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臨牀消化器内科 2018 Vol.33 No.10 十二指腸上皮性非乳頭部腫瘍の診療を巡って ― 現状と課題

  • ISBN : 9784888755036
  • ページ数 : 120頁
  • 書籍発行日 : 2018年8月
  • 電子版発売日 : 2019年2月15日
  • 判 : B5判
  • 種別 : eBook版 → 詳細はこちら
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¥3,025 (税込)
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商品情報

消化器の臨床現場になくてはならない最新情報をお届けすべく,1986年1月に創刊。

【特集】十二指腸上皮性非乳頭部腫瘍の診療を巡って ― 現状と課題
・十二指腸上皮性非乳頭部腫瘍概論
・十二指腸上皮性非乳頭部腫瘍の臨床病理と分子生物学を巡って (1) 臨床病理概論
・十二指腸上皮性非乳頭部腫瘍の臨床病理と分子生物学を巡って (2) 形質発現と悪性度
 他

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■ 序文

巻頭言

本誌2014 年11 月号で,「十二指腸腫瘍性病変に対する診療の進歩」と題して筆者が編集を担当させていただいたが,約4 年の時を経て,一瀬雅夫先生の手により,新たな十二指腸腫瘍の特集が企画された.今回は,上皮性非乳頭部腫瘍,とくに,内視鏡治療の適応となりうる「早期の」腫瘍性病変を対象とした内容である.

1970 年代に多賀須らが,胃透視なしに細径前方視鏡により食道,胃,十二指腸を同時に検査すること(パンエンドスコピー)を提唱して以来,今では当たり前のように,上部消化管内視鏡検査として十二指腸下行部までの観察が行われている.何気なく挿入した下行部で「早期の」上皮性非乳頭部腫瘍に"出くわす"ことがある.食道,胃のように,高危険群や背景粘膜などの解明が進んでおらず,疾患頻度の低い十二指腸では,まさに"出くわす"という表現がぴったりである.しかし,そもそも,その疾患頻度はどのくらいなのであろうか? いろいろ文献を検索してみたが,腺腫などの良性腫瘍を含めた十二指腸新生物の疫学統計は世界的に皆無であり,「十二指腸悪性腫瘍」をキーワードとして検索しても見つけることができなかった.小腸悪性腫瘍として,やっと米国のSurveillance, Epidemiology,and End Results(SEER)のデータに辿り着くことができた1).それによると,米国においては,小腸悪性腫瘍の年間新規症例数(2017 年)は10,190 人と推定されており,食道16,940 人,胃28,000 人,大腸135,430 人であることを考え合わせると,消化管悪性腫瘍の約5%を小腸が占めていることがわかる.この数は年々右肩上がりに増えてきており,10 万人当りの年齢調整罹患率が,1995 年に1.5 であったものが,2013 年には2.3 へ増加している.そのうち,もっとも多いのがカルチノイド腫瘍(48%),ついで腺癌(28%),リンパ腫(13%),肉腫(9%)の順である.腺癌のうち,約半数が十二指腸にあると仮定すると,十二指腸腺癌は10万人当り0.4 という計算となる.

本邦にも国立がん研究センターがん対策情報センターの提供する「がん統計」が存在するが,小腸悪性腫瘍(ICD10 のC17)の統計は,筆者の知るかぎり,公表されておらず,小腸においては海外のがん統計に頼らざるをえない状況にある.米国では,SEER プログラムによるデータ収集を1973 年から開始しており,悪性腫瘍に関する,非常に膨大な量の経年的な疫学データを蓄積している.本邦でも早急に小腸(十二指腸)悪性腫瘍のデータ収集・公表の行われることが望まれる.折角,後塵を拝して開始するのであれば,とくに疾患頻度の低い小腸(十二指腸)だからこそ,他国にない,良性腫瘍を含めた全新生物(腫瘍)統計を収集,公表することを提案したい.これは,保険診療として年間933 万9,686 件の上部消化管内視鏡検査が行われ〔第2 回NDB オープンデータ(2015 年度)〕2),健康志向の強い国民性で数多くの任意内視鏡検診が人間ドックとして行われ,さらには,2016年度より対策型胃癌検診に内視鏡が本格導入されている本邦だからこそ成しうる,世界に唯一無二の貴重な疫学データとなるものと考えている.

