病態生理の基礎知識から学べる 循環器治療薬パーフェクトガイド第2版

  • ページ数 : 148頁
  • 書籍発行日 : 2020年9月
  • 電子版発売日 : 2020年9月9日
¥3,850(税込)
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商品情報

内容

●循環器治療薬の基礎知識をやさしく学べる大好評書籍の4年ぶりの改訂
●“なぜ” “どうして”、その循環器薬が効くのかがわかる!
●“薬剤選択のヒント” で理解度アップ!
●重要な部分は、本文中にマーカーで見やすく表示!
●循環器治療薬についてレベルアップしたい医療者にオススメ!

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序文

第2版のまえがき


最近は脳死という言葉も使われますが,普通は心臓死をもって人の死と考えます.つまり心臓の薬は,一歩使い方を間違えば死につながる恐ろしいものなのです.研修医やナースの皆さんは,そんな怖い薬を,ドクターに言われたから,オーベン(指導医)に言われたから,という理由だけで患者さんに渡していませんか? 循環器が専門でないドクターは,薬の添付文書に「適応は不整脈」って書いてあるから,という理由で,不整脈の患者さんに薬を処方していませんか? 実は,不整脈を治療する薬,つまり抗不整脈薬が,かえって命に関わる不整脈(=致死性不整脈)を誘発するケースもあります.それなのに,患者さんが不整脈というだけで,「適応が不整脈」の薬をやみくもに処方するのは,恐ろしくありませんか?  私は4年間米国に留学した経験があります.留学するまで語学学校に通い,NHKラジオ英会話も毎日欠かさず聴いて自分なりに準備していったのに,留学先のマイアミ空港に降り立ったら空港のネイティブスピードで話されるアナウンスが一言もわからず,不安のどん底に突き落とされました.その時,周囲で起きていることがわからないことほど不安なことはない,と強く感じました.

同じように,どうして効くのかわからずに薬を使うのは,気持ちが悪いものです.心不全のAという病態にはaという薬,狭心症のBという病態にはbという薬,という丸暗記で診療を行っている人もいるかもしれませんが,私はaという薬,bという薬を使うのは,こういう作用だから,このような病態に効くんだという理由・根拠を,研修医,非循環器医,ナースの方々に知っていただきたいと思っています.

そのような思いで講義を研修医,非循環器医,ナースにすると,「明日からの臨床現場ですぐに役に立つ話が聴きたかったのに」という不満の声が必ずといって良いほど聞かれます.たしかに,研修医もナースも初期の段階ではすぐに役立つ知識が必要でしょう.そのようなニーズに応えるテキストは本屋にごまんと並んでいます.いずれも,「ウーン」と唸りたくなるような良書ぞろいなので,そちらをご覧ください.ところが,研修医もナースもある程度日常診療がこなせるようになると,次のレベルにステップアップしたいと考える方が多くいらっしゃいます.それにはなぜその薬が効くのか,という理屈が必要なのですが,このニーズに応える本が驚くほどありません.本書はそのようなニーズにこたえるレアな本です.


この改訂版は,2020年の新型コロナウイルスパンデミックの真っただ中で書かせていただいています.新型コロナウイルス感染は,感染患者の一部が重症化することが大きな問題です.どんな人が重症化するのか,いろいろ調査が行われています.その1つのゲノム解析からは,血液型遺伝子ABOが重症化に関係しそうだというデータが得られています.「なんで血液型が?」と思われる人も多いでしょう.新型コロナウイルス感染は,血栓症の合併が重症化の大きな要因となりますが,血液型を決めるABO遺伝子の産物は,血液型以外に血管壁にある凝固因子の寿命にも関わりがあります.そのため,血液型が血栓症合併リスクと関係があるのです.このように,「アレっ,どうして?」「意外?」と思われることの多くに科学的な根拠があり,それが分かると,ややもすると単調になりがちな毎日の診療も,楽しく豊かなものになることでしょう.本書は,循環器薬が効く科学的な根拠を研修医,非循環器医,ナースの皆さんにもわかるように解説することをモットーとしました.「ANPの心保護作用って何?」「スタチンを使うとどうして筋肉障害が起きるの?」「利尿薬を使うとどうして尿酸値が上がるの?」などの皆さんが日常診療で遭遇する疑問,「高血圧の薬を飲んでいるとグレープフルーツは食べちゃダメなんですよね?」「ドクターが血をサラサラにする薬ですよ,と言って主人にはアスピリン,私にはワルファリンを出すけど,どうしてですか? 男女の違いですか?」など,患者さんからしばしば受ける質問の答えを見つけるテキストにしていただけたらと思います.


本書の第1版を出版してから約5年がたちました.この間に新しく上梓された循環器薬もいくつかあります.心不全に対するSGLT2阻害薬,ペースメーカチャネル阻害薬などです.また,薬物作用のエビデンスが積み重なり,使い方が変わった薬もあります.様々な疾患治療のガイドラインは,だいたい5年ごとに改定されています.どうも「5年」という期間は,新しく情報を見直すのにちょうどよいタイミングのようです.実際,高血圧治療のガイドラインも2019年に新しくなり,最初にチョイスする薬物が2014年のガイドラインよりかなり明確になりました.そこで,これらの新しい情報を加えた第2版を出版させていただくことにしました.


