角膜混濁のすべて〈専門医のための眼科診療クオリファイ25〉

  • ページ数 : 280頁
  • 書籍発行日 : 2014年11月
  • 電子版発売日 : 2020年12月30日
¥15,400(税込)
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商品情報

内容

外来でよく遭遇するこの所見を,混濁の部位(上皮か実質か)と病態(沈着性か炎症性か)に分けて,エキスパートの視点から分類し網羅した.原因を見きわめ的確な診断へと結びつける検査法の選択と結果の読みかた,薬物治療・移植手術などの最新治療も収載した.日本眼科学会専門医制度の専門医資格取得に関する書籍として認定されました.

専門医のための眼科診療クオリファイ シリーズ

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序文

角膜は,われわれの眼においてレンズの働きをしており,良好な視機能を保つために,高度にその質が保たれる必要がある.この点から,形状異常やドライアイも大変重要であるが,何といっても角膜が濁るのは最も患者にとって困る現象であり,それを解決することは眼科医にとって非常に重要である.角膜が濁っていては,緑内障や網膜疾患などの診断・治療にも大きくさしつかえる.したがって,角膜の診療の中核であり基本は,やはり角膜混濁といえると思う.

しかし,ひとことで角膜混濁といっても,その原因はさまざまである.角膜混濁に出合ったときには,細隙灯顕微鏡でその混濁がどういう種類の混濁か(炎症性,沈着性,瘢痕性,腫瘍性)を見きわめ,その部位や深さを判断することがまず重要である.その後,本巻の“5.角膜混濁診察のための検査”に記載されたさまざまな検査を駆使して,その原因を究明する.原因が判明すれば,これも本巻“6.角膜混濁の治療”にあるさまざまな治療から適切なものを選択することになる.角膜混濁のなかには,診断・治療が適切でなければ,単に視機能に影響するだけでなく,角膜穿孔や腫瘍の拡大などの重篤な結果に結びつくことさえある.

このことから角膜混濁については一部の専門家だけでなく,眼科医すべてがその診療の基本を知っておく必要がある.本巻には角膜混濁に関するそのような基本的な知識はもちろん,最新の情報も含めてすべてが網羅されていると自負している.特に各論は,その疾患あるいは検査・治療のエキスパートに執筆をお願いした.いずれ劣らぬ力作ぞろいで,角膜専門の先生がたにも新たな知識と情報を伝えることができる内容になっている.もちろん一方で,眼科専門医をめざしている人には詳細な“カコモン読解”があり,そこだけ読んでも,専門医認定試験のポイントが的確につかめる.

なお,角膜浮腫も角膜が透明でなくなることから“浮腫性混濁”として広義の角膜混濁に含まれるが,浮腫は混濁とかなり性質が異なり,これをまず分けて考えることが非常に重要であることや,本シリーズではすでに『12.角膜内皮障害 to the Rescue』(2012 年7 月刊)が上梓されていることから,本巻ではとりあげなかった.角膜浮腫をきたす疾患については本シリーズ『12.角膜内皮障害 to the Rescue』を本巻の姉妹編として活用していただきたい.

角膜疾患の診療において,専門家から研修医まで幅広い先生がたに本巻を役立てていただければ,編者として望外の喜びである.


2014年10月

鳥取大学医学部視覚病態学/教授
井上 幸次

目次

1 総論

角膜混濁の分類と細隙灯顕微鏡での鑑別 (井上幸次)

角膜混濁鑑別のための検査 (大橋裕一)

角膜混濁の治療法 (雑賀司珠也)

2 上皮混濁各論

iron line (堀 裕一)

薬剤沈着(アミオダロン角膜症など) (細谷比左志)

代謝産物沈着(Fabry 病など) (平野耕治)

Meesmann角膜ジストロフィ (藤本久貴)

map-dot-fingerprint角膜ジストロフィ (小玉裕司)

樹枝状角膜炎とその類縁疾患 (井上智之)

Thygeson点状表層角膜炎 (中川 尚)

Stevens-Johnson症候群 (大家義則)

SQ 重篤な眼合併症を伴うStevens-Johnson症候群と関連のある遺伝子について教えてください (上田真由美)

