1日1論文、30日で、薬剤師としてレベルアップ! 医学論文の活かし方

  • ページ数 : 228頁
  • 書籍発行日 : 2020年10月
  • 電子版発売日 : 2020年10月14日
¥3,520(税込)
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商品情報

内容

薬剤師が押さえておきたい“ランドマーク論文”で、論文抄読会・EBMワークショップの醍醐味を紙上体験!

「医学論文は大事だと思うけど、職場では活かせないな」「学生時代は、医学論文を読んでいたんだけど」など、日々の業務に追われ、多くの薬剤師は論文を読む機会から離れてしまっています。
しかし、変化が激しい薬剤師の世界では、添付文書や医薬品インタビューフォームの情報だけでなく、医学論文を読み解き、問題を解決する力も求められています。
本書は、“医学論文の解釈の仕方”や“職場で活かす方法”を伝えます。よく職場で出合う薬のランドマークとなる医学論文をピックアップし、まるで論文抄読会に参加しているかのように、様々な見解を紹介します。1つの論文から、似た見解や異なる見解などが出てきて、論文を読むことの面白さを体感することができるでしょう。また、論文を読むことで、患者に寄り添った服薬指導ができるようになったり、患者にとって納得のいく選択のお手伝いができたり……、医学論文には、日々の薬剤師業務をブラッシュアップするヒントが詰まっていることも体感できることでしょう。さらに、薬剤師だけでなく、これから臨床現場に出ていく薬学部学生にとっても、臨床現場での実践がわかる1冊です。

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序文

はじめに

「論文」は、最先端の医療や難病・がんなど専門性の高い薬物治療に携わる薬剤師だけが読むもので、自分には縁遠いものだ……と思っている人は、意外と多いです。私も新人の頃はそう考えていました。しかし、ある勉強会で、論文というものは日々の何気ない日常業務……例えば、「服薬指導の内容をより良いものにする」「目の前の患者が優先的に注意すべきものは何かを考える」「新薬の使いどころを考える」、そんな時にもとても役立つことに気づかされました。


さらに、「同じ論文を読んでいるのに、人によって解釈や意見が全く違うことがある」ということも、私にとっては大きな驚きでした。勉強会の参加者は、薬剤師としての立場や経験年数も違えば、日頃接している患者層も異なります。また、薬剤師である前に、人としての人生観や価値観もそれぞれ違いがあります。そのため、同じデータを見ても、この情報をどう患者のために活用するかという視点は、大きく異なって当然と言えます。こうした自分と異なる意見を持つ人は、どういった理由でそう考えるに至ったのか、その多様な価値観や背景を理解して共有することは、薬剤師としての視野を広げて教養を深めることにつながる、とても得がたい勉強になることを知りました。


そこで本書では、私が勉強会で感じたこうした体験を紙面上に再現するため、日頃から論文に触れている26名の薬剤師で、「論文を読んでどう患者のために活かしたのか」という視点でそれぞれの意見を書きました。患者の抱える様々な「正解のない問題」に立ち向かう薬剤師にとって、論文は必要不可欠なツールの一つです。本書が、論文の具体的な活用方法を知るきっかけとして、論文と現場をつなぐ一助になれば幸いです。


本書の執筆にあたり、企画立案から一緒に考えて頂いた上田昌宏先生、論文の選抜を手伝って頂いた青島周一先生、金芳堂の皆様には心から御礼申し上げます。


2020年8月

児島悠史



情報過多と言われる時代に、私たちは溢れかえる情報の中から迅速かつ的確に取捨選択し、自身の知識、考え方をアップデートしていかなければなりません。薬剤師の情報のよりどころの一つに「医学論文」があてはまる方も多いと思います。本書は、論文に馴染みのない方にとっては、論文を読む足掛かりとなる各領域の重要な論文集の位置づけになり、論文に慣れた方にとっては、情報活用の多様性を知るワークショップの疑似体験になるかもしれません。論文を読み始めた頃、各領域の読んでおくべき論文が何であるか見当もつかない場合も多いです。実際、僕がそうでした。読むべきものがわからず、EBMの書籍を読んだり、ワークショップや学会に出かけたりして、大事そうな論文を読み、知識を蓄積していった記憶があります。読み慣れていくと、論文の結果はいろいろな見方ができることに気づきました。そして、「他の方が論文結果をどのように捉え、解釈しているのか」というところに大きな関心を抱くようになったのです。また、僕自身の価値観や概念を構成する何かが変わっていったように思います。


