麻酔科トラブルシューティングAtoZ

  • ISBN : 9784830628320
  • 書籍発行日 : 2010年11月
  • 電子版発売日 : 2020年7月31日
  • 判 : AB判
  • 種別 : eBook版 → 詳細はこちら
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¥16,500 (税込)
ポイント : 300 pt (2%)

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商品情報

術前および術中・術後の278項目のトラブル設定に対して,その対処法をフローチャートやシェーマを用いて解説.加えて,各病態・対処法の背景となる知識についても掲載.キーワード目次で引きやすく,また各対処法の推奨度合いもランク分けし,利便性も高めた.麻酔科診療プラクティスシリーズで好評を博した『麻酔科トラブルシューティング』の増補改訂版とも言うべき充実した内容.

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■ 序文

序文

麻酔の大きな進歩によって,手術が安全に行われるようになりました.手術に対する年齢制限もなくなり,90 歳代の患者さんも手術を受けに来ます.心筋梗塞の既往のある患者さんも,脳梗塞で抗血小板薬を内服している患者さんも,血液透析を受けている患者さんも現れます.それでも,周術期に麻酔が原因で死亡する患者さんは,きわめて少なくなりました.手術室で心停止が起きないため,麻酔科医の緊急対応や蘇生技術のトレーニングができないという喜ばしい情況です.

このような進歩は,患者さんの正確な術前評価および術中モニターによって,情報を緻密に捉えることができるようになったことと,新しい麻酔薬や関連薬物の開発によって,麻酔深度および患者管理の微妙な調節ができるようになったことによるでしょう.それぞれの患者さんに合った緻密な麻酔計画を立て,実施できるようになったということでしょうか.麻酔の進歩に伴う情報は,学会に参加することによって,または医学雑誌や教科書を読むことによって得ることができますが,その量はきわめて多く,必要な情報を適切に取り出して利用するのに苦労します.

この課題を解決するために,麻酔科診療プラクティスシリーズが刊行されました.このシリーズは,第一線で忙しく働く麻酔科医に,明日の麻酔に役立つ最新情報をコンパクトに提供することを目的に編集,出版され,好評を博しました.中でも17 巻『麻酔科トラブルシューティング』は,即座に疑問を解決してくれるツールとして,人気があります.今回,この本を,さらに充実した精度の高い本に作り直しました.スタイルも新しくしましたので,まったく新しい本と考えていただいてよいでしょう.書名を『麻酔科トラブルシューティングA to Z』としましたが,A to Z は,アルファベットの始めのAから終わりのZまでという意味で,麻酔の始まりから終わりまでの間に起こる,すべてのトラブルと対処法を網羅した本と捉えていただければよいでしょう.

ここで本書の特徴を述べておきます.

本書にはおよそ280 項目の疑問やトラブルが掲載されています.項目は,困ったときの様子がすぐ目に浮かぶように具体的に記述してあります.例えば「気管支喘息があり,1 秒量が1 L以下である」「白血球数が2 , 000 /μL 以下である」といった具合です.目次に具体的な困難例や合併症例が並んでいるため,探している疑問やトラブルが,目次をみただけでは出てこないことがあるでしょう.探している項目が出てきやすいように,目次の次に「キーワード一覧」を載せましたので,索引のように利用していただければ,検索が容易になります.本書は,項目を術前と術中・術後の2 部に分け,さらにそれぞれを臓器別に分けてあります.項目によっては,2 つの臓器にまたがることもありますが,どちらか一方の臓器に入れてありますのでご了承ください.関連する項目が別のところにあるときは,項目の右下に「関連項目」欄にあげましたので,そちらも読んでいただければ,さらに知識を補充することができます.

項目のタイトル部に「推奨度」を“Recommend”として示しましたが,A ランクとBランクに分けてあります.Aランクは「対処法におおかたのコンセンサスが得られているもの」,Bランクは「議論があり,コンセンサスが得られていないもの」としましたので参考にしてください.この本は,前書に比べると,術中・術後の部分がかなり増えています.それによって,麻酔

前から麻酔後までの間に起こる,あらゆる疑問やトラブルに答えてくれると思います.解答は,第一線で活躍している諸先生にお願いしましたので,診療に直結する解答になっています.臨床現場での疑問に,直ちに答えを出してくれることでしょう.この本は今すぐ日常診療に役立つと確信しています.麻酔科医の皆さんに,前書と同じように本書を活用していただければ,編集者として,このうえない喜びです.

本書の発刊に当たって,文光堂企画部の嵩 恭子さんと坂口真紀子さんに大変お世話になりました.心から感謝いたします.


