日常診療に必要な認知症症候学

  • ページ数 : 196頁
  • 書籍発行日 : 2014年7月
  • 電子版発売日 : 2020年7月10日
¥5,500(税込)
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商品情報

内容

※改訂版『症候学から見極める認知症』も販売中です。

症候を正しく見極め、そして患者の生活史や家族、周囲の環境にも目を向けた関わりが求められる認知症。本書では、診断だけでなく、治療やケアにも欠かすことのできない認知症の症候学を丁寧に解説。生活上問題になっている症状は何か、その背景の異常は何かを理解し、実際の治療、生活支援につなげるためのポイント、心得が存分に盛り込まれた。
各論では、認知症をきたすADやDLB、FTLDなど、疾患毎の特徴的な症候や検査所見、治療について詳細に説明し、さらに、せん妄や記憶障害、遂行機能障害、妄想などの各症状の診断の流れ、注意事項、対応の仕方等もわかりやすくまとめられている。
神経心理学的検査や画像などの重要所見、さらに認知症と自動車運転などの最新トピックスも掲載。
精神科医、神経内科医のみならず、認知症患者を診るすべての医療スタッフ必携の1冊。

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序文

はじめに

なぜ今,症候学なのか。

認知症医療においても,他の疾患同様に急速に進歩してきた脳画像や髄液検査などによるバイオマーカーの活用が叫ばれている。一方では,パーソンセンタードケアを中心とした全人的な介護,認知症になっても住み慣れた地域で安心して暮らせる社会の構築が国の施策にもなっている。そのような状況の中で,我々臨床医や医療専門職が患者さんと一対一で向き合う診察や観察によって得られる自覚症状と他覚的所見(症候学)の重要性を改めて世に問い直してみたいという思いが,本書の編集の企画を引き受けた動機の1つである。

何人もの著者が本書の中で述べているように,症候学は認知症の診断だけでなく治療やケアにも欠かすことができない。少ない臨床経験に基づく私見であるが,認知症の9割近くは診察(症候学)と通常のCTないしMRI画像が得られれば,診断にはこと足りると思われる。また,ほとんどの認知症性疾患に根本治療薬が存在しない現時点では,非薬物療法が治療の中心となるが,科学的な非薬物療法を実施するためには症候学の知識が不可欠である。検査のみに頼らず,診察と介護者からの情報に基づく診断,そして診察から得られた所見と各々の高齢者やその家族から聞き取った生活史や生活環境をも考慮した治療方針を,認知症者本人や介護者とともに作り上げていくことは,まさに臨床家の醍醐味ではないだろうか。また,正確な症候学の知識は,洗練された神経心理検査や精神症状評価尺度の開発に反映されることになる。さらに,特徴的な症状や他覚的所見から,新たな臨床分類の提唱,背景病理そして分子生物学的異常の発見にたどり着いた例は,認知症性疾患にも数多く存在する。すなわち症候学は,症状を症候群にまとめ,診断から治療をもたらす実用の学という側面と,症状の意味するところを求め,疾患の本質を考えるという理念の学という側面を併せ持っているのである(濱田秀伯:精神症候学 第2版.弘文堂,2009)。

最近の有病率調査で,わが国の認知症者は460万人,認知症の前駆段階を高頻度に含んでいるMCIは400万人といわれているが,この人達すべてに高度な医療機器や侵襲的な検査を実施する余裕は,経済的にもマンパワーの面でも今の医療現場には残っていない。何より,多くの高齢者やその家族は,そのような負担を望んでいないと思われる。また,MCIの段階において背景疾患を検索する目的で進歩の著しいバイオマーカーを的確に補助診断として用いるためには,診察そのものの水準が十分であることが大前提であることは言うまでもないことであろう。

私の師匠であった故田邉敬貴愛媛大学教授は,認知症をめぐるこのような状況をふまえて,認知症の症候学をこれからの認知症医療を担う若者達に伝授する重要性を常々強調されていた。本書の執筆を,田邉先生にゆかりのある,わが国を代表する臨床家の先生方にお願いした所以である。

それにしても,本書の編集を引き受けてから5年の月日が流れた。これはひとえに編者の怠慢と力不足によるものであり,この場をお借りして快く執筆を引き受けてくださった著者や関係者のみな様にお詫びしたい。また,辛抱強く励まし続けてくださった新興医学出版社の岡崎真子さん,ならびに編集部のみな様に深謝したい。


2014年春 熊本にて

池田 学

目次

第Ⅰ章 総論

1.認知症診療における症候学の重要性

2.神経心理学的検査と症候学

3.画像と症候学

第Ⅱ章 認知症をきたす疾患の症候学

1.アルツハイマー病の症候学

2.血管性認知症の症候学

3.レビー小体型認知症の症候学

4.前頭側頭葉変性症の症候学

5.皮質基底核変性症と進行性核上性麻痺の症候学

6.正常圧水頭症と慢性硬膜下血腫の症候学

第Ⅲ章 症候学 各論

1.せん妄

2.うつとアパシー

3.注意障害

4.遂行機能障害

5.記憶障害

6.幻覚

7.妄想

8.常同・強迫行動

9.食行動異常

10.睡眠関連症状

11.失語および関連言語症状

12.失行症

13.相貌認知障害 鏡現象

第Ⅳ章 症候学から生活支援へ

1.自動車運転

2.症候学から認知症の人を理解する

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書籍情報

  • ISBN:9784880027432
  • ページ数:196頁
  • 書籍発行日:2014年7月
  • 電子版発売日:2020年7月10日
  • 判:B5判
  • 種別:eBook版 → 詳細はこちら
  • 同時利用可能端末数:3

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