力学で読み解くからだの動き ― 動作理解のための基礎バイオメカニクス

  • ページ数 : 312頁
  • 書籍発行日 : 2019年6月
  • 電子版発売日 : 2020年1月20日
¥5,940(税込)
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商品情報

内容

本書は、バイオメカニクスや運動制御の専門書・専門雑誌を理解できるレベルに達することおよび臨床で役立つ基礎バイオメカニクスの知識を身に付けることを意図した入門書です。
力学的理解を段階的に進めるために、次の学習段階に進むための道筋を示しているので、力をイメージすることからはじめて、静力学の考え方、力を含めない運動解析法(キネマティクス)、直線運動の動力学、流体力学、回転運動の動力学、多関節運動の動力学へと、スモールステップで段階的に学ぶことができます。
教科書としても、自習書としても使えるよう、一つひとつの事柄を、数式だけでなく、わかりやすい図と言葉で丁寧に説明しています。
本文の内容を理解しやすくする数学的な基礎事項を説明した「付録」付き。

序文

はじめに

このテキストは,ヒトがさまざまな姿勢や動作をするときに身体の内外で生じている現象を力学的に理解するための入門書です.身体運動のバイオメカニクスに関するさまざまなテキストがありますが,入門レベルで終始していたり,数式による記述ばかりで難解であったり,理論で終始して実際的でなかったりと,力学の初心者が身体運動の力学的理解を深めていくためのテキストとしては十分とはいえません.

このテキストでは,力をイメージすることからはじめて,静力学の考え方,力を含めない運動解析法(キネマティクス),直線運動の動力学,流体力学,回転運動の動力学,多関節運動の動力学へとスモールステップで段階的に進め,一つひとつの事柄を,数式だけでなく,図と言葉で丁寧に説明するように心がけました.入門書ではありますが,バイオメカニクスや運動制御の専門書や専門雑誌を理解できるレベルに達することも意図しています.教科書としても,自習書としても使っていただけると思います.また,本文の内容を理解しやすいように,「付録」で数学的な基礎事項を説明しています.

各章の概略は以下のとおりです.


第1 章:力とは何かを,身近な例を提示しながらわかりやすく説明しています.その中で,力の作用線,作用と反作用,力の合成と分解,重力と重心,筋収縮と張力,摩擦とその役割,物体の変形と力などがイメージしやすくなります.


第2 章:ヒトの身体を例として,静力学的解法が説明されます.力のつり合いと力のモーメントを考えることにより,身体の内部で作用する筋張力や関節に生じる力が推定できるようになり,想像以上に大きな力が身体内部に生じていることが明らかになります.また,重心の求め方,重心を用いた簡略化,安定性などにも言及します.


第3 章:力を含めない運動の解析法(キネマティクス)の重要事項が取り上げられています.位置や角度の変化,速度と角速度,加速度と角加速度,座標変換,順運動学と逆運動学,向心加速度とコリオリの加速度などが理解できるようになります.


第4 章:並進運動の力学として,慣性の法則,直線運動の運動方程式,運動量,力積,仕事と力学的エネルギーなどが,立ち幅跳び,ジャンプ,スクワット,歩行などを例に説明されています.身体運動を重心の運動として単純化することにより運動の本質が明らかにされます.


第5 章:流体力学の基礎的内容が説明され,大気圧や水圧,浮力,血流,血圧,点滴,筋の粘性などの問題への力学的理解が深まります.


第6 章:回転運動の力学の重要事項が取り上げられ,歩行中の下肢関節を例に,多リンクの関節運動における関節トルクやパワーの求め方が理解できます.


第7 章:3 次元の角度表現の方法としてのオイラー角や行列法が説明され,その効用と限界が明らかになります.また,多リンク機構における関節トルクへの周辺の関節からの影響(相互作用トルク)が理解できるようになります.


付録:付録には,本文を理解するために必要な数学の基礎事項を取り上げました.数学の専門書へ手を伸ばす煩わしさを避けることができると思いますが,詳細は専門書をご参照ください.

