は着実に増加している.しかし,一方で外科治療により精神症状の発現増加,自殺の増加,人格変化,認知機能変化などが生じ,薬剤によっては種々の精神症状,認知機能障害などが出現することがある.したがって,てんかん治療は発作抑制だけで終了するものではなく,術後のケアをも含めて治療全体に精神医学的配慮が望まれているのである.治療者はてんかんを病む人間を治療していることに常に留意すべきであり,てんかん治療における精神医学的視点の重要性を再度確認したい.

本書は読者が気になる症例,治療中の患者に関連する症例など,どこから読み始めても理解できるように,各症例のポイント,関連する解説が記載されており,何時でも何処でも気楽に読むことができるように工夫されている.各章は大きく分けられているが,各章の症例はいくつかの課題を抱えており,異なる症例であってもいくつかの要点に集約でき,そこには精神科医の視点が集約されている.

長年にわたるてんかん診療の経験に裏打ちされた執筆者たちの診断に至る思考過程を辿ることは,読者のてんかん理解を一層深めるものと考えている.

また,本書に記載された症例は個人情報保護に配慮しつつも医学的に症例の記載は正確に表現されており,精神科医にとっても役立つものと考えている.本書の症例の解説にも記載されているが,「もう少してんかんが多くの人々に理解されていれば事故などの悲劇が未然に防がれたのではないか」と,啓蒙の必要性が強く指摘されている.それはまさに本書の目的の一つでもある.

是非,医療関係者だけでなく,当事者,家族,学校関係者,警察・司法関係者など幅広い読者に本書の一例でも読んでいただければ,てんかんに対する理解が一層深まり,てんかんをもつ方への理解,スティグマ軽減,そしててんかん制圧につながるのではないかと執筆者一同期待しており,これらの多くの方々に役立てることができれば我々の大きな喜びである.最後に,本書出版に当たり編者の無理な要求を受け入れ,スムーズな出版にご協力いただいた岡崎真子氏に記して深謝したい.


北東北てんかんセンター
兼子 直

目次

Ⅰ.まぎらわしい身体疾患とてんかん

A.繰り返す脳波検査で異常がなく失神と診断されていたが,てんかんだった症例

B.自己免疫性辺縁系脳炎は側頭葉てんかんを擬態することがある

C.てんかんとの鑑別を要し失神と診断された症例

D.問診によりてんかんと鑑別したもやもや病の学童症例

E.低血糖発作を側頭葉てんかんと誤診した1例

F.脳波異常を根拠にてんかん性頭痛として治療されていた遺尿症の幼児症例

G.発作的な不随意運動を繰り返していた家族症例

まとめ

Ⅱ.まぎらわしい睡眠障害・解離性障害とてんかん

A.けいれん発作が繰り返された場合でもてんかんであるとは限らない―心理的原因にも注意が必要

B.自身の証としての心因性非てんかん性発作

C.てんかん発作らしい症状が反復してもてんかん発作とは限らない?

D.終夜睡眠ポリグラフィが捉えた,複雑部分発作に伴う発作性心停止

E.睡眠障害を主訴として来院した症例

F.夜中に何度も覚醒する前頭葉てんかんの男児例

G.てんかんとして治療されていた夢中遊行の学童症例

まとめ

Ⅲ.見落としがちなてんかん

A.突発性脳波異常を呈した自己臭症の1例

B.はじめは心因反応,それからアルツハイマー病と思われていた症例

C.初回のビデオ脳波ではみられなかった脳波異常が2回目に記録された症例

D.心因性非てんかん性発作を伴う不登校とみられていた,前頭葉てんかんの中学生

E.チックと診断されていた良性小児てんかんの症例

F.パニック障害として加療されていたてんかんの症例

まとめ

Ⅳ.経過中に精神症状を伴うてんかん

A.反復して精神病性挿間症を呈した症例

B.措置入院や応急入院を要した発作間欠期精神病の1例

C.空想的虚言がみられた外傷性てんかんの1例

D.てんかん手術後に精神科的介入を要した症例

E.減弱精神病症状には抗精神病薬を投与しないのが原則

F.抗てんかん薬中止により暴力行為が消失した1例

G.良性てんかんの経過中に空間恐怖と恐慌性障害を認めた1例

H.側頭葉てんかん術後にみられる多彩な精神症状をどう診断,治療するか?

