内視鏡医のための大腸ポリープマネジメント

  • ページ数 : 248頁
  • 書籍発行日 : 2015年10月
  • 電子版発売日 : 2018年11月16日
¥7,645(税込)
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商品情報

内容

21世紀の大腸内視鏡診断,内視鏡治療を学ぶ上で,欠かせない一冊

これから大腸内視鏡専門医を目指す初学者から中級の先生方に是非とも知っておいて頂きたい大腸ポリープの歴史,疫学,病理から,大腸ポリープに対する内視鏡診断・治療手技に至るまで,最新の画像強調観察法やCold polypectomy 等の新しい治療法も含めて網羅した。

序文

近年の内視鏡診断・治療手技の進歩には目を見張るものがある.そのなかで,大腸の領域においても常に日本は世界をリードしてきたが,細やかで質の高い大腸内視鏡手技の普及とは裏腹に,本邦における大腸癌罹患者数・死亡者数は急増しており,2015 年には約5 万人が大腸癌で命を落とすという予測が立てられている.その対応策の中心となる,早期発見・早期治療といったいわゆる「がんの二次予防」における大腸内視鏡の役割は大きく,大腸内視鏡検査時に遭遇する機会の多い大腸ポリープに対する対処法(マネジメント)の確立は,今後の重要な課題の一つであると考えられる.

われわれが内視鏡を始めた当時(1990 年代半ば)のことを振り返れば,「苦痛の少ない盲腸までのスコープ挿入を目標とし,大腸ポリープを必死に見つけて内視鏡的に摘除する」そのような診療を行っていた.1990 年代後半になると拡大内視鏡が広く普及しはじめ,工藤進英先生(現 昭和大学横浜市北部病院消化器センター教授)のpit pattern診断学を学びながら,学会では,陥凹型大腸癌やLST(側方発育型腫瘍),大腸SM 癌に対する内視鏡診断・治療といった話題がトピックであり,セッションでの諸先輩方の熱いディスカッションを目の当たりにして,時に「驚きと感動」を覚えながら勉強したことが思い出される.また,貴重症例や早期大腸癌に関する集積データを学会や研究会で発表する機会を得ることで,数多くの経験を積ませて頂いた.

そのような時代背景のなか,2000 年に私たちの共通の師匠である国立がんセンター中央病院の藤井隆広先生(現 藤井隆広クリニック理事長)が,大腸ポリープ摘除後のサーベイランス間隔を評価するRCT:ランダム化比較試験(Japan Polyp Study;JPS)を立案された.繰り返し行ったプロトコール作成会議では,米国National PolypStudy をはじめとした海外での臨床試験の内容について詳細に検証した.振り返れば,これが「大腸ポリープの科学」との初めての遭遇である.日本の内視鏡界では初めての多施設RCT であるJPS に,そのメンバーの一員として参画することになり,自分達の関心や興味がこれまでの「大腸内視鏡診断・治療」だけではなく,「大腸内視鏡のクオリティ」や「大腸がんスクリーニング・サーベイランス」,そして「大腸ポリープのマネジメント」にも向くようになった.

大腸ポリープは,日々の大腸内視鏡検査においてもっとも頻度の高い疾患でありながら,本邦では,そのマネジメント法に関しては,これまで十分に研究が行われてこなかった.一方,欧米では,以前より大腸ポリープをさまざまな側面から科学的に検証し,マネジメント法に関するガイドラインを提唱している.近年,工藤進英先生の長年の研究成果である陥凹型大腸癌やLST が国際的に認知されたり,日本で開発されたNBI(Narrow Band Imaging)が大腸ポリープの腫瘍・非腫瘍の診断において国際標準と認識されるようになったり,日本と欧米の研究が密接にリンクしフュージョンする気運が高まっている.

本書では,これから大腸内視鏡専門医を目指す初学者から中級の先生方に是非とも知っておいて頂きたい大腸ポリープの歴史,疫学,病理から,大腸ポリープに対する内視鏡診断・治療手技に至るまで,最新の画像強調観察法やCold polypectomy 等の新しい治療法も含めて網羅した.また後半部では,ポリープ摘除後サーベイランス,大腸がんスクリーニング,大腸内視鏡のクオリティコントロール等を取り上げた.大腸ポリープを有する個々の患者への対処法のみならず,集団としてどのようにマネジメントすることが大切か?というテーマについても,日本での臨床試験の紹介も含めてコンパクトにまとめ上げた.また,巻末には,われわれが厳選した「今,読んでおきたい重要論文60 編」を簡単な解説とともに紹介させて頂いた.

大腸ポリープの適切なマネジメントは,大腸がん罹患・死亡率抑制にとって重要な課題の一つであることは論を俟たない.本書が,大腸内視鏡診療に携わるすべての方々の知識の習得と整理,アップデートに役立てば幸いである.そして,本書を読んだ若手内視鏡医のなかで,大腸ポリープ診療の重要性,面白さ,奥深さを感じ,次世代の大腸ポリープ研究の一翼を担う先生が一人でも多く出てきて頂ければ,この上ない喜びである.

最後に,ご多忙の中快く執筆をお引き受け下さった諸先生方に厚く御礼申し上げるとともに,本企画を強力に後押しして下さった藤井隆広先生,そして,このような素晴らしい書籍を刊行する機会を下さりご協力頂いた,日本メディカルセンタースタッフの皆様に心から感謝申し上げます.

2015年9月


国立がん研究センターがん予防・検診研究センター検診部 松田 尚久

静岡県立静岡がんセンター内視鏡科 堀田 欣一

目次

第1章 大腸ポリープの疫学,病理

自然史 --大腸癌発生に関する歴史的経緯を中心に/疫学/病理診断/病態 --局在と形態から考える

第2章 大腸ポリープの発見と鑑別診断

発見率向上のためのStrategy/腫瘍・非腫瘍の鑑別/腺腫・癌の鑑別/深達度診断/注意すべき病変の診かた

第3章 大腸ポリープの内視鏡治療

内視鏡治療のStrategy/内視鏡治療の種類と特徴/大腸SM癌摘除後の病理学的評価、追加外科切除基準 --現行ガイドラインとその問題/抗血栓薬内服者の取り扱い

第4章 エビデンスに基づく大腸ポリープ摘除後のサーベイランス

Japan Polyp Studyの結果からみたポリープ摘除後のサーベイランス/National Polyp Studyと海外ガイドラインでの取り扱い

第5章 大腸内視鏡を用いた大腸癌スクリーニングの試み

秋田STUDY/新島STUDY/海外における臨床試験

第6章 大腸内視鏡のQuality controlに向けて

大腸内視鏡のQuality indicator/内視鏡の大規模データベース/初心者に対する大腸内視鏡治療のトレーニング

付録 大腸ポリープ診療のための主要文献60編の解説

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書籍情報

  • ISBN:9784888759168
  • ページ数:248頁
  • 書籍発行日:2015年10月
  • 電子版発売日:2018年11月16日
  • 判:B5判
  • 種別:eBook版 → 詳細はこちら
  • 同時利用可能端末数:2

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