眼類天疱瘡 (川北哲也)

トラコーマ (稲田紀子)

conjunctival and corneal intraepithelial neoplasia CIN) (細谷友雅)

3 沈着性実質混濁各論

顆粒状角膜ジストロフィI型・II型 (森重直行,山田直之)

Reis?Bucklers角膜ジストロフィ,Thiel-Behnke角膜ジストロフィ (小林 顕)

格子状角膜ジストロフィ (川島素子)

斑状角膜ジストロフィ (渡辺 仁)

膠様滴状角膜ジストロフィ (川﨑 諭)

Schnyder角膜ジストロフィ (北川和子)

帯状角膜変性 (横倉俊二)

角膜脂肪変性 (小幡博人)

Spheroid角膜変性 (相馬剛至)

続発性角膜アミロイドーシス (佐々木香る)

Terrien角膜辺縁変性 (植木亮太郎)

Salzmann角膜変性 (山田昌和)

多発性骨髄腫 (戸田良太郎,門廣祐子,近間泰一郎)

infectious crystalline keratopathy (鈴木 崇)

4 炎症性実質混濁各論

カタル性角膜潰瘍 (横井則彦)

CQ マイボーム腺炎角結膜上皮症とocular rosacea は,どう違うのでしょうか? (鈴木 智)

Mooren角膜潰瘍 (羽藤 晋)

EV 特発性周辺部角膜潰瘍の多施設調査について教えてください (外園千恵)

関節リウマチ関連の周辺部角膜潰瘍 (唐下千寿)

栄養障害性角膜潰瘍 (近間泰一郎)

シールド潰瘍 (角 環)

SQ 春季カタルにおいて結膜と角膜の間でどのような分子の相互作用がありますか (海老原伸行)

細菌性角膜炎 (松本光希)

真菌性角膜炎 (望月清文)

EV コンタクトレンズ関連角膜感染症の多施設調査 (宇野敏彦)

アカントアメーバ角膜炎 (杉原紀子)

SQ アカントアメーバの分子疫学について教えてください (八木田健司)

実質型角膜ヘルペス (福田昌彦)

梅毒性角膜実質炎 (秦野 寛)

多発性角膜上皮下浸潤 (岡本茂樹)

SQ アデノウイルスにも潜伏感染はあるのでしょうか? (内尾英一)

5 角膜混濁診察のための検査

細隙灯顕微鏡写真撮影 (畑﨑泰定)

前眼部OCT (高 静花)

生体共焦点角膜顕微鏡検査 (白石 敦)

CQ Cochet-Bonnet角膜知覚計について教えてください (川口亜佐子)

塗抹検鏡 (豊川真弘)

細菌・真菌培養 (砂田淳子)

SQ 培養が困難な細菌を検出する方法を教えてください (江口 洋)

polymerase chain reaction (神鳥美智子)

角膜混濁と遺伝子検査 (舟木俊成)

SQ 角膜ジストロフィの原因遺伝子はどのようにして解明されてきたのでしょうか? (辻川元一)

6 角膜混濁の治療

ステロイド (高村悦子)

抗菌薬 (星 最智)

抗真菌薬 (子島良平)

アシクロビル (篠崎和美)

CQ インターフェロンα-2bの使いかたについて教えてください (片上千加子)

SQ 今後,新たに臨床応用される可能性のある抗ウイルス薬には,どのようなものがあるでしょうか? (檜垣史郎)

SQ 抗VEGF薬の角膜疾患への応用について教えてください (臼井智彦)

manual keratectomy (中村孝夫)

phototherapeutic keratectomy (宮本 武)

表層角膜移植 (佐竹良之)

全層角膜移植 (島﨑 潤)

SQ 培養口腔粘膜上皮移植について教えてください (稲富 勉)


文献

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書籍情報

  • ISBN:9784521739229
  • ページ数:280頁
  • 書籍発行日:2014年11月
  • 電子版発売日:2020年12月30日
  • 判:B5判
  • 種別:eBook版 → 詳細はこちら
  • 同時利用可能端末数:3

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