別冊「医学のあゆみ」エピジェネティクスと疾患

  • ページ数 : 144頁
  • 書籍発行日 : 2020年11月
  • 電子版発売日 : 2020年12月30日
¥4,840(税込)
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商品情報

内容

●遺伝子スイッチによる疾患の発症から治療薬の開発まで,進展するエピジェネティクス研究の最新を紹介!
●近年,「遺伝子スイッチ」の考え方が普及してきた.2万個ある遺伝子のうち,どのスイッチがオン/オフになるかで細胞の運命が決まり,オン/オフが乱れると各種疾患の原因となるが,一方でそのスイッチの状態をきれいに戻す細胞のリプログラミングも可能である.この遺伝子のスイッチがエピジェネティック修飾であり,主にDNAメチル化とヒストン修飾により担われる.
●現在,がんのエピジェネティック診断は一部臨床応用されており,治療分野では,DNA脱メチル化剤とヒストン脱アセチル化酵素阻害剤はその使い方が深化し,薬剤の新規開発や臨床研究も盛んに行われている.
●精神・神経疾患,代謝疾患,腎臓病,循環器疾患,自己免疫・アレルギー疾患などでもエピゲノム異常が見つかっており,またエピジェネティック解析により再生医療製品の安全性や品質が評価できる可能性も高まっている.
●本書では,各分野でのエピジェネティクス研究が,現在と将来の臨床へどのようにつながるのかを最新の情報や知見をもとに広く解説した.

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序文

はじめに

“遺伝子スイッチ”の考え方が一般にも普及してきた.2 万個の遺伝子のうちどれがスイッチオンになるかで細胞の運命が決まる.同時に,スイッチのオン・オフが乱れるとさまざまな疾患の原因になり,スイッチの状態をきれいに戻すことで細胞のリプログラミングができる.この遺伝子のスイッチがエピジェネティック修飾(ゲノム全体でのパターンとしてはエピゲノム)であり,主にDNA メチル化とヒストン修飾により担われる.

2019 年現在,“epigenetic”または“DNA methylation”の単語を含む論文が年間1 万報を超えるようになっており,2010 年の年間5 千報から倍増した.この間,ヒトの標準エピゲノム決定が国際プロジェクトとして進められたり,エピジェネティクスの役者として非コードRNA や核内高次構造の研究が大きく進展した.

このうねりのなか,2015 年11 月以来,ほぼ4 年ぶりに本誌で「エピジェネティクスと疾患」を特集することになった.がんのエピジェネティック診断は一部は臨床応用され,さらに臨床研究で有用性が試されているものがいくつも出現した.治療分野では,DNA 脱メチル化剤とヒストン脱アセチル化酵素阻害剤はその使い方が深化し,新しいものもさらに開発されている.ヒストンメチル化を標的とした薬剤は開発・臨床研究が盛んに行われ,クロマチンリモデリングを標的とした治療も考えられるようになってきた.

精神・神経疾患,代謝疾患,腎臓病,循環器疾患,自己免疫・アレルギー疾患などでもエピゲノム異常が見つかっており,一部には病態の原因と考えられる異常もある.環境要因によりエピゲノムが乱れ,最終的に発症する疾患がわかれば,その乱れを抑えることで予防への道も開ける.エピジェネティック制御因子の変異はいくつかの先天性疾患の原因として知られ,エピジェネティック解析により再生医療製品の安全性や品質が評価できる可能性も高まった.

本別冊では,これらの成果をまさに牽引されてきた研究者・医師の方々に,各分野のエピジェネティクス研究が,現在・近未来・将来の臨床にどのようにつながるのか解説をお願いした.読者の方のご参考になれば,編者望外の幸せである.


牛島 俊和
Toshikazu USHIJIMA
国立がん研究センター研究所エピゲノム解析分野

目次

総論

1.DNAメチル化(新沼 猛・鈴木 拓)

 KeyWord DNAメチルトランスフェラーゼ(DNMT),TET,CpGアイランド,遺伝子発現制御,発生

2.ヒストン修飾(秋山好光)

 KeyWord ヒストン修飾,ライター(Writer),リーダー(Reader),イレイサー(Eraser)

3.Non-coding RNAの多様な機能とゲノム安定性維持における役割(飯島健太・近藤 豊)

 KeyWord ノンコーディングRNA(ncRNA),長鎖ノンコーディングRNA(lncRNA),DNA損傷応答(DDR)

4.クロマチン高次構造(山本達郎・他)