目次

第1章 力とはなにか

1・1 力をどう表すか――力を図示する方法

1・1・1 力とは

1・1・2 力をどう表現するか

1・1・3 力は物体間で作用する

1・2 作用と反作用――間違えやすい2つの力

1・2・1 反作用とは

1・2・2 反作用は実感しづらい ?

1・2・3 作用と反作用は働く対象が違う

1・2・4 身体の内部でみられる作用と反作用

1・3 力の合成――複数の力をひとつにまとめる

1・3・1 力の大きさと向き──ベクトルの表し方...9

1・3・2 力の足し算 (合成)

1・4 力の分解――ひとつの力を複数に分ける

1・4・1 力は分けることもできる

1・4・2 身体運動に関する力を分解する

1・5 重力――身体運動に作用する重要な力

1・5・1 地球からの力の作用である重力

1・5・2 重力の大きさ

1・5・3 もうひとつの力の単位「ニュートン」

1・5・4 重力の反作用

1・6 重心――身体運動の理解に役立つ特別な点

1・6・1 身体の大きさは厄介者

1・6・2 重心はなぜ便利か ?

1・6・3 身体の重心

1・6・4 身体各部にも重心がある

1・7 筋と張力――身体運動の力源

1・7・1 張力とは

1・7・2 筋の張力

1・7・3 曲がっている筋の張力が作用する方向

1・7・4 筋の張力と身体の運動

1・8 摩擦力――身体運動に関与するもうひとつの力

1・8・1 摩擦による力

1・8・2 物体が動いているときの摩擦

1・8・3 歩行と摩擦力

1・8・4 関節内の摩擦

1・9 物体の変形――力に応じて形が変わる

1・9・1 押されたときと引っ張られたときの変形

1・9・2 弾性変形と弾性率

1・9・3 いろいろな変形

第2章 力学の基礎

2・1 力のつり合い――静止状態を維持する条件

2・1・1 力がつり合うとは

2・1・2 身体での力のつり合い

2・2 力のモーメント――物体を回転させる力の作用

2・2・1 関節で生じる回転運動

2・2・2 力のモーメントとは

2・2・3 力のモーメントの大きさ

2・2・4 関節運動での力のモーメント

2・3 力のモーメントのつり合い――静止状態を維持するもうひとつの条件

2・3・1 力のモーメントも加減算ができる

2・3・2 力のモーメントがつり合えば回転しない

2・3・3 関節での力のモーメントのつり合い

2・4 関節にはたらく力の推定

──力のモーメントのつり合いと力のつり合いを利用する

2・4・1 関節には大きな力が加わる

2・4・2 物を持った肩関節に加わる力

2・4・3 静止立位で身体に加わる力

2・5 身体を扱いやすくする方法――自由体図とモデル化

2・5・1 身体の一部を切り離すには

2・5・2 切り離した身体を扱いやすい形にする

2・5・3 身体を主要な部分に分割する (剛体リンクモデル)

2・6 重心の合成――分割した身体の扱い方

2・6・1 身体各部の重心

2・6・2 体節間の重心の合成法

2・6・3 身体を体節の集合体として表す

2・7 身体重心の測定法――重心の位置を直接知る方法

2・7・1 身体重心の位置を知る

2・7・2 身体重心を測るには

2・8 姿勢の安定性――身体重心と支える面との関係

2・8・1 重力の作用線と支持基底面

2・8・2 支持基底面の広さと安定性

2・8・3 支持基底面と重心の高さ

2・8・4 支持基底面の有効性

第3章 動きの観測と記述(キネマティクス)

3・1 運動の観測(観察)と座標系

3・1・1 「動き」を観測対象にする

3・1・2 座標系

3・2 座標の並進運動と回転運動

3・2・1 並進運動と回転運動

3・2・2 全体座標系と局所座標系

3・2・3 視座の変換

3・3 位置・速度・加速度の観測と分析

3・3・1 並進運動の観測 (リーチ動作時の手先の動き)

3・3・2 回転運動の観測 (リーチ動作時の関節の動き)