編集者代表 高崎眞弓

■ 目次

第1部 術前

第I章 呼吸器・気道

 風邪症状がある

 気道確保困難が予測される

 小児で気管切開の既往があり,気道狭窄が予測される

 小児で著明な扁桃肥大のため呼吸困難感がある

 動揺の激しい歯牙が複数ある

 肺活量が50%を割っている

 喀痰が非常に多い 

 気管支喘息があり,1秒量が1L以下である

 Hugh-Jones分類III度の慢性閉塞性肺疾患がある

 CO2ナルコーシスの既往がある 

 手術前に気胸を起こした

 現在発作はないが,重症の喘息患者である 

 多量の胸水貯留がある 

 腫瘍で上気道が圧迫されている(呼吸困難感がある) 

 気管に易出血性の腫瘍がある

 気管内腫瘍があり,呼吸困難が急速に進行している

 多発性ブラがある 

 気道熱傷が疑われる 

 肺線維症がある

 人工呼吸中でP/F比が100である

 在宅酸素療法中である

 肺結核がある

 抗酸菌感染症がある

 睡眠時無呼吸症候群がある

第II章 循環器

 未治療の高血圧がある

 心筋梗塞の既往がある

 冠スパスムの既往がある 

 利尿薬の長期服用がある 

 アンギオテンシン変換酵素阻害薬またはアンギオテンシンII受容体拮抗薬を長期に内服している

 β遮断薬を長期に内服している 

 心房細動がある 

 心電図でPQ間隔が延長している 

 心電図でQT間隔が延長している 

 心電図でT波が極端に先鋭化している 

 心電図で2枝ブロックがある 

 心電図で房室ブロック2度がある 

 心電図でデルタ波がある(WPW 症候群が疑われる) 

 心筋症がある 

 心不全歴がある 

 Allenテストが異常である 

 大動脈弁閉鎖不全症がある 

 大動脈弁狭窄症がある 

 僧帽弁閉鎖不全症がある

 僧帽弁狭窄症がある

 肺動脈弁狭窄症がある

 人工弁が入っている 

 ペースメーカーが植え込まれている 

 植込み型除細動器が入っている 

 先天性心疾患の心臓手術の既往がある 

 冠動脈ステント(ベアメタルステントまたは薬剤溶出性ステント)が入っている

 冠動脈バイパス術の既往がある

 出血していて血圧が低い

 静脈血栓塞栓症がある

 大動脈瘤が見つかった 

 頚動脈に狭窄がある 

 Brugada 症候群が疑われた

第III章 消化器・肝臓

 嘔吐を繰り返している 

 下痢が続いている   

 肝硬変がある 

 肝硬変以外に肝機能の異常がある 

 多量の腹水がある 

 食道静脈瘤がある 

 逆流性食道炎がある 

 フルストマックである 

 低栄養である 

 低蛋白血症がある 

 長期に完全静脈栄養を受けている 

第IV章 泌尿器

 血液透析を受けている 

 腹膜透析を受けている  

 尿蛋白が出ている 

第V章 血液・止血凝固系機能

 出血傾向がある

 抗凝固薬,抗血小板薬を使用している

 術中に抗凝固処置が予定されている

 血液型がRh(-)である 

 血小板数が5万/μLを割っている

 貧血がある(Hbが6g/dL以下)

 多血症がある(Hbが18g/dL以上)