 KeyWord トポロジカルドメイン(TAD),A/Bコンパートメント,遺伝子発現制御,染色体コンフォメーション捕捉法,Hi-C

各種疾患とエピゲノム異常

5.がんのエピゲノム異常(佐藤広明・金田篤志)

 KeyWord DNAメチル化,ヒストン修飾,プロモーター,エンハンサー,クロマチン構造

6.がんのエピゲノム診断(竹島秀幸・牛島俊和)

 KeyWord 異常DNAメチル化,発がんの素地,がんリスク診断,がん存在診断,がん病態診断

7.エピジェネティック制御因子の先天性変異(鵜木元香)

 KeyWord ライター,イレイサー,リーダー,DNAメチル化,ヒストン修飾

8.ヒト胎盤におけるゲノムインプリンティング(小林記緒・他)

 KeyWord ゲノムインプリンティング,胎盤,周産期疾患,DNAメチル化

9.精神疾患とepigenetic age(渡邊理紗・岩本和也)

 KeyWord 精神疾患,大うつ病(MD),双極性障害(BD),統合失調症(SZ),一卵性双生児(MZ)

10.慢性疼痛におけるエピジェネティック変容の解析(田中謙一・他)

 KeyWord 慢性疼痛,エピジェネティクス,中枢性感作,脱分化

11.糖尿病・肥満をはじめとする代謝関連疾患とエピゲノム(佐藤直市・他)

 KeyWord 糖尿病,肥満,代謝関連疾患,エピゲノム,DOHaD仮説

12.腎臓病の進展に関わるエピジェネティクス(丸茂丈史)

 KeyWord 腎臓病,DNAメチル化,メタボリックメモリー,エピジェネティック尿検査

13.循環器疾患におけるエピゲノム異常と治療への展望(金田るり)

 KeyWord 不全心筋,ラミノパチー,DOHaD,エピジェネティック治療,腫瘍循環器学

14.自己免疫疾患・アレルギー疾患(小林靖子)

 KeyWord エピゲノムワイド関連解析(EWAS),機械学習,分子標的薬,病原性T/B細胞

15.再生医療におけるエピジェネティクスによる安全性・品質評価の重要性(島田由衣・他)

 KeyWord iPS細胞,細胞移植治療,エピジェネティックメモリー

16.エピゲノム変化の世代を超えた遺伝(吉田圭介・他)

 KeyWord 環境要因,ストレス,エピゲノム変化,遺伝

治療への展開

17.DNA脱メチル化剤および変異型IDH阻害薬の臨床導入と新規開発の現状(服部奈緒子・牛島俊和)

 KeyWord DNAメチル化,デシタビン,アザシチジン,IDH

18.阻害薬によるヒストンアセチル化の調節(高瀬翔平・他)

 KeyWord がん,阻害薬,ヒストン脱アセチル化酵素(HDAC),ブロモドメイン蛋白質

19.ヒストンメチル化酵素・脱メチル化酵素阻害薬(鈴木孝禎)

 KeyWord エピジェネティクス,ヒストンメチル化酵素,脱メチル化酵素,阻害薬,治療薬

20.SWI/SNFクロマチンリモデリング複合体欠損がんを対象とした最適化がん治療(荻原秀明)

 KeyWord 合成致死,SWI/SNFクロマチンリモデリング複合体,精密医療,エピジェネティクス

サイドメモ

 CpGアイランド

 競合的内在性RNA(ceRNA)

 DNA二重鎖切断(DSB)修復蛋白質

 R-loop構造

 液-液相分離

 染色体コンフォメーション捕捉法(3C)

 ヒストンH3K36のメチル化とDNAメチル化のリンク

 X染色体のランダム不活性化

 ヒト胎盤幹細胞(human trophoblast stem cell)

 一卵性双生児不一致例(DT)を用いた研究

 テロメア長(TL)とミトコンドリアDNA(mtDNA)コピー数

 DOHaD仮説

 メタボリックメモリー

 eGFR slope

 衛生仮説

 教師あり機械学習(supervised machine learning)

 用語解説〔ES細胞(胚性幹細胞),テラトーマ,キメラマウス,XIST(X inactive specific transcript),EB(胚様体)〕

 内在性レトロウイルス(ERV)

 オンコメタボライト

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書籍情報

  • ISBN:9784006528524
  • ページ数:144頁
  • 書籍発行日:2020年11月
  • 電子版発売日:2020年12月30日
  • 判:B5判
  • 種別:eBook版 → 詳細はこちら
  • 同時利用可能端末数:3

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