I.14回の入院歴をもち,情緒不安定でパーソナリティ障害を呈した症例

まとめ

Ⅴ.身体疾患と合併するてんかん

A.特発性副甲状腺機能低下症による複雑部分発作例

B.Wilson病に合併したてんかん症例

まとめ

Ⅵ.精神発達遅滞とてんかん

A.心因性非てんかん性発作と精神発達遅滞を伴う症例に対しては行動療法と環境調整

B.てんかんの併存障害は統合的かつ多面的にとらえる

C.長年の深刻な行動障害が環境調整によって劇的に改善したケース―軽度精神遅滞を伴うWest症候群の女性例―

D.施設入所により発作を忌避する家族から解放された後頭葉てんかんの1例

まとめ

Ⅶ.抗てんかん薬と精神症状

A.レベチラセタム開始後,抑うつ・イライラ等の精神症状が出現した症例

B.レベチラセタム追加後,著明な攻撃性を呈した側頭葉てんかん例

C.ゾニサミド開始後,精神病症状が出現するも医療者に話さず処方が継続されていた症例

D.トピラマートによってうつ状態あるいは無気力が生じることがある

E.抗てんかん薬により認知機能低下や体重減少が強く出る場合がある

F.抗てんかん薬の変更で精神状態が劇的に改善した1例

G.てんかん性昏迷に対するバルプロ酸の予防効果

まとめ

Ⅷ.高齢者とてんかん

A.情動変化後に記憶障害を呈したTransient

epileptic amnesiaの1例

B.Wernicke失語を合併した症候性局在関連性てんかんでフェニトイン中毒症状を呈した1例

C.身体疾患に注意が必要な高齢者てんかんの1例

D.見落とされている事実はないだろうか?マイナーなてんかん発作に気を配る

まとめ

Ⅸ.運転とてんかん

A.週数回明け方に発作を起こすも,運転免許取得を希望している症例

B.10年間に50回以上発作による事故を起こした症例

まとめ

Ⅹ.就労とてんかん

A.職場の環境調整によるストレス軽減がバルプロ酸減量につながり,妊娠・出産した症例

B.てんかん発作のみならず,家族の無理解のため就労困難であった症例

C.発作・記銘力低下があってもてんかんと向き合い,一般就労に結びついた症例

まとめ

トピック「てんかんの患者さんにどのようなサポートを提供できるか」

Ⅺ.注意を要するてんかん

A.副作用が出やすく,ごく微量からの処方が効果的だった症例

B.長期内服加療のみ行われていたが,右海馬硬化が確認され外科手術により発作が消失した症例

C.高校受験期に複雑部分発作が頻発していたが,数年後に脳波正常となった症例

D.脳外科手術が施行され,発作を怖れる家族の過保護養育環境から解放された1例

E.てんかんとして治療されていた発作性非運動誘発性ジスキネジアの男児例

F.パニック障害とてんかん発作が併存した症例

まとめ

Ⅻ.その他のてんかん

A.悪性症候群は非けいれん性発作重積を併発することがある

B.睡眠時無呼吸症候群を枕の工夫で改善させ発作が激減した部分てんかんの1例

C.統合失調症患者に,てんかんが合併したら

D.非定型精神病とてんかんが合併している症例

E.刑事鑑定の相談のあった1例


まとめ

参考資料「てんかん発作の分類」

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書籍情報

  • ISBN:9784880027647
  • ページ数:168頁
  • 書籍発行日:2016年10月
  • 電子版発売日:2019年8月14日
  • 判:B5判
  • 種別:eBook版 → 詳細はこちら
  • 同時利用可能端末数:3

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