(ちなみに先のマイアミ空港での体験談にはオチがあります.マイアミはスペイン語人口が一番多く,公用語が英語とスペイン語になっています.このため,空港などの公共の場では英語放送とともにスペイン語放送が流れます.全くわからなかった理由はスペイン語だったからなんです)


2020年9月

東京医科歯科大学難治疾患研究所
古川 哲史

目次

Chapter1 心不全

1.心不全とは

 従来の心不全治療法と最近の心不全治療法

 生体の適応現象

2.心不全薬の種類と使い方

 強心薬

  理解を深めるためのステップアップ①─薬の作用機序

 ホスホジエステラーゼ阻害薬

  理解を深めるためのステップアップ②─薬の作用機序

 利尿薬

  理解を深めるためのステップアップ③─薬の作用機序

 レニン・アンジオテンシン・アルドステロン系に作用する薬

  理解を深めるためのステップアップ④─薬の作用機序

 交感神経β受容体遮断薬(βブロッカー)

  理解を深めるためのステップアップ⑤─薬の作用機序

 血管拡張薬:硝酸薬とANP

  理解を深めるためのステップアップ⑥─薬の作用機序

 その他の心不全治療薬

3.心不全の治療

 急性心不全の治療

 慢性心不全の治療

 薬剤選択のヒント

Chapter2 高血圧

1.高血圧とは

 血圧の調節機構

2.降圧薬の種類と使い方

 Ca拮抗薬

  理解を深めるためのステップアップ①─薬の作用機序

 ACE阻害薬・ARB

  理解を深めるためのステップアップ②─薬の作用機序

 利尿薬

  理解を深めるためのステップアップ③─薬の作用機序

 交感神経系に作用する降圧薬

  理解を深めるためのステップアップ④─薬の作用機序

3.高血圧の治療

 高血圧治療のキホン

 薬剤選択のステップ①

 薬剤選択のステップ②

 降圧薬の併用

Chapter3 虚血性心疾患

1.虚血性心疾患とは

 虚血性心疾患の分類の変化

 慢性冠動脈疾患の病態生理

 急性冠症候群の病態生理

2.慢性冠動脈疾患で用いる薬剤の種類と使い方・治療

 硝酸薬

  理解を深めるためのステップアップ①─薬の作用機序

3.急性冠症候群で用いる薬剤の種類と使い方・治療

 脂質代謝

 脂質異常症の薬物治療

 スタチン

  理解を深めるためのステップアップ②─薬の作用機序

 スタチン以外の脂質異常症治療薬

  理解を深めるためのステップアップ③─薬の作用機序

 CETP阻害薬

  理解を深めるためのステップアップ④─薬の作用機序

 PCSK9阻害薬

  理解を深めるためのステップアップ⑤─薬の作用機序

 その他の脂質異常症治療薬

 抗炎症・抗酸化治療

 薬剤選択のヒント

Chapter4 不整脈

1.不整脈とは

 心臓のイオンチャネル

 不整脈のメカニズム

2.抗不整脈薬の種類と使い方

 抗不整脈薬

  理解を深めるためのステップアップ─薬の作用機序

3.不整脈の治療

 頻脈性不整脈の鑑別診断

 期外収縮

 房室結節リエントリー性頻拍と房室回帰性頻拍

 心房細動

 心房粗動

 心室頻拍

 薬剤選択のヒント

Chapter5 血栓症

1.血栓症とは

 凝固系

 2つの血栓

2.血栓症治療薬の種類と使い方

 抗血小板薬

  理解を深めるためのステップアップ①─薬の作用機序

 抗凝固薬

  理解を深めるためのステップアップ②─薬の作用機序

3.血栓症の治療

 心房細動の心原性脳塞栓予防

 急性心筋梗塞の治療

 肺血栓塞栓症の治療

 閉塞性動脈硬化症の治療

 薬剤選択のヒント

索引

● Column

・拡張障害を示す心エコー所見

・ループ利尿薬がダウン症候群の知的障害を改善する

・心不全にはなぜカルベジロールか?

・心不全の生命予後に関する因子

・心不全の初期サインとしての左房負荷

・HFrEF とHFpEF

・身をもって実感した食塩感受性

・ICU 勤務・サッカーワールドカップ観戦も心筋梗塞の危険因子

・酒飲みとニトログリセリンの感受性の関係

・コレステロール値は遺伝性が強い

・エゼチミブがワルファリン作用を増強

・機能不全HDL(dysfunctional HDL)

・心筋梗塞を規定する意外な遺伝的背景

・パーソナルダイエット

・CAST はミスCAST?

・絵本では「ウォーリーを探せ」,心電図では「P 波を探せ」

・「私は小児じゃないのに」「私は頭痛でかかったんじゃないのに」

・「先生,どこにもぶつけた覚えがないのに内出血しました」

・抗凝固薬による大出血は医師にとってのPTSD

・医療分野でも活躍する「折り紙理論」がすごい!

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書籍情報

  • ISBN:9784883787111
  • ページ数:148頁
  • 書籍発行日:2020年9月
  • 電子版発売日:2020年9月9日
  • 判:B5判
  • 種別:eBook版 → 詳細はこちら
  • 同時利用可能端末数:2

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