新・泌尿器科臨床病理学 ホットトピックスを徹底的に究明する!!

  • ページ数 : 178頁
  • 書籍発行日 : 2015年4月
  • 電子版発売日 : 2018年11月30日
¥11,000(税込)
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内容

日本を代表する3人の泌尿器科臨床医・病理医が、最新の泌尿器科臨床現場のホットトピックスに鋭く切り込む!!

臨床医が病理医から報告された所見を正しく理解し、治療に反映するためには、臨床医と病理医とのダイアローグによる「言葉」と「概念」の共有が必要不可欠である。病理学、泌尿器科学、分子生物学などの進歩によって加わった最新の知見や治療法を中心に、臨床最前線での27の“ホット”な疑問をQ&A形式で明快に解説する。

序文

序に代えて

泌尿器科医と病理医とのダイアローグ


2003年から5年間に渡って刊行された「泌尿器科臨床病理シリーズ大保亮一教授が答える日常臨床の疑問点」は、臨床現場の泌尿器科医と病理医とをつなぐ新しい試みであった。これらは2008年に「日常臨床の疑問に答える泌尿器科臨床病理学」として一冊の単行本として刊行された。

その序文に以下の文章が引用されている。


"Pathology should form the basis of every physician's

thinking about his patients"

W.A.D. Anderson (Anderson's Pathology, 1948)


医学における病理学の基本と臨床医とのダイアローグの重要性を見事に表している。一方、臨床医と病理医とのダイアローグは双方向性でなければならない。臨床医は病理医から報告された所見を正しく理解し、治療に反映しているであろうか?その前に、診断に重要な臨床所見を正しく述べ、自らの疑問を病理医に積極的に投げかけているであろうか?臨床医と病理医が絶えず成長し成熟した関係になっているであろうか?泌尿器科医は臨床現場で病理医と顔の見える関係を構築できているであろうか?

上記のシリーズはこのような問題意識の下で刊行され、大変好評を得た。その後も病理学、泌尿器科学、そして分子生物学などの進歩により新たな知見が加わった。腎腫瘍では2013年に新しい分類法が提唱され、2004年WHO分類との異同が注目される。小径腎腫瘍に対するnephron-sparing surgeryとともにactive surveillanceも注目されるようになってきた。尿路上皮癌では2004年WHO分類で高異型度癌と低異型度癌の分類法が用いられ、取扱い規約でも正式に採用されている。臨床的にはpT1またはpT2高異型度癌の取扱いが注目されている。前立腺癌の増加は続いており、2020年には本邦男性の癌罹患数トップになることが予測されている。2005年ISUP(InternationalSociety of Urological Pathology)の報告を受け、Gleason分類が大きく変わった。active surveillanceを含め、限局癌の治療法も多様化している。一方で去勢抵抗癌の分子メカニズムの研究が進み、新規の治療法が続々と登場している。

このようななかで、前版の問題意識を引き継ぎ、今回も泌尿器科臨床医の疑問に答える、"Question and Answer"形式で本書を刊行することとなった。Questionはより重要なものに焦点を絞り、腎癌7、膀胱癌6,前立腺癌14とした。前回の版になかった新たなQuestionを取り上げるとともに、臨床上重要な疑問については再度取り上げて、最新の知見を盛り込んで解説を行った。

本書が、多くの泌尿器科医と病理医とのダイアローグに役立ち、泌尿器科臨床のさらなる向上につながることを願いたい。


大保亮一 大園誠一郎 荒井陽一

目次

I 腎癌

Question 1

2013年に腎腫瘍の新しい分類が提唱されたとの報告がありますが、それについて説明してください。2004年版のWHO分類とはどのように異なるのですか?

Question 2

管状嚢胞状腎細胞癌(tubulocystic renal cell carcinoma: TCRCC)について説明してください。その病理像は?その臨床的病態は?

Question 3

淡明細胞型乳頭状腎細胞癌(clear cell papillary renal cell carcinoma: CCPRCC)といわれる腎癌が最近文献でみられます。その生物学的特徴を解説してください。淡明細胞型腎細胞癌(clear cell renal cell carcinoma: CCRCC)や乳頭状腎細胞癌(papillary renal cell carcinoma: PRCC)とどのように異なるのですか?

Question 4

甲状腺様濾胞型腎細胞癌(thyroid-like follicular renal cell carcinoma: TLFRCC)というのはどんな腫瘍ですか?甲状腺の機能を持つ癌ですか、それとも甲状腺癌の腎転移ですか?

Question 5

腎腫瘍の穿刺診断(renal mass biopsy: RMB)の意義について解説してください。どのような症例が診断の対象となりますか?穿刺で診断の確立される頻度は?穿刺に伴うリスクは?

Question 6

腎癌に対する腎保存手術(nephron-sparing surgery: NSS)、すなわち腎部分切除術(partial nephrectomy: PN)の適応を論じてください。NSS後の再発のリスクはどれほどですか?PNの場合、どれくらい正常組織をつけて切除すべきでしょうか?PNは腎機能に対して長期的にどのような影響を及ぼしますか?

Question 7

早期腎癌に対して、active surveillance(AS)が選択肢として提供されています。どのような患者がその対象になりますか?ASを継続するためにはどのような臨床観察条件を満たすことが必要ですか?ASから脱落して外科的処置に切り換える根拠は何ですか?

II 膀胱癌

Question 1

2004年版WHO尿路上皮腫瘍分類の特徴の一つは、低悪性度乳頭状尿路上皮腫瘍の一部をPUNLMP(papillary urothelial neoplasm of low malignant potential)の名称で紹介したことですが、この疾患名は臨床家にとって、果たして有意義なものでしょうか?「腎盂・尿管・膀胱癌取扱い規約」では正式な診断項目として採用されていません。

Question 2

病期pT1尿路上皮腫瘍の性格について解説してください。進行癌に移行するタイプの特徴というものがありますか?