 慢性骨髄性白血病である 

 血友病である 

 活性化部分トロンボプラスチン時間(aPTT)が延長している

 白血球数が2,000/μL以下である 

第VI章 内分泌機能

 未治療の甲状腺機能低下症がある

 ヨード製剤を内服しているが甲状腺機能亢進症がコントロールされていない 

 副甲状腺の異常がある

 副腎褐色細胞腫がある 

 免疫グロブリン(IgA,IgM,IgE,IgG)の異常がある

 血糖調節ができていない

 内服薬で血糖調節ができている

第VII章 アレルギー・感染

 ヨード造影剤アレルギーがある 

 ラテックス,フルーツアレルギーがある

 アルコール過敏がある

 卵アレルギーがある

 薬物アレルギーがある

 アナフィラキシーショックの既往がある

 歯科治療でショックの既往がある

 発熱している 

 インフルエンザに罹患している

 ワクチン投与後日が浅い 

 脊椎カリエスがある

 帯状疱疹の急性期である 

 C反応性蛋白が強陽性であるが感染源がわからない 

 敗血症がある 

 ヒト免疫不全ウイルス(HIV)のキャリアである 

 B型肝炎またはC型肝炎ウイルスのキャリアである

第VIII章 皮膚・筋骨格系 

 先天性表皮水疱症のためマスクのフィットや挿管チューブの固定が困難である 

 アトピー性皮膚炎がひどい 

 肥満指数(BMI)30以上である 

 顎関節症である

 高齢者での著しい亀背ないし,先天性の脊椎形成不全による脊椎の変形がある 

 腰椎椎弓切除の既往がある

 筋ジストロフィーがある 

 重症筋無力症がある

 悪性高熱症の既往がある 

 悪性高熱症の家族歴がある 

第IX章 中枢・末梢神経系

 脳梗塞後片麻痺がある 

 多発性硬化症がある

 てんかんの治療を受けている 

 脳動脈瘤があるが別の手術が予定されている

 頭蓋内圧が著明に亢進している 

 非ステロイド性抗炎症薬を長期に内服している 

 長期にopioidを内服している 

 脊髄に変性疾患がある 

 頚髄損傷がある 

 頚椎症がある 

 認知症がある 

 Parkinson病の治療を受けている

 統合失調症がある 

 うつ病がある

 覚醒剤中毒が疑われる 

 視聴覚機能が失調している 

第X章 産婦人科

 妊娠初期である 

 帝王切開の患者が全身麻酔を希望している 

 妊娠高血圧症候群がある 

 多胎の帝王切開である 

 胎盤早期剥離が疑われる 

 授乳中である

 巨大な卵巣腫瘍がある 

第XI章 患者・家族の要望など

 手術前夜の熟睡を希望している

 禁煙を拒否している 

 経尿道的手術で術中就眠を希望している 

 眠っている間に麻酔をすることを希望している

 日帰り手術を希望している 

 導入に親の付き添いを希望している 

 術後に痛みのない管理を希望している 

 尿道カテーテル挿入を拒否している 

 髭剃りを拒否している 

 全身麻酔下に硬膜外カテーテルの挿入を希望している 

 気管挿管を拒否している 

 宗教的理由で輸血を拒否している 

 両親が子供への輸血を拒否している 

 緊急手術で責任ある保護者がまだ病院に来ていない 

 患者や家族に手術の説明が十分にできていない

第XII章 モニター・医療機器・安全管理

 麻酔を始める直前モニターの調子が悪いことに気付いた 

第2部 術前・術後

第I章 呼吸器・気道

 筋弛緩薬使用後,気道確保が困難でマスク換気が十分できない

 ラリンジアルマスクで換気中の手術で,手術操作を契機に喉頭痙攣が起きた 

 麻酔導入後,喉頭展開をしたが喉頭蓋がみえない 

 マスク換気中にバッグが急に硬くなり換気ができなくなった 

 喉頭展開したら喉頭蓋嚢胞があった 

 マスク換気中に腹部が著明に膨隆した 

 経鼻挿管操作により,口腔内に出血が溜まり始めた 

 経鼻挿管の際,咽頭後壁を損傷した 

 動揺歯が脱落して気管内に落ち込んだ 

 分離肺換気を意図してダブルルーメンチューブを挿管しようとしたができない 

 ダブルルーメンチューブ挿入後に,片肺換気にしたが純酸素でも酸素化が悪い 

 肺切除中に気道出血が起きた 

 発熱と上気道症状の増悪がみられる

 開頭手術中に気管支挿管に気付いた 

 気管支喘息発作が起きた 

 remifentanil投与による手術中に突然換気困難に陥った 

 術中に気胸になった 

 気管チューブのカフが抜けない 

 抜管直後に呼吸困難をきたした 

 抜管後に嗄声がある 

 術後に抜管したら,声帯の動きが悪いことに気付いた

 抜管後に自力で排痰できない 

 抜管後,酸素化が悪い

 気管挿管を頻回に試みたため喉頭浮腫ができた 

 術後に無気肺に気付いた

 術後に肺水腫が起きた 

 抜管後に呼吸停止・換気不全が起きた

第II章 循環器

 静脈路の確保が困難である(血管がみえない) 