3・3・3 円運動の観測

3・3・4 速度の観測

3・3・5 加速度の観測

第4章 並進運動の力学

4・1 並進運動の運動法則

4・1・1 運動の第一法則 (慣性の法則)

4・1・2 運動の第二法則 (ニュートンの運動方程式)

4・1・3 運動の第三法則 (作用・反作用の法則)

4・2 質点の力学――重心の運動

4・2・1 放物運動 (等加速度運動と等速度運動)

4・2・2 スクワット動作時の重心運動

4・2・3 エレベーターに乗っている人に作用する力と重心運動

4・2・4 歩行中の重心運動

4・3 運動量と力積

4・3・1 運動量

4・3・2 力積

4・3・3 スクワット動作時の重心運動

4・3・4 コインの衝突 (運動量保存の法則とはね返り係数)

4・3・5 平面上での物体の衝突

4・4 仕事と力学的エネルギー

4・4・1 仕事と仕事率

4・4・2 力学的エネルギー

4・4・3 力学的エネルギー保存則

第5章 流体の性質

5・1 流体の性質――固体ではみられない数々の特徴

5・1・1 流体とは

5・1・2 気体の密度と圧力

5・1・3 水の密度と圧力

5・1・4 大気圧や水圧の加わり方

5・1・5 パスカルの原理の応用例

5・2 浮力――流体中の物体に作用する力

5・2・1 浮力とは

5・2・2 身体に作用する浮力

5・3 流れている流体――流速と高さと圧力の関係

5・3・1 流体の運動

5・3・2 パイプを流れる流体

5・3・3 流れている流体のエネルギー

5・4 粘性――流体が示す運動への抵抗

5・4・1 流体の粘性

5・4・2 流体中の粘性抵抗

5・4・3 身体の軟部組織の粘性

第6章 運動法則の回転運動への拡張――2次元平面上の剛体の回転運動

6・1 並進運動と回転運動

6・2 関節まわりに働く筋力の測定

6・2・1 等尺性筋力測定法

6・2・2 等速性筋力測定法

6・3 剛体の運動法則と慣性モーメント

6・3・1 剛体とは

6・3・2 剛体の運動

6・3・3 慣性モーメント

6・3・4 身体セグメントの慣性モーメント

6・3・5 平行軸の定理

6・3・6 角運動量保存の法則

6・4 関節モーメント

6・4・1 関節モーメントとは

6・4・2 剛体リンクモデル

6・4・3 歩行時の関節モーメントの導出

6・5 関節パワー

6・6 歩行中の関節角度, 関節モーメント, 関節パワー

6・6・1 股関節

6・6・2 膝関節

6・6・3 足関節

第7章 相互作用トルク, 3次元の運動表現

7・1 相互作用トルク

7・1・1 単リンクの運動を生じるための力とトルク

7・1・2 2リンク平面連鎖の相互作用トルク

7・1・3 3リンク平面連鎖への拡張

7・1・4 3次元の相互作用トルク

7・2 3次元の運動表現

7・2・1 球座標による表現...259

7・2・2 2つのセグメント座標系の座標軸間の相対角度による表現

7・2・3 3次元肢位を表現するための関節座標系 (joint coordinate system)

7・2・4 3次元の回転における計算上の制約

付録A 数学の基礎事項

A・1 ベクトル

A・1・1 直交座標系におけるベクトルの成分

A・1・2 単位ベクトルによるベクトル表現

A・1・3 ベクトルの演算

A・2 角度の表現

A・3 三角関数

A・4 微分と積分

A・4・1 微分

A・4・2 数値微分

A・5 指数と対数

A・6 行列

A・6・1 行列の演算

A・6・2 行列による座標変換

A・6・3 逆行列

A・6・4 ベクトルと行列による回転運動の表現

A・7 フィルター

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  • Androidロゴは Google LLC の商標です。

書籍情報

  • ISBN:9784895906586
  • ページ数:312頁
  • 書籍発行日:2019年6月
  • 電子版発売日:2020年1月20日
  • 判:B5判
  • 種別:eBook版 → 詳細はこちら
  • 同時利用可能端末数:3

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特記事項

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