人工呼吸器と集中ケアQ&A ―ベッドサイドからの質問286―(第2版)

  • ページ数 : 304頁
  • 書籍発行日 : 2014年3月
  • 電子版発売日 : 2014年8月22日
¥6,160(税込)
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商品情報

内容

人工呼吸器の基本設定から、モニタリングの実際、集中ケア、リスクマネジメントに至るまで、人工呼吸器を初めて使う研修医や若手医師、コメディカルの日常臨床に役立つノウハウが満載の一冊。

序文

人工呼吸器の使用と集中ケアの10ヵ条


“人工呼吸器の使い方と人工呼吸下の集中ケアの優劣が患者さんの予後を左右している”という事実はショッキングなことです.人工呼吸器の使い方が悪いと肺傷害が起こりますし,ケアが悪いと人工呼吸器関連肺炎を起こすことは,よく知られた事実です.呼吸不全の患者さんを人工呼吸器で救命するには,正しい人工呼吸器の使い方と集中ケアの知識が不可欠であることは,だれも異論はないでしょう.私が人工呼吸器使用に際して心がけている10ヵ条は以下の通りです.


1 人工呼吸器による新たな合併症,圧外傷など(barotrauma,biotrauma)を起こさない.『吸気プラトー圧を30cmH2O以下に維持する』.

2 不用意な高濃度のO2吸入は避ける.高濃度酸素吸入による肺傷害を起こさない.『吸入酸素濃度は60%以下(できたら40%以下)にする』.

3 高すぎるPEEPによる循環抑制を起こさない.『PEEPレベルはFIO20.6でPaO270mmHgを維持する適切なPEEPとする』.

4 人工呼吸器使用中に新たな気道感染(人工呼吸器関連肺炎:VAP)を起こさない.『オーラルケアの優劣がVAPを防ぎ予後を左右する』.

5 人工呼吸器下での安易な鎮静薬や筋弛緩薬の投与は避ける.鎮静薬は必要最低量を心がける.『安易な筋弛緩薬の投与は事故のもと』.

6 積極的な体位変換を行う.循環動態が安定していれば半座位とする.『体位変換は,ガス交換を改善する』.特に,『半座位は人工呼吸器関連肺炎を減少させる』.

7 毎日,体重測定を行う.適正な水分出納のチェックに役立ちます.

8 適正な栄養管理を行う.栄養評価を行い,25~30kcal/kgを投与する.早めの経腸栄養が望ましい.『栄養管理は呼吸管理の成否を決する』.

9 呼吸および全身リハビリテーションを怠らない.『早期リハビリテーションは,人工呼吸期間を短縮する』.

10 精神ケアに留意する.安易な抗精神薬よりも,人工呼吸下での日光浴などを行い,昼夜のリズムを取り戻す工夫を行う.『精神ケアは呼吸管理の第一歩』.


この“人工呼吸器と集中ケアQ&A”は,前回の増補版同様「主要人工呼吸器一覧」を付録に追加しております.本書は,人工呼吸器を初めて使う研修医や若い医師,コメディカルの日常臨床のノウハウに役立つだけでなく,ベテラン医師が本領域の進歩を知るうえでも,素晴らしい情報を提供してくれるでしょう.


編著:岡元 和文(信州大学医学部 救急集中治療医学講座 教授)

目次

Ⅰ. 人工呼吸器の適応と基本設定の実際

1  気管挿管下での人工呼吸の適応とセッティング

2 非侵襲的人工呼吸(NPPV)の適応とセッティング

3 陽陰圧体外式人工呼吸の適応とセッティング

4 在宅人工呼吸の適応とセッティング

Ⅱ. 各種の換気モードの実際

5 CPAP の適応とセッティング(BIPAPを含む)

6 ボリウムコントロール換気(VCV)の適応とセッティング

7 プレッシャーコントロール換気(PCV)の適応とセッティング

8 プレッシャーサポート換気(PSV)の適応とセッティング

9 同期式間欠的強制換気(SIMV)の適応とセッティング

10 PAV/PAV +(PAV plus)/PPV/PPS,そして NAVA とは?

11 新生児・小児の高頻度振動換気(HFOV)とは

12 成人の高頻度振動換気(HFO)とは

Ⅲ. 人工呼吸器,呼吸回路,加温加湿,点検法の実際

13 人工呼吸器の本体と表示

14 呼吸回路の組み立て方の基本と注意点

15 加温加湿器の使用法と注意点

16 人工鼻(Heat and Moisture Exchanger:HME)の適応と注意点

17 人工呼吸下のエアゾール療法の適応と注意点

18 人工呼吸器の使用前,中,後の点検法

Ⅳ. 人工呼吸下のモニタリング

19 酸素化能のモニタリングの実際

20 PaCO2のモニタリングの実際

21 換気力学モニタリングの実際

22 代謝のモニタリングの実際

Ⅴ. 各種の呼吸不全に対する人工呼吸と集中ケア

23 頭部外傷・脳外科患者の人工呼吸と集中ケア

24 心臓手術後患者の人工呼吸法と集中ケア

25 肺手術後の人工呼吸法と集中ケア

26 心原性肺水腫患者の人工呼吸法と集中ケア

27 急性呼吸窮迫症候群(ARDS)の人工呼吸法と集中ケア

28 喘息患者の急性増悪時の人工呼吸と集中ケア

29 慢性閉塞性肺疾患(COPD)患者の急性増悪時の人工呼吸法と集中ケア

30 小児呼吸不全患者の人工呼吸法と集中ケア

Ⅵ. 人工呼吸と集中ケア

31 鎮痛薬と鎮静薬の薬物療法の実際

32 人工呼吸器関連肺炎(VAP)の診断,治療と予防法

33 気道確保困難症の対策

34 人工呼吸下の栄養管理

35 人工呼吸下の口腔ケアの実際

36 人工呼吸下の呼吸リハビリテーション

Ⅶ. 人工呼吸器からのウィーニング

37 ウィーニングのタイミングと自然呼吸トライアル(SBT)法

Ⅷ. 人工呼吸器とリスクマネジメント

38 人工呼吸器を安全に使用するための指針

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書籍情報

  • ISBN:9784883788736
  • ページ数:304頁
  • 書籍発行日:2014年3月
  • 電子版発売日:2014年8月22日
  • 判:B5判
  • 種別:eBook版 → 詳細はこちら
  • 同時利用可能端末数:2

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