写真でわかる看護安全管理

  • ページ数 : 116頁
  • 書籍発行日 : 2007年7月
  • 電子版発売日 : 2019年7月19日
¥2,750(税込)
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商品情報

内容

42例のヒヤリハットを明快に分析!!
分析法の基本から、分析の実際、対策までがひと目でわかる!

●ヒヤリハットについて、その背景要因を日常的に、身近に分析する方法が身につく!
●事象の連鎖、背景要因を整理することで、職場の問題構造、問題の核心が見えてくる!
●各施設における報告制度に準じた報告書形式に容易に記載できる!
●リスクマネジメント領域の教育・研修の教材として役立つ内容!

>『 写真でわかるシリーズ

序文

まえがき

今日、様々な分野にわたる事故報道に触れるが、われわれがこれほど「安全」を失い、「信頼」が損なわれていることを実感する時がくるとは思っていなかった。人はひたすら利便性を追求し続け、効率性を優先してその果実を手にした。おそらく、それを豊かになったと錯覚していたのかもしれない。日常生活上、身近にこれほどまで安全が脅かされているとは、思わずにいたのである。

翻って医療界はというと、横浜市立大学病院の患者取り違え事故が公にされて以来、バッシングに近い状態に置かれ、必死に他産業分野の質向上のための事故防止知見に学ぼうとした。そして、厚労省をはじめ、多くの機関の後押し、取り組みが行われ、診療報酬制度の誘導によるとはいえ、病院としても安全管理室の設置などの仕組みを徹底した。

ところが、最も安全に腐心していると思われた航空、鉄道、電力はもとより、食品など多岐にわたる分野で、安全管理が十分に機能していないことが暴露されたのである。

医療界は遅れをとったとはいえ、「機能」の側面では同じ位置にいたのである。今や、医療界はリスクマネジメントに関して、独自に切り開いて理論を作り上げていくほかない時期にいる。他産業界のこれまでの知見は、おおいに活用しよう。しかし、真似るだけではなく、医療に即した対応・理論を構築していくことが求められる。

なかでも、看護は安全で安心、安楽を提供するのが、その本質である。看護界が積極的に推進し、安全追求を実践し、成果を挙げていくことが求められると自覚している。

それには、何をしたらよいのか。手始めに現場に起こったヒヤリハットから学び、全体(施設・看護界・医療界)に提案・提言し、ある方向性を示唆するものであると考える。こうした背景から、本書に取り組んだ。

協力者として、先駆的に安全管理に取り組んだ国立国際医療センターや武蔵野赤十字病院、かつて所属した済生会横浜市南部病院の各看護部長を通じ、リスクマネジャーの方々に依頼した。佐相氏とは研究会で知り合い、今回紹介する分析法が"当事者にいかに言い訳をしてもらうかが大切"という考え方に妙に納得した経緯があり、指導・協力をお願いした。

皆様にとっては難題であり、多忙にもかかわらず、幸い引き受けてくださった。原案作りを分担し、勤務終了後に参集して熱心に意見交換をした甲斐あり、時間がかかったが現実的にだれもが遭遇する事例を挙げることができた。

事例のテーマは「写真でわかる臨床看護技術」「写真でわかる基礎看護技術①②」(インターメディカ刊)の目次に照らしており、1項目につき3~4事例を作成した。したがって、本書に提示した事例は身体的手技的技能・技術に焦点化している。



本書の特色を以下に挙げる。

1.ヒヤリハットについて日常的に、身近に分析ができ、改善活動に役立てることができる。(SHELモデルや4M4E方式、RCAモデルよりも、現場に即応した思考パターンで対応できる。)

2.事象の連鎖、背景要因のボックスをじかに体験したことを想起して作るため、現場の状況を知り尽くし、職場の問題構造、問題の核心が見えてくる。

3.自施設内の報告制度に準じた報告書形式に、容易に記載できる。

4.リスクマネジメント領域の教育・研修の教材として、役立てることができる。



事故は、あってはならないことである。だが、人はエラーを起こす。そしてまた、仕事に熟練していく過程で小さな失敗をしてこそ、何がポイントか、大切なのかを体験して質を上げていく。

この矛盾した状況に直面し、人は成長する。成長の糧は、この「失敗から学ぶ、失敗を研究する」という真摯な態度・行動から培われるものであることを肝に銘ずるべきである。こうした日常活動から、安全に関する文化が醸成されることになる。

さて、本書を刊行できたのは、分担執筆者・指導者はもちろん、各施設の施設長をはじめとして、看護部長や仲間の温かい支援があってこそと、改めて実感する。

また、株式会社インターメディカの赤土社長、編集長の小沢氏、各編集者の惜しみないご支援・ご協力があったからこそである。

共に、心より御礼申し上げる。


平成19年5月吉日

村上 美好

目次

再発を防ぐ、未然に防止する

事故・インシデントの背景要因の分析

はじめに

事故・インシデントを分析する目的は?