本書では、各領域で押さえておきたい論文30本と、その論文に対する様々な薬剤師の解釈を散りばめ、いくつもの気づきが得られる構成になっています。医療現場で、正解のない問いに対して、答えのようなものを探求し続ける私たちは、できる限り多様な価値観に触れ、世界を広げていく必要があります。そこから生み出される考え方をベースにし、患者・市民に対してその一人ひとりの生活に思いを馳せることで、良き医療情報の提供と活用ができるのではないでしょうか。本書がその一助になれば嬉しく思います。


最後に、本書の執筆にあたり、初学者向けのランドマークスタディ集の重要性を熱弁したことをきっかけに、執筆の機会を与えてくださった児島悠史先生、編集担当の西堀智子様をはじめとする金芳堂の皆様には心から御礼申し上げます。


2020年8月

上田昌宏

目次

1.【抗ウイルス薬】

健康な成人のインフルエンザに対する、新薬「バロキサビル」 vs 旧薬「オセルタミビル」

N Engl J Med. 2018; 379: 913-923. PMID: 30184455/CAPSTONE-1試験

2.【抗菌薬】

介護施設に居住している認知症患者の肺炎に対する、抗菌薬投与の有益性

Arch Intern Med 2010; 170: 1102-1107. PMID: 20625013/CASCADE試験

3.【抗菌薬】

風邪に対する抗菌薬投与は、肺炎をどのくらい予防するか

Ann Fam Med. 2013; 11: 165-172. PMID: 23508604

4.【うがい薬】

「うがい」の習慣は、風邪の予防にどのくらい役立つか

Am J Prev Med. 2005; 29: 302-307. PMID: 16242593

5.【総合感冒薬】

風邪の初期に飲む市販薬 「葛根湯」 vs 「パブロンゴールドA」

Intern Med. 2014; 53: 949-956. PMID: 24785885

6.【鎮咳薬】

風邪で小児が夜間に咳をしている際、「ハチミツ」で症状を軽減できるか

Pediatrics. 2012; 130: 465-471. PMID: 22869830

7.【抗ヒスタミン薬】

アレルギー性鼻炎に対する、新薬「ビラスチン」 vs 旧薬「フェキソフェナジン」

Allergol Int. 2017 ; 66: 97-105. PMID: 27421817

8.【血糖コントロール】

CVDリスクを抱える2型糖尿病患者に対する、厳格な血糖降下療法の有益性

N Engl J Med. 2008; 358: 2545-2559. PMID: 18539917/ACCORD試験

9.【DPP-4阻害薬】

DPP-4阻害薬の「サキサグリプチン」は、糖尿病患者の心血管イベントを抑制するか

N Engl J Med. 2013; 369: 1317-1326. PMID: 23992601/SAVOR-TIMI53 試験

10.【SGLT-2阻害薬】

SGLT-2阻害薬「エンパグリフロジン」は、糖尿病患者の心血管イベントを抑制するか

N Engl J Med. 2015; 373: 2117-2128. PMID: 26378978/EMPA-REG OUTCOME試験

11.【SGLT-2 阻害薬】

SGLT-2阻害薬「カナグリフロジン」は、糖尿病患者で腎保護効果を発揮するか

N Engl J Med. 2019; 380: 2295-2306. PMID: 30990260/CREDENCE試験

12.【減量/生活習慣改善】

減量や生活習慣の改善は、2型糖尿病の発症を抑制するか

N Engl J Med. 2002; 346: 393-403. PMID: 11832527

13.【スタチン】

脂質異常症の男性に対する、「プラバスタチン」の一次予防効果

N Engl J Med. 1995; 333: 1301-1307. PMID: 7566020/WOSCOPS試験

14.【フィブラート】

「フェノフィブラート」は、2型糖尿病を伴う脂質異常症患者の心血管イベントを抑制するか

Lancet. 2005; 366: 1849-1861. PMID: 16310551/FIELD試験

15.【エゼチミブ】

「エゼチミブ」を「シンバスタチン」に追加することの有益性

N Engl J Med. 2015; 372: 2387-2397. PMID: 26039521/IMPROVE-IT試験

16.【ARB/ACE阻害薬】

「ARB」と「ACE阻害薬」に期待された、併用による上乗せ効果

N Engl J Med. 2008; 358: 1547-1559. PMID: 18378520/ONTARGET試験

17.【降圧薬】

高血圧患者に対する、120mmHg未満を目指した厳格な降圧治療の有益性