 propofolが漏れているのに気付いた 

 内頚静脈穿刺が困難である

 内頚静脈穿刺時に機械的合併症が起きた

 内頚静脈穿刺中に動脈を誤穿刺した

 肺動脈カテーテルが肺動脈に入らない

 橈骨動脈穿刺ができない

 低血圧が持続する

 高血圧が持続する 

 術中に徐脈になった 

 術中に頻脈になった 

 心室期外収縮(PVC)が多発・連発する

 術中に心停止が起きた

 肺血栓塞栓症が疑われる 

 冠スパスムが発生した

 脳分離体外循環中に脳血流量の低下がみられた 

 人工心肺からの離脱が困難である 

 人工心肺から離脱したが低心拍出量が持続する 

第III章 消化器・肝臓

 胃液が気管に入った 

 胃管の挿入が困難である 

 腹部手術中に腸管を牽引したら急に徐脈と低血圧になった 

 術後に悪心・嘔吐がおさまらない 

第IV章 泌尿器

 全身麻酔導入後に導尿できない

 心臓手術(体外循環)前の導尿で出血した

 術中尿量が異常に少ない 

 術中尿量が異常に多い

 経尿道的膀胱腫瘍切除術中に,手術操作で下肢が動く 

 尿道カテーテルが抜けない 

 麻酔覚醒後に尿道カテーテルによる刺激が強い

 術後に乏尿が続いている 

第V章 血液・止血凝固系機能

 血液製剤が静脈ルートから漏れた 

 危機的な出血が発生した

 ABO型不適合輸血が発生した

 乳酸アシドーシスが進行する

 術野のウージングが著明である

 電解質異常がある 

 硬膜外カテーテル留置患者に抗凝固薬を投与した

 術後に播種性血管内凝固(DIC)が発生した 

第VI章 内分泌機能

 脳外科術中に高血糖が持続する 

 術後に高血糖が持続する 

第VII章 アレルギー・感染

 術中にアナフィラキシーショックが起きた 

 輸血後に皮疹が出た 

 輸血後に酸素化障害が発生した 

 針刺し事故(HIV,HC,HB)が起きた

 硬膜外カテーテル挿入部に発赤・腫脹が生じた

第VIII章 皮膚・筋骨格系

 歯科麻酔覚醒後に歯牙の脱落・紛失に気付いた

 人工膝関節置換術で下肢の駆血時間が2時間を超えた

 骨セメントで血圧が下がった 

 最後の筋弛緩薬投与から3時間経過し麻酔覚醒の時期にもかかわらず,筋弛緩モニターで四連反応比が50%以下である

 筋弛緩リバース後覚醒したら再手術のため,再挿管が必要になった

 ミオグロビン尿が出た 

 術中に悪性高熱症の発症が疑われた

 コンパートメント症候群をきたした 

 術後に褥瘡ができた

第IX章 中枢・末梢神経系

 硬膜外穿刺の際に硬膜を穿破した 

 くも膜下穿刺の際に放散痛があった 

 抵抗消失があるにもかかわらず硬膜外カテーテルが入らない 

 硬膜外カテーテル挿入で出血した 

 硬膜外腔に局所麻酔薬を単回注入したら意識が消失し呼吸が停止した

 区域麻酔での手術中,突然痙攣が起きた

 硬膜外麻酔を行ったが一部しか効いていない 

 麻酔導入後に瞳孔不同に気付いた

 誘発電位が平坦化した 

 頭蓋内圧亢進で血圧が200mmHgを超えた 

 覚醒が遅延している 

 手術創の痛みが強い 

 シバリングがある

 患者が興奮して抑制できない

 過換気症候群が起きた 

 脊髄くも膜下麻酔後に持続する頭痛がある 

 区域麻酔後に運動麻痺と感覚麻痺が持続する 

 術後譫妄が起きた

 術中の覚醒記憶が疑われる

 脊髄くも膜下麻酔後にミオクローヌス(不随意運動など)が出現した

 腹臥位手術後に視覚障害を訴えた

 脊髄くも膜下麻酔後に複視が現れた 

 神経ブロック後に神経麻痺が起きた

第X章 患者・家族の要望など

 カテーテル類の早期抜去を希望している 

第XI章 モニター・医療機器・安全管理

 末梢循環不全のため酸素飽和度をモニターできない 

 呼気終末CO2濃度が急に低下した 

 呼気終末CO2濃度が上昇する 

 人工呼吸器が作動していなかった 

 気化器が空になっていた 

 体外循環中に人工心肺装置(送血ポンプ)が停止した 

 心電図モニターで心拍数が実測の2倍である

 マンシェットで測った血圧と観血的動脈圧に乖離がある

 体温が上昇してきた

 長時間手術で術中低体温になった

 BIS 値が異常を示している

 小児でBIS 値が高値を持続する

 酸素の供給圧が下がった

 麻酔中に停電が発生した 

 地震が発生した   

 電気メスで気管チューブに引火した

 アルコール消毒後に電気メスで不織布が燃えた

 麻酔導入時に間違った薬剤を投与した

 硬膜外腔に誤って筋弛緩薬を投与した 

 硬膜外カテーテルを抜去したら途中で切れた

■ 特記事項

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