皮膚病診療Vol40, No.3(2018年3月号)

  • ページ数 : 108頁
  • 書籍発行日 : 2018年3月
  • 電子版発売日 : 2018年3月16日
¥3,080(税込)
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商品情報

内容

Vol.40 No.3【頸部・項部の皮膚病】

本誌は「臨床医のための月刊皮膚病総合雑誌」を標榜しており、以下の7つを特徴としております。

1.毎号特集形式―実地診療に役立つ 2.カラー印刷―わかりやすく伝える臨床情報 3.多彩な執筆陣―全国にまたがるネットワーク 4.アンケート特集―実地医家の生の声を 5.学会ハイライト―日皮会総会、支部総会の情報を 6.座談会―著名な臨床家、研究家によるディスカッション 7.増刊号―通常号に加えてさまざまな情報を

このほか、読者の方からの意見や投稿を掲載する「声」欄も充実しています。

序文

瘢痕浸潤とscar sarcoid

サルコイドーシスの皮膚症状の1つに瘢痕浸潤がある.膝にもっとも多く,旧い傷痕が盛り上がってくるが,手背や腕などにも同様の症状がみられることもある.他科からサルコイドーシスを疑われてコンサルトされた場合に,真っ先に膝をみるくらい代表的なものである.本邦では以前から,瘢痕浸潤としてサルコイドーシスの特異疹と分けて考えられてきた. 英語にするとinfiltration of scars( or scar infiltration)であるが,海外ではscar sarcoid( cicatricial sarcoid)として特異疹に含まれているようである.従来の考え方だと,組織学的に異物や異物型巨細胞が確認されると瘢痕浸潤となる.しかし異物型巨細胞とラングハンス型巨細胞とが混在する症例も報告されている.

不思議に思うことに,本邦と異なり海外ではscar sarcoidがまれ(数%)とされているところである.サルコイドーシスは人種差が顕著な疾患であり,皮膚サルコイドのタイプも人種によって異なる.過去の論文には,膝の病変を瘢痕状と丘疹状サルコイドーシスに分けているものもある(JAAD 2003;49:75).掲載論文に出ていた臨床写真はまさに瘢痕浸潤にほかならないのだが,組織学的に瘢痕組織がみられないものをpapular sarcoidとしていた.当然ながら,これに対しての反論も掲載された(JAAD 2004;51:841)が,まったく同意見である.

では,瘢痕浸潤がサルコイドーシス以外にみられることがあるかというと,ほとんどないのではと思う.シリカ肉芽腫という旧い病名があり,これは外傷時に混入したガラス破片による異物反応であるが,サルコイド病変が他臓器にみつかれば瘢痕浸潤で,みつからなければシリカ肉芽腫になるのもおかしな気がする.実際,シリカ肉芽腫をscar sarcoidに入れている論文もみかける.問題は膝の瘢痕浸潤しかない場合,これを皮膚サルコイドとするかであるが,少なくともその時点で他臓器病変があるか否かで診断が変わってしまうのはおかしい.旧い傷痕に一致してほかの病変が後に出てくるのはケブネル現象にほかならない.そして最近の考え方によると,ある時点から瘢痕が隆起してくるのは免疫再構築症候群に起因する可能性も提唱されている.免疫が回復してくる時期に一致して肉芽腫が生じるのは免疫再構築症候群の一症状かもしれないが,実際は該当するトリガーが何もみつからない場合も多いのではと思う.

筆者は昔から,瘢痕浸潤をサルコイドーシスの特異疹とは別に考えられるのを不思議に思ってきた.サルコイドーシスは全身性の肉芽腫性疾患であるので,ある時点で本症が発症するとそれまで共存していた異物に対してサルコイド反応が誘導されても不思議ではないと思う.本邦でも,瘢痕浸潤をscar sarcoidとしてサルコイドーシスの特異疹に含める日が来るのだろうか.来てもおかしくないと思う.現時点では,膝の旧い瘢痕がある時期に盛り上がってきて,検査しても皮膚以外に病変がない場合,それをシリカ肉芽腫という人と,scar sarcoidという人に分かれるかもしれない.どちらで呼ぶにせよ,後年他臓器にサルコイド病変が出てこないかfollowしていくことが大事であることはいうまでもない.


山本 俊幸

目次

臨床例

限局性強皮症を伴った進行性顔面片側萎縮症

炎症性辺縁隆起性白斑

Rosai-Dorfman病

弾性線維性仮性黄色腫

月経疹

頸部血管拡張を呈した胸郭出口症候群

ペラグラ

汎発型モルフェアが先行し,びまん性筋膜炎を生じた症例

頸部腫瘤を主訴に来院した良性対称性脂肪腫症(Madelung病)

頭頸部に痒疹様結節が多発したinsect bite-like reaction

慢性型の白癬菌性毛瘡

頸部の皮下膿瘍を呈したMycobacterium peregrinum皮膚感染症

前頸部に生じた巨大石灰化上皮腫

若年男性に出現した片側性母斑性毛細血管拡張症

頸部・体幹に多発する嚢腫性病変

英文抄録

editorial

瘢痕浸潤とscar sarcoid

総説

インフォームド・コンセントの法的要件

新しいリンパ腫WHO分類改定第4版(2017):とくに皮膚リンパ腫について

蝶の博物詩

生態33

学会ハイライト

第33回日本皮膚悪性腫瘍学会学術大会 皮膚がん治療の革命前夜:パラダイムシフトの予感を終えて

第32回日本皮膚外科学会総会・学術集会を終えて

皮心伝心

遺伝性皮膚疾患は決してATGCからスタートしてはならない

診察室の四季

春寒

皮膚科のトリビア

第153回

私の歩んだ道

私の歩んだ道

爪白癬の爪はなぜ捻れるのか?

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書籍情報

  • ISBN:9784992000273
  • ページ数:108頁
  • 書籍発行日:2018年3月
  • 電子版発売日:2018年3月16日
  • 判:B5判
  • 種別:eBook版 → 詳細はこちら
  • 同時利用可能端末数:3

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