別冊「医学のあゆみ」レクチン医学最前線

  • ページ数 : 144頁
  • 書籍発行日 : 2020年4月
  • 電子版発売日 : 2020年7月24日
¥4,840(税込)
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商品情報

内容

●レクチン医学の臨床に向けた応用から基礎研究に至るまで,最前線で活躍するエキスパートが解説!
●レクチンの定義に関する論文が『Nature』誌に掲載されたのは1980年代のことである.当時はまだ知名度も低く,レクチンが認識する糖鎖の生物学的意義に関しても知見は乏しかった.
●その後,免疫系にC型レクチン受容体の遺伝子が見出され,リガンドの特定と機能が明らかになるにつれて,レクチンの意義が注目されるようになった.現在では,さまざまな分野の研究者がこの領域に参画している.
●レクチンは教科書ではあまり触れられていないが,臨床では癌などの診断に活用されるなど決して遠い存在ではない.本特集では,今後レクチン研究がどのように進展するかを概説し,他の研究分野との連携を考察する

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序文

はじめに

5名の著明なレクチン研究者の連名でレクチンの定義に関する記事が『Nature』誌に掲載されたのは1980年のことである.当時はまだ知名度も低く,レクチンが認識する糖鎖の生物学的意義に関しても知見は乏しかった.その後,免疫系に数多くのC型レクチン受容体の遺伝子が見出され,リガンドの特定と受容体の機能が徐々に明らかになるにつれて,レクチンの意義が注目されるようになった.ほかにも,ウイルスや細菌の感染にはレクチン受容体を介して宿主細胞に結合することが必須であったり,成長因子やケモカインなどの共受容体としてグリコサミノグリカン鎖が機能するなど,レクチンという定義を越えて糖鎖認識分子の重要性が多くの研究者に認知されるようになった.

細胞内のシグナル伝達はミリ秒という非常に速い反応であり,蛋白質のリン酸化やカルシウムイオンの流入などにより制御されている.一方,広範な細胞間コミュニケーションという長いタイムスパンの情報伝達には,化学的に安定な糖鎖とレクチン受容体を介したシグナル伝達が多用されている.糖鎖は安定であるがゆえに迅速な変化に対応する方策も必要であり,受容体のクラスター化と解離でシグナルのon/offを制御したり,糖鎖の微小不均一性(microheterogeneity)などに象徴される.

このような背景のもと,さまざまな分野の研究者がこの領域に参画するようになり,現在ではレクチンを介する機能制御の試みが果敢に挑戦されている.そこで,「レクチン医学最前線」というテーマで,臨床に向けた応用から基礎研究に至るまで,それぞれの最前線で活躍されている先生方に先駆的な研究を紹介していただくことを企画した.

レクチンに関する記述はいまだに教科書ではほとんど触れられていないが,臨床では抗体やレクチンを用いた糖鎖マーカーの追跡が癌の診断に多用されるなど,レクチンはけっして遠い存在ではない.本特集が,今後レクチン研究がどのような方向に進展しようとしているのかを知り,ほかの研究分野とどのようなコラボレーションが可能かを模索していただきたく,医学に携わる先生方との接点を持つ一助になることを強く願っている.


山本一夫
東京大学大学院新領域創成科学研究科先端生命科学専攻

目次

総論

1.レクチンの未来―自然に学ぶ時代から医工学利用に向けたエンジニアリングの時代へ

 KeyWord 糖特異性,蛋白質分子骨格,Pfam,人工レクチン,糖鎖認識素子

レクチンの臨床に向けたアプローチ

2.レクチンによる糖鎖標的膵癌治療の開発

 KeyWord 癌特異的糖鎖,レクチン,癌標的治療,膵癌

3.膵がん糖鎖バイオマーカーとしてのフコシル化ハプトグロビンの臨床応用

 KeyWord 膵がん,糖鎖,フコシル化ハプトグロビン

4.新たなモダリティーとしてのレクチン-薬剤複合体の創出

 KeyWord レクチン-薬剤複合体,糖鎖,幹細胞,膵がん

5.レクチンの口腔ケア製剤への利用応用

 KeyWord 口腔感染症,バイオフィルム,初期付着,口腔ケア製剤

6.C型レクチン受容体Dectin-1による腸管免疫の制御

 KeyWord C型レクチン,Dectin-1,βグルカン,腸管免疫,大腸炎

7.鳥インフルエンザウイルスヘマグルチニンのレセプター特異性と宿主伝播

 KeyWord 鳥インフルエンザウイルス,シアル酸糖鎖,宿主間伝播,馴化

糖鎖を標的とした工学的アプローチ

8.蛋白質ナノブロックによるレクチン超分子複合体の創出戦略

 KeyWord 蛋白質ナノブロック,人工蛋白質,蛋白質工学,レクチン工学,超分子複合体

9.ボロノレクチンを利用したバイオエンジニアリング

 KeyWord ボロン酸,シアル酸,グルコース,標的治療,糖尿病

10.非蛋白性合成レクチンを用いた糖認識バイオマテリアル

 KeyWord 合成レクチン,benzoxaborole,温度,応答性高分子

11.アントラキノン-レクチンハイブリッド分子による標的糖蛋白質の選択的光分解―肝がん関連糖蛋白質AFP-L3の選択的光分解

 KeyWord 光分解,糖蛋白質,アントラキノン,α-フェトプロテインL3,レクチン

レクチンを標的とした工学的アプローチ

12.改変レクチンの創出

 KeyWord マメ科レクチン,改変レクチン,糖結合特異性,グリコサミノグリカン,ヘパリン

13.糖鎖高分子およびナノゲルによるレクチン機能材料の開発

 KeyWord 糖鎖高分子,ナノゲル,多価効果,硫酸化糖

14.感温性微粒子を用いたグルコースセンシング

 KeyWord 感温性微粒子,コア-コロナ型微粒子,グルコースセンシング,フェニルボロン酸

レクチンの新たな視点

15.レクチンとしての繊維芽細胞増殖因子

 KeyWord グリコサミノグリカン,ヘパリン/ヘパラン硫酸,コンドロイチン硫酸

16.C型レクチン受容体のリガンド認識と免疫調節機構

 KeyWord C型レクチン受容体,ITAM,ITIM

レクチン-糖鎖相互作用の物理化学的理解

17.レクチンの糖鎖認識とは

 KeyWord 水素結合,CH/π相互作用,アフィニティ,アビディティ

18.レクチンの複数の糖結合部位の親和性解析―セレン糖鎖とX線結晶構造解析

 KeyWord 糖結合親和性,フコース特異的レクチン,セレン含有フコース,X線結晶構造解析

19.核磁気共鳴分光法と分子動力学計算を通じて観る糖鎖の動的構造とレクチンの糖鎖認識の理解

 KeyWord 分子動力学,常磁性効果,糖タンパク質,レクチン

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書籍情報

  • ISBN:9784006528514
  • ページ数:144頁
  • 書籍発行日:2020年4月
  • 電子版発売日:2020年7月24日
  • 判:B5判
  • 種別:eBook版 → 詳細はこちら
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