N Engl J Med. 2015; 373: 2103-2116. PMID: 26551272/SPRINT試験

18.【サイアザイド系利尿薬】

「Ca拮抗薬」や「ACE阻害薬」は、「サイアザイド系利尿薬」よりも優れているか

JAMA. 2002; 288: 2981-2997. PMID: 12479763/ALLHAT試験

19.【高齢者の降圧薬】

80歳以上の高齢者に対する、降圧治療の有効性と安全性

N Engl J Med. 2008; 358: 1887-1898. PMID: 18378519/HYVET試験

20.【β遮断薬】

心不全に禁忌とされてきた「β遮断薬」は、心不全の治療薬となり得るか

Lancet. 1999; 353: 9-13. PMID: 10023943/CIBIS-Ⅱ試験

21.【スピロノラクトン】

アルドステロン拮抗薬「スピロノラクトン」は、心不全患者の予後を改善するか

N Engl J Med. 1999; 341: 709-717. PMID: 10471456/RALES試験

22.【抗不整脈薬】

心筋梗塞後の不整脈を、抗不整脈薬で抑制することの有益性

N Engl J Med. 1991; 324: 781-788. PMID: 1900101/CAST試験

23.【抗凝固薬】

心房細動患者に対する、新薬「アピキサバン」 vs 旧薬「ワルファリン」

N Engl J Med. 2011; 365: 981-992. PMID: 21870978/ARISTOTLE試験

24.【抗血小板薬】

動脈硬化性疾患の患者に対する、新薬「クロピドグレル」 vs 旧薬「アスピリン」

Lancet. 1996; 348: 1329-1339. PMID: 8918275/CAPRIE試験

25.【高尿酸血症治療薬】

高尿酸血症患者に対する、新薬「フェブキソスタット」 vs 旧薬「アロプリノール」

N Engl J Med. 2018; 378: 1200-1210. PMID: 29527974/CARES試験

26.【ピロリ除菌薬】

ヘリコバクター・ピロリ菌の除菌は、自覚症状のない人でも有益か

Cochrane Database Syst Rev. 2015; (7): CD005583. PMID: 26198377

27.【NaSSA】

SSRI/SNRIに抵抗性のあるうつ病患者に対する、NaSSA「ミルタザピン」の上乗せ効果

Health Technol Assess. 2018; 22: 1-136. PMID: 30468145

28.【補完代替医療】

がん治療において、「補完代替医療」を選択することのリスク

JAMA Oncol. 2018; 4: 1375-1381. PMID: 30027204

29.【HPVワクチン】

HPVワクチンの接種は、子宮頸部上皮内腫瘍(子宮頸がんの前病変)を減らすか

BMJ. 2019; 365: l1161. PMID: 30944092

30.【抗認知症薬】

認知機能障害が軽度のうちから、「コリンエステラーゼ阻害薬」を服用することの有益性

Cochrane Database Syst Rev. 2012 ;(9): CD009132. PMID: 22972133

コラム

・臨床試験で気をつけなければならない、いろいろな「バイアス」

・「臨床試験」と「人体実験」の違いは?

・Intention to Treat解析とper protocol解析~データの解析方法にも注目

・エビデンスレベル

・相反する結果を示した論文に出合った時は……?

・双子座と天秤座の患者には「アスピリン」が効かない?

・HPVワクチンは、今も「定期接種」の対象

Break Time ~論文を読む時のTips~

PECO / RCTが適さない研究テーマ / 漢方薬の英語表記 / 新薬についての情報源 / 平均値と中央値 / 内的妥当性と外的妥当性 / プラセボ群を設定する理由 / 背景疑問と前景疑問 / 評価項目の区別 / αエラーとβエラー / 除外基準 / 患者背景がわかるTable1 / 類似研究との比較 / 昔の論文は読みにくい? / 撤回論文 / 二重盲検が難しい研究 / 中間解析 / サブグループ解析 / スピン / 利益相反(COI) / 薬の効果をどう表現するか

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書籍情報

  • ISBN:9784765318433
  • ページ数:228頁
  • 書籍発行日:2020年10月
  • 電子版発売日:2020年10月14日
  • 判:A5判
  • 種別:eBook版 → 詳細はこちら
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