緑内障診断ガイド〈専門医のための眼科診療クオリファイ3〉

  • ページ数 : 286頁
  • 書籍発行日 : 2011年1月
  • 電子版発売日 : 2020年10月28日
¥15,400(税込)
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商品情報

内容

日本人40歳以上の20人にひとりが緑内障であるといわれる時代.発症初期に見逃してはならない徴候を的確にとらえることが眼科医の責務でもある.細隙灯から最新の画像診断,視野計測の評価法,病型区分など,最新知見を盛り込んだ.日本眼科学会専門医制度の専門医資格取得に関する書籍として認定されました.

専門医のための眼科診療クオリファイ シリーズ

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序文

緑内障患者は40 歳以上の日本人では約5 % に見いだされ,総計すると400 万人の推定患者数にもなる.しかも,分類上日本人の緑内障の約8 割は,病期が進んでからでないと患者が自覚しにくい“広義の原発開放隅角緑内障” である.多治見市の疫学調査では調査によって見つかった緑内障患者の約9 割が,それ以前には受診していなかった現状を考えると,受診率を上げることに加えて,緑内障を慎重に早期発見することも重要である.

緑内障の病態は角膜,隅角,虹彩の前眼部から,水晶体,網膜,さらに高次視路まであらゆる組織に関連がある.そのため緑内障以外の多くの眼疾患と関連している場合もあるので,ほかに原因があればその治療を行うことも必要となる.先入観をもたずに十分な検査をていねいに行い,総合的に判断すべき疾患群である.緑内障診断に関係する組織学的変化は,今ではほとんど直接観察することができる.しかし,検査から得られる多くの情報に頼りすぎ,本当に必要な検査を怠り所見を見逃すと,治療方針や予後に大きく影響する.たとえば,眼圧や乳頭所見がない患者への隅角検査である.閉塞隅角症のリスクは見逃してはならないし,隅角には過去の眼疾患の手掛かりが多く残っていることが多い.また,乳頭所見については“乳頭陥凹=緑内障ではない” ことも念頭に置かなくてはならない.緑内障性視神経症の乳頭所見には,判断に迷うケースも多く,鑑別を要する.近年はOCT (光干渉断層計)の導入により,近視やびまん性の網膜神経線維層も可視化されるようになってきたし,眼内では直接見ることのできない組織である毛様体もUBM (超音波生体顕微鏡)で把握できるようになってきた.しかし,その判定には経験を積んだ医師が前眼部構造や眼底写真や視野などとともに総合的に判断しなくてはならず,器械に頼り切った診察にならないようにしたい.

組織学的変化と異なり,生理的因子である眼圧の把握にはさらに慎重でありたい.眼圧が正常値であれば何でも正常眼圧緑内障ではないかと,先入観をもって判断してはいけない.また,外来眼圧だけでは,眼圧変動を含めた患者の真の眼圧を把握することは困難である.できるだけ多くの情報にもとづき,眼圧関係の危険因子を把握することが重要である.

そして,緑内障の診断には,客観的指標以外に視野という患者の自覚的心理学的検査に頼る側面も大きい.正確な視野データを得ること,それを客観的に評価することにも,精通しなければならない.病期進行の評価については,漫然と当初の病型診断にとらわれず,数年のデータをもとに新たな眼で診断を下すように心掛けたい.

緑内障は,組織や眼圧,視野の情報から眼圧上昇,視神経症の原因を慎重に探索し,ほかの眼疾患や続発性の眼圧依存性緑内障を見い出す努力をしたうえ,ようやく診断に至る疾患である.正確な診断を誤り,不用意な治療を行うことは,人の生涯に影響を与えるようなことにもなりかねない.専門医に相応しいさまざまな知識を身につけていただけるよう,緑内障診断の種々の側面を盛り込んで本企画を行った.読者のお役に立てれば望外の喜びである.


2010年12月

東京大学大学院医学系研究科眼科学/講師
相原 一

目次

1 診断の基本

緑内障診断の基本指針 (富田剛司)

問診と視診 (木村 至)

細隙灯顕微鏡所見 (陳 進輝)

眼圧検査の測定機器 (丸山勝彦)

眼圧日内変動および眼圧変動に影響する因子 (中元兼二)

隅角鏡検査 (大鳥安正)

CQ ベースライン眼圧測定にはどうしたらよいでしょうか? (杉本麗子)

CQ 眼圧負荷試験には,どんな意義がありますか? (野中淳之)

CQ 眼血流測定には,どんな意義がありますか? (間山千尋)

CQ 遺伝子診断の可能性について教えてください (布施昇男)

CQ POAG発症の危険因子として何に注目したらよいでしょう? (溝上志朗)

2 画像診断

画像診断による隅角所見(UBM とOCT) (国松志保)

頭部画像診断による鑑別 (芝 大介)

写真でみる緑内障性乳頭所見 (東出朋巳)

間違いやすい乳頭所見 (中澤 徹)

GDxによる緑内障診断 (齋藤 瞳)

HRTによる緑内障診断 (白柏基宏)

OCTによる緑内障診断 大久保真司 95

緑内障性視野異常と鑑別疾患 (中村 誠)

3 視野検査

HFAによる診断 (野呂隆彦,中野 匡)

Octopusによる診断 (奥山幸子)

Goldmann視野計による診断の限界と意義 (上野盛夫,池田陽子)

早期診断のための視野検査 (中野 匡)

視野障害度分類 (松本長太)

4 病型の診断

緑内障病型診断鑑別の基本指針 (鈴木康之)

高眼圧症 (喜田照代)

原発開放隅角緑内障(広義) (川瀬和秀)

原発閉塞隅角緑内障 (酒井 寛)

発達緑内障 (齋藤代志明)

続発開放隅角緑内障 (高瀬 博)

ステロイド緑内障 (稲谷 大)

落屑緑内障 (久保田敏昭)

血管新生緑内障 (三木篤也)

続発閉塞隅角緑内障 (廣岡一行)

悪性緑内障 (結城賢弥)

外傷性緑内障 (本庄 恵)

CQ 見かけ上の高眼圧を鑑別するには,どのようにすればよいのでしょうか? (菅野 誠)

CQ 狭隅角なのですが,どの病型か診断するにはどうしたらよいでしょうか? (栗本康夫)

EV 世界の緑内障有病率 (小暮俊介)

EV わが国の緑内障有病率:多治見スタディ (岩瀬愛子)

EV わが国の緑内障有病率:久米島スタディに至るまで (澤口昭一)

5 症状進行の評価

緑内障性眼障害のとらえ方と進行評価の注意点 (木内良明)

眼圧下降効果の判定の注意点 (原 岳)

乳頭,網膜神経線維層所見による進行評価 (富所敦男)

視野所見による進行評価 (朝岡 亮)

CQ 緑内障進行の危険因子として何に注意しておけばよいでしょうか (新田耕治)

CQ 症状進行評価が疑わしいときの追加検査について教えてください (福地健郎)


文献

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書籍情報

  • ISBN:9784521733241
  • ページ数:286頁
  • 書籍発行日:2011年1月
  • 電子版発売日:2020年10月28日
  • 判:B5判
  • 種別:eBook版 → 詳細はこちら
  • 同時利用可能端末数:3

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