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- 救急・集中治療(30巻4号)エキスパートに学ぶ 神経集中治療
商品情報
内容
典型症例、診断のポイント、意識レベル評価のコツなどをまとめたベーシック編から、くも膜下出血の神経集中治療、敗血症性関連脳障害などICUで役立つ知識が満載です。
>『 救急·集中治療シリーズ』はこちら
序文
神経集中治療の対象となる脳障害は,心拍再開後脳障害,脳血管障害(くも膜下出血,脳梗塞,脳出血),頭部外傷,てんかん重積状態,脳障害(熱中症,敗血症,中毒,術後など),急性筋力低下acute weakness(神経筋疾患,ICU-AW),など多岐にわたる.われわれの救命救急センターでは,ICU 入室患者の約70%が神経集中治療の対象である.
障害をうけた脳は,低酸素,低血圧,高血糖,などにより障害がさらに悪化し,これが神経学的転帰不良につながる.これを2 次性脳障害という.したがって2 次性脳障害は予防しなくてはならない.神経集中治療は,障害をうけた脳とその他の全身重要臓器(心,肺,肝,など)のインターラクションを利用して,2 次性脳障害を予防することを主眼とする.
脳は非常に酸素消費量が多い臓器であり,脳血流量が減少したり,酸素や糖の供給が低下すると容易に障害が起こる.脳の酸素消費量と脳血流量のバランス,つまり脳の酸素需給バランスとそれを乱す因子を理解することにより,脳の酸素需給バランスを維持することができる.神経集中治療の基本はここである.さらに,この2 次性脳障害を増悪させる因子は,どれか1 つが短時間でも異常になれば(例えば,高血糖状態の持続),他のすべてが正常に維持できていても2 次性脳障害を起こしてしまう.障害脳は非常に脆弱である.
ただ,実際上難しいことがいっぱいある.意識レベル・意識変容とか,脳幹反射とかが障害脳の程度を評価する手段であるが,鎮静薬鎮痛薬の使用中ではこれらは難しい.また血圧にしても,どの程度まで維持すればよいのかという単純な質問に対しても,明確な値を提示することができない.
それでも,神経集中治療は,患者さんの死亡率減少よりもむしろ,社会復帰率を増加させることを目的として,果敢に立ち向かっていかなくてはならない.若い諸君で神経集中治療に関心を持ってくれる人がさらにさらに増えてくることを願っている.
特集編集 黒田 泰弘
香川大学医学部 救急災害医学
目次
●Introduction
・総論:脳の酸素需給バランスの確保のために
●Guidelines Now―エビデンスに基づき改訂されるガイドライン―
・神経集中治療ガイドラインのtopic
ベーシック編
●Case study 典型症例と診療のポイント
・Case 1 心原性心停止,PCAS,TTM:典型症例と診察のポイント
・Case 2 重症くも膜下出血:典型症例と診察のポイント
●Q & A
・FOURスコアによる意識レベル評価のコツ
・集中治療で役立つ,脳神経反射,神経所見の取り方とそのコツ
・脳波:基礎編.脳波の基本,救急外来やICUでの脳波モニタリング方法とその利用法について
・教えてください!てんかん,痙攣,てんかん重積の違い
・体温管理療法で使用する鎮静薬/鎮痛薬/筋弛緩薬は通常のICUでの重症患者の鎮静・鎮痛とどこが違うのですか?
・体温管理療法におけるシバリングの評価と防止方法について
・脳酸素飽和度モニタリング
・頭蓋内圧の意味,正常値,そのモニタリング,モニタリングの注意点
・重症頭部外傷における頭蓋内圧亢進状態に対してどのように対処すべきか?
・脳神経ドプラ法による脳血流速度測定方法,特にくも膜下出血における脳vasospasmの評価方法
アドバンス編
・脳波判読のプロフェッショナルになるために
・非痙攣性てんかん重積状態
・心停止後症候群に対する体温管理療法の適応条件
・心拍再開後昏睡状態の患者に対する体温管理療法の前提となる全身管理の方法
・くも膜下出血の神経集中治療:特に電解質異常とその対策
・くも膜下出血における遅発性脳虚血の予防および治療
トピックス編―その常識は正しいか?―
・敗血症性関連脳障害って何?
・神経集中治療とPICS―PICSとPIICS:生体侵襲制御と神経集中治療―
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書籍情報
- ISBN:9784883785575
- ページ数:192頁
- 書籍発行日:2018年8月
- 電子版発売日:2018年9月7日
- 判:B5判
- 種別:eBook版 → 詳細はこちら
- 同時利用可能端末数:2
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