Question 3

pTa高異型度尿路上皮癌(urothelial carcinoma, high grade: CaHG、2004年版WHO分類)と初期診断された腫瘍の病態について説明してください。どのような臨床経過をたどりますか?

Question 4

膀胱尿路上皮腫瘍は、大別して2つあることは承知しています。大多数は、筋層非浸潤(表在)性で再発を繰り返すが比較的良好の臨床経過をたどるもので、第二は初期から高異型度(筋層)浸潤性腫瘍として出現し、進行性の病態を示すものです。両者に特異的な分子生物学的特徴はありますか?予後の推定に役立つマーカーがあれば説明してください。

Question 5

pT1高異型度癌(urothelial carcinoma, high grade: CaHG)の病態について説明してください。臨床観察で進行型となるものを予測できる因子がありますか?もしfibroblast growth factor receptor 3(FGFR3)変異が認められれば、予後を改善しますか?p53遺伝子の役割は?

Question 6

尿路上皮腫瘍において免疫組織化学反応の役割は?使用する妥当性と有用性について解説してください。

III 前立腺癌

Question 1

前立腺に被膜(capsule)はありますか?泌尿器科医だけでなく病理医も、前立腺摘除検体の癌の進展度(stage)診断の際、"被膜"という言葉を使う傾向がありますが。

Question 2

前立腺の解剖学的構築について説明してください。泌尿器科医のみならず、外科病理医にとって重要な標識は何ですか?

Question 3

根治的前立腺摘除術(radical prostatectomy: RP)標本の病理学的検索により癌組織が前立腺外に浸潤していたり、外科的切除断端に進展していたという所見が報告されたとき、患者のその後の見通しはどうなりますか?このような結果でも術後に無治療で経過視察していると、前立腺特異抗原(prostate specific antigen: PSA)上昇がみられる患者と長期にわたり上昇がみられない患者とを経験します。病理学的に予知ができますか?また病理学的検索の結果、RPに成功したと思われていた患者の一部にPSA上昇がみられることもあります。病理医の立場からこの現象を説明してください。

Question 4

限局性前立腺癌に対する根治的前立腺摘除術(radical prostatectomy: RP)においては、癌の"被膜"外進展があって切除断端が陽性であれば、病期進行のリスクになることが知られています。では、癌病変のある前立腺実質に偶然切り込んで切除断端陽性(positive surgical margin: PSM)となった場合のリスクはどうなりますか?

Question 5

前立腺前部癌(anterior prostate cancer: APC)あるいは前立腺前部優勢癌(anterior predominant cancer)と呼ばれる癌について説明してください。はるかに多い後部癌(posterior prostate cancer: PPC)とどのように異なりますか?

Question 6

移行領域(transition zone: TZ)由来の腺癌の臨床的意義を説明してください。根治的前立腺摘除術(radical prostatectomy: RP)後の患者の予後を、定期的に前立腺特異抗原(prostate specificantigen: PSA)値の測定で追跡した場合、辺縁領域(peripheral zone: PZ)腺癌より予後がよいといわれていますがそのとおりですか?病理医からの報告が"TZ由来腺癌"であれば"予後は良好である"と患者に伝えてもよろしいですか?

Question 7

意図的に移行領域(transition zone: TZ)を針生検(prostate needle biopsy: PNB )することの意義と妥当性について解説してください。

Question 8

前立腺癌の組織分類は、2005 年国際泌尿器病理学会(International Society of Urological Pathology: ISUP)の改定報告を受けて、初期のGleason分類から大きく変わりました。"前立腺癌取扱い規約"でもかなり詳しく報告されていますが、いったいどのように変わったのか、そして改定の臨床的意義も説明してください。

Question 9

Gleasonパターン4病巣の存在は、パターン3の病巣の症例に比べて、前立腺癌の予後を増悪するといわれていますが、そのとおりですか?病理学的に根拠を説明してください。

Question 10

去勢抵抗性前立腺癌(castration resistant prostate cancer)とはどういう腫瘍ですか?初期の癌とどのように異なるのですか?

Question 11

末期前立腺癌は、大多数の症例において骨転移を併発し、いかにしてこの問題に対処するかが臨床上の問題点です。骨転移はどのような機序によって起こるのか解説してください。

Question 12

前立腺病変で篩状構造(cribriform)を示す病変(cribriform lesions)は、どのように分類したらよいのですか?高度前立腺上皮内腫瘍(high grade prostatic intraepithelialneoplasia: HGPIN)

とGleasonパターン4病巣との鑑別はどのようにしたらよいのですか?また、最近intraductal

carcinoma(IC)という名称が文献で使われていますが、どのような病変ですか?導管癌(ductal adenocarcinoma: DC)とはどのように異なるのですか?

Question 13

前立腺癌における神経内分泌細胞の臨床的意義は何ですか?ホルモン療法後、この細胞が増加し、前立腺癌細胞の増殖を促すといわれていますが、そのとおりですか?

Question 14

最近、前立腺特異抗原(prostate specific antigen: PSA)スクリーニングによって発見された前立腺癌に対して直ちに治療開始せず、定期的観察によって治療開始時期を遷延させる手段が報告されています。どのような条件を満たす症例なら、この手段にまかせてよいでしょうか?どのような方法で患者の追跡をしますか?

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書籍情報

  • ISBN:9784899963318
  • ページ数:178頁
  • 書籍発行日:2015年4月
  • 電子版発売日:2018年11月30日
  • 判:A4判
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