• ページ数 : 200頁
  • 書籍発行日 : 2016年6月
  • 電子版発売日 : 2016年10月21日
¥3,300(税込)
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商品情報

内容

若手医師必携!がん薬物療法の基本がわかる、臨床試験がみえてくる

がん薬物療法の進歩は目覚ましく、がん診療に携わる医師、特に若手医師にとってはその知識を早い段階から 習熟していく必要があります。
本書は、若手医師のがん診療への関心をより高めることを目的として、多くのがん薬物療法に関するマニュアル書とは位相を異にした、がん薬物療法の基本(本質)、臨床試験の重要性などをわかりやすく解説した、がん薬物療法の入門書となっています。

序文

序文

がんに対する薬物療法はめまぐるしい展開をみせている。21世紀に入り分子標的治療薬の開発が進み、ドライバー変異に対する薬剤は従来の常識を大きく凌駕する治療成績を示し、進行がんであっても早期例に対する手術療法の成績に匹敵する場合もみられるようになってきた。また、2010年以降は免疫チェックポイントを標的とした抗体の開発によって、がんに対する免疫制御機構が実際ヒトの体内で働き得ることが証明された。この免疫療法は従来の殺細胞性抗がん薬とは異なり生存期間の中央値を延長するだけではなく、一部の固形がんでは薬物療法による長期生存を可能としている。一方、がん薬物療法の効果を評価するための臨床試験体制も整備されてきた。1997年GCP省令の導入により旧薬事法(医薬品医療機器等法)で規制される治験体制は欧米並みとなったが、医師主導の臨床試験は野放しの状態が続いた。国立がん研究センターを中心とするJCOGやWJOG等その他の自主的な研究グループの努力もあり徐々に整備されてきたが、2015年「人を対象とする医学系研究に関する倫理指針」が施行され、今後の臨床研究はこの基準を満たす必要がある。これは医薬品医療機器等法以外の臨床研究に適用されるが、ほぼGCPレベルのものとなっている。

実地医療の場で用いられる薬剤の解説書をみても抗がん薬に関する記載は抗菌薬と同程度に膨れ上がっている。分子標的治療薬の導入によって作用機序別にみれば抗がん薬は最も複雑な治療薬といえる。したがって、がん薬物療法を目指す研究者は膨大な知識を身につけるとともに、それを駆使しがん患者に対応する必要がある。筆者ががん薬物療法に興味を持ち始めた40年余り前(1975年)、雑誌「内科」に"腫瘍"という総説を書いたが、抗がん薬は数も少なく固形がんに対しては効果もみられなかったため記載内容は乏しいものであった。その後、数多くの教科書や雑誌を編集する機会があったもののその都度メイントピックスは変わっていった。恥ずかしい限りとも思うが、この領域の学問がそれだけ未熟でありかつ進歩が早かったことによる。

本書はがん薬物療法にまつわる今までの歴史、現状、将来展望に関する私見をまとめたものである。Part1は、がん薬物療法に関する概説である。今までに上梓した書物は分担執筆であったが、今回はすべて執筆した。実際の非臨床試験・臨床試験のデータは入っていない。がん薬物療法がどれだけ複雑かつ興味ある学問であるかを理解していただきたい。そして、読者自身もこの分野で活躍しようという気概を持っていただくことを期待している。Part2は、実際に治験あるいは市販後臨床試験を行い国際的に権威のある雑誌にその研究成果である論文を掲載できた先生方の苦労話である。科学的根拠に基づく臨床試験計画を立て、それを行い得られた成果を論文化する過程が如何に多難であり、かつやりがいのあるものかを論文に対するRefereeとのやり取りから読み取れると思う。よくNature、Scienceといわれるが、そのインパクトファクターはそれぞれ41.90、33.61である。New Engl J Med、Lancetはそれぞれ55.87、45.22とNature、Scienceより高い。Lancet Oncol およびJ Clin Oncol は24.72、18.44である。経験のある先生方はお分かりだが、インパクトファクターが10以上の雑誌に載る研究成果は極めて重要であり掲載されることは難しい。日本からNew Engl J Medに掲載されるのは1年に1報ぐらいである。若い先生方には特にがん分野からの研究成果の発表を期待したい。

末筆になるがこの原稿を一冊の本に仕上げていただいた日経メディカルCancer Review の細川洋志氏、小崎丈太郎氏にお礼申し上げる。

2016年5月

西條長宏

目次

Part 1 がん薬物療法の基本

A. 抗がん薬とは何か

はじめに--抗がん薬の歴史とその分類

抗がん薬の探し方--スクリーニング

抗がん薬と薬物動態、薬力学

抗がん薬と薬理遺伝学のこれから

殺細胞性抗がん薬--その種類と作用

開発が盛んな分子標的治療薬

分子標的治療薬--その標的と効果

免疫療法の歴史

免疫チェックポイント阻害薬

抗がん薬の副作用

治療関連死とは

B. 抗がん薬投与のポイント

抗がん薬投与の目的

がんの縮小と"治る"ということ

抗がん薬の効果と耐性化

併用療法--効果と毒性の増強

集学的治療とは何か

広がる個別化治療と精密医療

抗がん薬による生存率の向上

バイオマーカーの開発

ドラッグラグ--抗がん薬承認の遅れを取り戻す

C. 臨床試験の重要性

抗がん薬開発の主役は

臨床試験と実地医療

臨床試験の必須条件

臨床試験の実際

おわりに

Part 2 がん薬物療法の臨床試験(治験および市販後臨床試験)の実際

1 非小細胞肺がんのドライバー変異:EGFR変異とALK融合

Q&A
JO25567試験:Lancet OncologyからのReviewer CommentsとRebuttals

今回のP・E・C・O
①JO25567試験(ランダム化第2相試験)
②AF-001JP試験(第1/2相試験)

2 卵巣がんに対するDose-dense TC療法

Q&A
JGOG3016試験:NEJMからのReviewer Comments
Lancet2009からのReviewer CommentsとRebuttals
Lancet Oncology2013からのReviewer CommentsとRebuttals

今回のP・E・C・O
①JGOG3016試験(ランダム化比較第3相試験)
②JGOG3016試験の解析

3 JCOG0509試験とWJTOG0105試験

Q&A
JCOG0509試験:JCOからのReviewer CommentsとRebuttals
WJTOG0105試験:JCOからのReviewer CommentsとRebuttals

今回のP・E・C・O
①JCOG0509試験
②WJTOG0105試験

4 ランダム化第2相試験とRECOURSE試験

Q&A
10040030試験:Lancet OncologyからのComments とRebuttals

今回のP・E・C・O
①第2相臨床試験(10040030試験)
②第3相臨床試験(RECOURSE試験)

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書籍情報

  • ISBN:9784931400771
  • ページ数:200頁
  • 書籍発行日:2016年6月
  • 電子版発売日:2016年10月21日
  • 判:A4変型
  • 種別:eBook版 → 詳細はこちら
  • 同時利用可能端末数:3

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