ドライアイ スペシャリストへの道〈専門医のための眼科診療クオリファイ19〉

  • ページ数 : 400頁
  • 書籍発行日 : 2013年11月
  • 電子版発売日 : 2020年11月20日
¥15,950(税込)
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商品情報

内容

ドライアイは,わが国でも1500万人とも言われる患者数を抱える一般的な眼科疾患.本巻では,発症メカニズム,起因にもとづく病型と重症度の判定,および新薬を含めた治療を網羅した.エキスパートが診療の現場で使いやすいように,ここ最近の基礎研究に裏打ちされた情報をまとめて構成した手引書.日本眼科学会専門医制度の専門医資格取得に関する書籍として認定されました.

専門医のための眼科診療クオリファイ シリーズ

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序文

眼科の外来診療を思い浮かべると,急性の眼疾患や視機能異常を主症状とする眼疾患を除けば,眼不定愁訴を訴える慢性の眼疾患が多くを占めるのではないだろうか.そして,後者の多くは,ドライアイや流涙症といった涙液関連疾患であり,なかでもドライアイは,外来受診患者数の約2 割を占めるといわれる.ドライアイは,高齢化,生活習慣,生活環境の変化を背景に,増加の一途をたどるとともに,QOL が尊ばれる時代となり,適切な治療のニーズがますます高まっている.今や,快適な目で日常生活を送り,仕事に従事するうえで,ドライアイは重要な克服課題であるといえるだろう.

わが国において,ドライアイは,1995 年に初めてその定義と診断基準が定められ,2006 年には,眼不快感と視機能異常の症状をとり入れる形で定義と診断基準が改訂され,涙液と角結膜上皮の慢性疾患として理解されるようになった.そして,近年,BUT (tear film breakup time)の異常と強い眼症状を陽性所見とするドライアイの疑い例,すなわち,BUT 短縮型ドライアイがわが国で注目されるに及んで,ドライアイの定義や診断基準のさらなる見直しの必要性が生じてきている.近年,ドライアイの診療・研究領域は,予想もしなかった速さで進歩しており,有病率の増加とともに,眼科医のみならず,企業や一般市民の高い関心を集めている.

以上のような背景のもと,本巻を編集させていただく機会を得,涙液・ドライアイの情報をすべて集めた,臨床と研究に役立つ本にすることを思い立った.本巻の構成は,ドライアイの階層構造そのものに基づいているため,今読んでいるところがドライアイの構築のどの部分の理解に役立つ情報なのかがわかるように仕組んである.しかも,それぞれの分野を新進気鋭のスペシャリストの先生がたにご執筆いただいた.先駆者によるいくつかの優れたドライアイの教科書がすでにあるが,ドライアイの長足の進歩に追従すべく,現在,議論されているトピックスまで貪欲に盛り込むよう努めた.2010 年末以来,わが国において,世界初の点眼薬が二種類処方できるようになったこと,ドライアイの低侵襲検査においてわが国がリーダーシップをとっていることを考えると,この本によってドライアイの世界の最先端に触れていただけるのではないかと思っている.

涙液・ドライアイの分野は,涙液やティアフィルムの動態,あるいは,眼瞼と眼球表面の間の涙液の振る舞いを考えなければならないという意味において,動的な眼科学のフロントランナーといえるのではないだろうか.興味をもって,本書を読み進めていただき,それを日常診療で実践いただくことによって,おのずとスペシャリストへの道が開けていくに違いない.

執筆者を代表し,今後,わが国がドライアイ診療において世界のリーダーとなっていけることを信じて,意欲に満ちた若き研究者・臨床家へのバトンとしてこの本を捧げたいと思う.


2013年8月

京都府立医科大学大学院医学研究科視覚機能再生外科学(眼科学教室)/准教授
横井 則彦

目次

1 初学者への道しるべ

初学者への道しるべ (横井則彦)

2 涙液層にかかわる眼組織と涙液層の層別機能

眼瞼縁の構造とそのとらえかた (山口昌彦)

涙腺の構造と機能 (平山雅敏,川北哲也)

マイボーム腺の構造と機能 (小幡博人)

涙液油層の構築とその機能 (山田昌和)

涙液の組成 (鈴木 崇)

ムチンの構造と機能 (堀 裕一)

表層上皮の構造と機能 (伴 由利子)

3 涙液動態と病態とのかかわり

涙液の基礎分泌と反射性分泌 (東原尚代)

涙液メニスカスの機能とその異常 (杉田二郎)