STEP.1 インタビューで情報収集

「事象の連鎖」と「背景要因」をひもとく

STEP.2 時系列で、事象を把握

情報を時系列で整理し、事故に迫る

STEP.3 背景要因を把握

事象の連鎖と背景要因を図式化しよう

STEP.4 問題点の整理と対策

問題点に対する、対策を立てよう

おわりに

ミスや苦い経験から、多くを学ぶために

看護現場のヒヤリハット

(1) 輸液ボトルと穿刺部位の落差

点滴が早く終了してしまった!


(2) その点滴はだれのもの?

2つの輸液ボトルを取り違えた!


(3) 抗癌薬は小さな変化を見逃さず

抗癌薬が、血管外に漏出した!


(4) 配合禁忌を知っていますか?

側管注で、ルート内が白濁した!


(5) 輸液ルートを指差し確認

接続部が外れ、血液が逆流した!


(6) 点滴が落ちないワケは?

フィルターが目詰まりした!


(7) 中心静脈カテーテルの固定

カテーテルが抜けてしまった!


(8) 隔壁のあるタイプの薬剤

輸液の隔壁開通を忘れた!


(9) 投与ルートは正しいですか?

高カロリー輸液を末梢に接続!


(10) 原則を守って、正しく与薬

濃度の違うブドウ糖を与薬!


(11) 薬剤の単位に注意しよう

mgとmLを間違えて薬剤準備!


(12) 自動輸液ポンプの落とし穴

フリーフローに注意しよう!


(13) 自動輸液ポンプと予定量

輸液速度の変更を忘れずに!


(14) 自動輸液ポンプの固定位置

点滴台のバランスに注意しよう!


(15) シリンジポンプの落とし穴

過負荷アラーム後の急速投与!


(16) シリンジポンプ使用時の観察

点滴刺入部も見落とさずに!


(17) シリンジポンプの開始忘れ

早送りした後は、再開を確認!


(18) シリンジポンプの流量設定

小数点の誤りで、血圧低下!


(19) 気管内吸引の深さ、長さ

血性痰が吸引され、Sp02が低下!


(20) ベンチュリー機能付き加湿器

接続部が外れ、Sp02が低下!


(21) 気管挿管中の患者の口腔ケア

気管チューブが抜けかけてしまった!


(22) 気管チューブの再挿入

食道挿管になっていた!


(23) 人工呼吸器は加湿が大事

痰の濃縮、気管チューブ閉塞に注意!


(24) 人工呼吸器離脱中の観察

自己抜去の危険性に注意!


(25) 人工呼吸器回路の交換

間違えないで!呼気と吸気


(26) 人工呼吸器のアラーム音量

音量を落としていませんか?


(27) 胸腔ドレーン挿入中の観察

体動によるドレーン抜去に注意!


(28) 胸腔ドレーンのクランプ

「ドレーンはクランプ」の思い込み


(29) 胸腔ドレーンの排液バッグ

水封室に蒸留水をお忘れなく


(30) 胸腔ドレナージのエアリーク

接続部は、結束帯で固定しよう!


(31) 各食前と21時の血糖測定

血糖測定を忘れ、朝食を摂った!


(32) 血糖自己測定・自己注射

朝食待ちで、注射してしまった!


(33) インスリン注射は専用注射器で

単位を間違えて注射した!


(34) インスリンの種類と作用

インスリンの種類を間違えた!


(35) スライディングスケールの落とし穴

指示票の見間違いに注意!


(36) 血糖自己測定のチェック

正しく指導をしたはずが...


(37) 薬剤準備を中断した場合

誤って、薬剤を過剰投与!


(38) 経口与薬は、飲み込むまで確認

錠剤の飲みこぼしを発見!


(39) 処方箋の指示確認

「2錠1×朝食後」は、1回何錠?


(40) 経管栄養開始前の確認

栄養剤が口腔より流出した!


(41) 栄養チューブからの与薬

栄養チューブが閉塞した!


(42) 栄養ルートと輸液ルート

内服薬を輸液ルートに注入!?

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  • Androidロゴは Google LLC の商標です。

書籍情報

  • ISBN:9784899961802
  • ページ数:116頁
  • 書籍発行日:2007年7月
  • 電子版発売日:2019年7月19日
  • 判:B5判
  • 種別:eBook版 → 詳細はこちら
  • 同時利用可能端末数:3

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特記事項

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