別冊「医学のあゆみ」診療ガイドラインの作成方法と活用方法―公平で偏りない作成方法と患者のための活用に向けて

  • ページ数 : 124頁
  • 書籍発行日 : 2020年9月
  • 電子版発売日 : 2020年9月30日
¥4,730(税込)
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商品情報

内容

医療の質を向上させ,公平で偏りない「診療ガイドライン」の作成方法が理解できる一冊!

●診療ガイドラインは作成することが目的ではなく,患者に対する医療の質を向上させ,何が解決すべき重要な臨床課題かを検討し,その課題解決に望ましいと考えられる診療を推奨し,臨床導入することである.
●診療ガイドラインの歴史・定義・未来展望などの基本知識にはじまり,システマティックレビューや評価など診療ガイドラインの具体的な作成方法,医療訴訟やビッグデータなど診療ガイドラインを取り巻く課題,活用に向けた実際の工夫や導入による効果など,診療ガイドラインに関するトピックスを広く紹介.

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序文

はじめに

背景

診療ガイドラインは作成することのみが目的ではない.そもそも日本において診療ガイドラインの作成の目的は患者に対する医療の質向上のために,「いまの日本において何が解決すべき重要な臨床課題」かを検討し,この課題を解決するために望ましいと考えられる診療を推奨し,臨床導入することである.具体的にはなぜ作成するかを明確にし,信頼できる診療ガイドラインを作成方法するために,偏りのない作成委員によって偏りのない方法を用いてシステマティックレビューと推奨決定を行い,その推奨を効果的に臨床導入し,当初に掲げた重要臨床課題が解決したかという評価を行う.引き続き,さらなる進化をめざして重要臨床課題を再検討し,推奨を改訂するという継続的作業が続くことになる.


診療ガイドラインとは何か?

診療ガイドラインの位置づけは,臨床医療で患者と医療者双方に参考とされ,患者に対して最適な医療を実践するための資料であると考えられている.

公益財団法人日本医療機能評価機構EBM医療情報部(Medical Information Network Distribution service:Minds;http://minds.jcqhc.or.jp/)発行の『Minds診療ガイドライン作成の手引き2014』では,「診療上の重要度の高い医療行為についてエビデンスのシステマティックレビューとその総体評価,益と害のバランスなどを考量して患者と医療者の意思決定を支援するために最適と考えられる推奨を提示する文書」と定義されている.重要な点は,エビデンスのみが推奨診療を決定するのではなく,患者・市民の意見・希望を取り入れること,さらに,益と害のバランスも勘案して決定されるべきとしている点である.


作成されたガイドラインは役に立っているのか?

診療ガイドラインは出版された瞬間から一人歩きすることになり,訴訟や大規模データベースなどとの関係も余儀なくされる.一方で,臨床医療は日々進歩するため,ガイドラインは利用,評価されて定期的に改訂されなければ,臨床適応性が低下することになる.改訂に向けた作業として新しいエビデンスを加えて淡々と作り直すのみでは十分ではなく,“提示した推奨診療に対する臨床側からの検証研究“を企画し,実行することが推奨される.一方で,エビデンスが乏しいと判断された領域については“Future research(未来に向けた研究)”の企画と実施が期待される.さらに,新たな重要臨床課題を探し出す努力も同時に行う必要がある.


本書の企画にあたって

診療ガイドラインは完成したものではなく,常に更新されるべきものである.研究者によって日々膨大な臨床研究報告がなされ,同時に臨床医療も継続的に進化する.診療ガイドラインは研究と実臨床の双方の情報を集積して内容が適時加筆修正され,終わることなく改訂・進化していくものと考えられている.

本書では,診療ガイドラインの上記の全場面にスポットを当て,それぞれの専門家に最新の情報を執筆していただいた.診療ガイドラインの広さと深さを理解し,未来をともに創造していただきたい.