涙液油層のターンオーバーとその異常 (横井則彦)

涙液のターンオーバーとその異常 (山田昌和)

ムチンのターンオーバー (堀 裕一)

涙液の安定性とその維持機構 (横井則彦)

涙液減少と涙液動態 (横井則彦)

4 定義,診断基準,分類,疫学

ドライアイの考えかたにおける世界の動向−2007 Report of the International Dry Eye WorkShop(DEWS) (村戸ドール)

日本のドライアイの定義と診断基準 (島� 潤)

ドライアイの分類 (篠崎和美)

マイボーム腺機能不全の定義と診断基準 (有田玲子)

Sjogren 症候群の診断基準 (北川和子)

ドライアイの疫学 (内野美樹)

5 一般外来検査

ドライアイ検査の手順 (薗村有紀子)

ドライアイの症状とクエッショネア (坂根由梨)

外眼部の視診 (五藤智子)

涙液メニスカスを指標とした涙液の量的評価 (加藤弘明,横井則彦)

BUT の測定 (堀 裕一)

眼表面の上皮障害の評価 (高 静花)

Schirmerテスト (西條裕美子)

眼瞼縁の異常の評価 (鎌尾知行)

6 特殊検査

メニスコメトリ法 (横井則彦)

ストリップメニスコメトリ (オサマモハメドアリ イブラヒム)

涙液クリアランステスト (小野眞史)

涙液インターフェロメトリ (後藤英樹)

マイボグラフィー (有田玲子)

共焦点顕微鏡 (村戸ドール)

涙液蒸発率測定 (後藤英樹)

涙液浸透圧測定 (小島隆司)

実用視力 (海道美奈子)

TSAS(tear stability analysis system) (五藤智子)

高次収差解析 (高 静花)

7 コア・メカニズムの考えかたと治療

涙液の安定性の低下を中心に置く日本のドライアイの考え方とその治療 (渡辺 仁)

炎症を中心に置く米国のドライアイの考えかたとその治療 (高橋 浩)

点眼治療の種類 (横井則彦)

眼鏡による治療 (谷口紗織,小川葉子,坪田一男)

サプリメントによる治療 (川島素子)

8 上流のリスクとその治療/涙液減少

涙液減少の原因 (高村悦子)

涙液減少眼でみられるさまざまな角膜上皮障害 (鎌尾知行)

ドライアイの内服治療 (小野眞史)

涙点プラグ (海道美奈子)

外科的涙点閉鎖 (渡辺 仁)

ドライアイの重症度別治療 (小室 青)

9 上流のリスクとその治療/蒸発亢進

マイボーム腺機能不全とその治療 (小島隆司)

マイボーム腺炎角結膜上皮症 (鈴木 智)

兎眼,閉瞼不全によるドライアイ (渡辺彰英)

ライフスタイルとドライアイ (戸田郁子)

コンタクトレンズとドライアイの関連性 (酒井利江子,横井則彦)

コンタクトレンズ関連ドライアイの治療 (土至田 宏)

強膜レンズによるドライアイ治療 (吉野健一)

10 上流のリスクとその治療/瞬目時の摩擦亢進

結膜弛緩症とドライアイの関連 (小室 青)

上輪部角結膜炎 (加藤浩晃)

Lidwiper epitheliopathyとその治療 (白石 敦)

糸状角膜炎の眼瞼下垂手術による治療 (北澤耕司)

Meige症候群 (細谷友雅)

11 上流のリスクとその治療/眼表面上皮の水濡れ性低下

眼表面上皮の病的角化とその治療 (高 静花)

BUT短縮型ドライアイの診断と治療 (田 聖花)

12 複合リスク

眼の加齢性変化とドライアイの関連 (川島素子)

性ホルモンとドライアイの関連 (鈴木 智)

全身疾患,全身薬とドライアイの関連 (松葉沙織)

点眼液とドライアイの関係 (内野裕一)

手術とドライアイの関連 (原 修哉)

LASIK とドライアイの関係について教えてください (戸田郁子)

13 眼表面疾患とドライアイ

慢性移植片対宿主病とドライアイ (小川葉子)

Stevens?Johnson 症候群,眼類天疱瘡とドライアイ (上田真由美,外園千恵)


文献

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書籍情報

  • ISBN:9784521734774
  • ページ数:400頁
  • 書籍発行日:2013年11月
  • 電子版発売日:2020年11月20日
  • 判:B5判
  • 種別:eBook版 → 詳細はこちら
  • 同時利用可能端末数:3

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