ただし,小腸(十二指腸)においては,癌取扱い規約が未だ作成されておらず,共通の基準に則って,臨床・病理・統計的資料を得る素地が整っていないという大きな問題がある.食道,胃,大腸においては,それぞれ1969 年,1962 年,1977 年に取扱い規約第1 版が作成され,研究会・学会主導の全国登録により,同分野の医療・医学の発展が牽引されてきたことを考えても,小腸(十二指腸)における取扱い規約の作成は喫緊の課題であろう.では,どの研究会・学会が主導すべきであろうか.奇しくも日本消化器内視鏡学会(JGES)では,2015 年より全国の消化器内視鏡診療をデータベース化するJapan Endoscopy Database (JED) Projectを開始しており,今春,一般社団法人JED 研究機構(JED Institute)が創設されたばかりである.診療を受けるほぼすべての消化管腫瘍が内視鏡を経由することを考えると,本データベース事業を基盤として,今までのがん統計では捕捉できなかった,より精緻な小腸(十二指腸)腫瘍に関するデータが集積されていくことを期待している.このJED においては,JGES の用語委員会と連携を保ちながら,専門パネルによるMinimal Standard Endoscopic Database‒Japanese (MSED‒J)作成小委員会で検討された内視鏡用語が用いられている.JED を利用することで,単なる罹患率,死亡率のデータのみならず,患者背景因子からの危険因子の同定,内視鏡診断精度や各内視鏡治療の短期成績なども取得することが可能となろう.

「早期の」上皮性非乳頭部腫瘍に関しては,上記の疾患頻度以外にもわかっていないことばかりである.腫瘍発生の分子機構においては,APC,GNAS,ERBB2などの変異が指摘されているものの,不明な点も多い.たとえば,球部から下行部(Vater 乳頭部)にかけては発生学的には前腸由来であり,Brunner 腺,胃上皮化生,異所性胃粘膜が存在し,胃型形質主体の腺腫,腺癌の割合が高い.発生の場(Vater 乳頭部を境に近位と遠位),粘液形質(胃型と腸型)を考慮して腫瘍の発生および発育進展を検討するのが妥当であるように思える.臨床,病理,基礎の密なクロストークなしに,十二指腸上皮性腫瘍として一括りに議論しても一定の結論を得るのは難しいように思われる.

腫瘍発生の分子機構の違いは,内視鏡診断にも特徴的所見として反映されるであろうし,腫瘍の生物学的悪性度の違いによる治療方針決定においても考慮されるべき要素であろう.内視鏡診断においては,色素内視鏡から帯域制限光(狭帯域光)3)拡大内視鏡が十二指腸腫瘍の診断にも導入されたが,切除検体の最終病理診断をゴールドスタンダードとした場合,十分な精度で腺腫と腺癌を区別することは未だ困難であり,術前の生検診断も過大・過小診断されていることも多い.そのため,内視鏡治療においては一括切除が必要という議論となる.安全にすべての腫瘍が一括切除できるのであればよいが,壁が薄く,屈曲,蠕動による内視鏡固定が難しい十二指腸では,術中穿孔リスクが高い.術中は偶発症なくESD を終えてもVater 乳頭近傍から遠位では,胆汁,膵液の曝露による術後偶発症に注意を要する.ESD 関連偶発症は20.6%(術中穿孔12.1%,術後穿孔4.0%,術後出血4.5%)に上ることが報告されており4),近年減少傾向にあるものの,さらなる処置具の開発改良,手技の工夫,術後偶発症対策が求められる.ESD のリスク軽減をはかるとともに,小・中病変に対しては,cold polypectomy や浸水下EMR の良好な治療成績が報告されつつあり,各種内視鏡切除法のすみ分けが今後議論されていくものと思われる.また,外科治療の進歩も目覚ましく,症例によっては内視鏡治療に固執することなく,腹腔鏡内視鏡合同手術(LECS)や外科的縮小手術も視野に入れて,患者ファーストの治療法選択を行うことが重要である.

十二指腸上皮性非乳頭部腫瘍の診療は,五里霧中のなか,多くの課題を抱えながらも着実に前進している.それを強力に後押しする原動力として,一刻も早く,全国規模での新生物(腫瘍)統計の開始と取扱い規約の作成がなされることを再度強調して,巻頭言という大役を終えたい.


東京大学医学部附属病院光学医療診療部

藤城 光弘

■ 目次

巻頭言

1.十二指腸上皮性非乳頭部腫瘍概論

2.十二指腸上皮性非乳頭部腫瘍の臨床病理と分子生物学を巡って

(1)臨床病理概論

(2)形質発現と悪性度

(3)十二指腸癌の分子生物学的背景 ― 何がどこまでわかっているのか?

3.十二指腸上皮性非乳頭部腫瘍の診断を巡って

(1)内視鏡診断

(2)NBI併用拡大内視鏡

4.十二指腸上皮性非乳頭部腫瘍の治療を巡って

(1)十二指腸上皮性非乳頭部腫瘍に対する外科治療 ― 縮小手術を中心に

(2)EMR

(3)ESD

(4)浸水下EMR

(5)十二指腸のcold snare polypectomy(D‒CSP)

(6)偶発症予防対策:胆膵ドレナージとPGAシート

(7)偶発症予防対策:OTSC

特別寄稿

災害時におけるIBD 患者への対応:ストーマ患者への対応を中心に

連載

検査値の読み方

薬の知識

ESD--手技の工夫

学会だより

第54回日本肝臓学会総会

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