目次

はじめに(吉田雅博)

 KeyWord 診療ガイドライン,患者の希望,ガイドライン活用

診療ガイドラインの基本的重要事項

1.診療ガイドラインとは何か─EBM,診療ガイドラインの歴史と定義,未来展望(中山健夫)

 KeyWord 診療ガイドライン,根拠に基づく医療,システマティックレビュー,患者の価値観,shared decision-making(SDM)

2.Shared Decision Makingと診療ガイドライン─決断分析による科学的アプローチ(森實敏夫・佐々木 祥)

 KeyWord 協働意思決定,診療ガイドライン,多基準決断分析,SHAREアプローチ,定量的ベネフィット・リスク評価

診療ガイドラインの作成方法

3.スコープ作成(清原康介・吉田雅博)

 KeyWord スコープ,背景疑問,前景疑問,重要臨床課題,クリニカルクエスチョン(CQ)

4.システマティックレビュー(SR)─SRの基本的なステップとメタアナリシス,さらに最新の情報(森實敏夫・佐々木 祥)

 KeyWord システマティックレビュー,メタアナリシス,診療ガイドライン,Cochrane,GRADEアプローチ

5.診療ガイドラインの評価(奥村晃子)

 KeyWord 診療ガイドライン,診療ガイドライン評価,AGREEII,EBM普及推進事業(Minds)

6.推奨作成の基本と課題:エビデンスから推奨への基本ステップと最近の課題(後藤 温)

 KeyWord GRADEアプローチ,Mindsテンプレート,益と害のバランス

7.英国NICE診療ガイドラインの特徴と作成方法─経済評価との統合を中心として(馬場俊明)

 KeyWord 経済評価,費用効果分析,医療経済,ガイドライン作成,系統的レビュー

8.医療経済評価を日本の診療ガイドラインにいかに組み入れるか(池田俊也)

 KeyWord 医療経済評価,費用対効果,QALY,診療ガイドライン

9.診療ガイドラインをめぐる医療者と患者市民の協働に向けて(江口成美)

 KeyWord 診療ガイドライン,Minds,患者市民参画(PPI),価値観

診療ガイドラインを取り巻く課題

10.診療ガイドラインと医療訴訟(桑原博道・淺野陽介)

KeyWord  自由心証主義,過失,直感,序文,施設基準

11.診療ガイドラインの推奨度は世界標準が存在する:GRADEアプローチ(湯浅秀道)

 KeyWord 診療ガイドライン,GRADEアプローチ,作成方法,推奨度,エビデンスの質

12.ビッグデータは診療ガイドラインのエビデンスになるのか?(畠山洋輔)

 KeyWord 診療ガイドライン,ビッグデータ,バイアスリスク,エビデンス総体

13.各種診療ガイドラインにおける画像検査項目の推奨度の現状と課題(隈丸加奈子)

 KeyWord 画像検査,適正使用,推奨度の統一

診療ガイドラインの活用に向けた工夫と導入による効果

14.実装科学からみた診療ガイドラインの活用促進(梶 有貴・島津太一)

 KeyWord 実装科学,実装戦略,実装アウトカム,診療ガイドライン,Knowledge to Action framework(KTA framework)

15.周産期医療の質と安全の向上のための研究(INTACT)プロジェクト(豊島勝昭・他)

 KeyWord 極低出生体重児,早産児,ガイドライン,ワークショップ

16.日本版敗血症診療ガイドライン:2016の工夫と2020のチャレンジ(小倉裕司・他)

 KeyWord 敗血症,sepsis,SSCG,J-SSCG,ガイドライン

17.精神科治療ガイドラインの普及・教育・検証活動:EGUIDEプロジェクト(橋本亮太・稲田 健)

 KeyWord 統合失調症薬物治療ガイドライン,うつ病治療ガイドライン,治療の均てん化,診療の質指標(Quality Indicator)

18.急性膵炎ガイドライン(廣田衛久・他)

 KeyWord 急性膵炎,重症急性膵炎,診療ガイドライン

19.急性胆管炎・胆嚢炎診療ガイドラインの作成/改訂の工夫と効果(真弓俊彦・他)

 KeyWord 急性胆管炎,急性胆嚢炎,診断基準,重症度判定基準,Tokyo Guidelines


サイドメモ

 スコーピングサーチ

 デルファイ法

 システマティックレビュー(systematic review)

 IAH/ACS

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書籍情報

  • ISBN:9784006528522
  • ページ数:124頁
  • 書籍発行日:2020年9月
  • 電子版発売日:2020年9月30日
  • 判:B5判
  • 種別:eBook版 → 詳細はこちら
  • 同時利用可能端末数:3

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