実験医学別冊 最強のステップUPシリーズ エピゲノムをもっと見るための クロマチン解析実践プロトコール

  • ページ数 : 271頁
  • 書籍発行日 : 2020年12月
  • 電子版発売日 : 2021年1月1日
¥7,590(税込)
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商品情報

内容

ChIP-seq、ATAC-seq、Hi-C、smFISH、空間オミクス…クロマチンの修飾から構造まで、絶対使える18選!

エキスパートらによる,エピゲノムによる遺伝子発現制御をさらに一歩深く見るための最先端プロトコール集.シングルセルレベルの解像度や,空間情報も求められる時代に,本当に使える実験法はこれだ!

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序文

この時期のNGS の導入はおそらく,国内ではかなり早かったと思います.当時,九州大学のテニュアトラックプログラムで採用され,独立したての若手教員でした.メンターの赤司浩一先生の豪気な決断で,周囲の反対を押し切って,若手(しかも非常勤!!)だった私が好き勝手にNGS を操作する機会を得ることができました.私が最初に行った解析は,ゲノム解析でもトランスクリプトーム解析でもなく,クロマチン解析でした.今でも最初のデータが取得できたときの感動が忘れられません.今では,ユーザーとしてクロマチン解析をするだけでなく,新たなクロマチン解析技術の開発も行うほどどっぷりとはまってしまいました.当時は,クロマチン研究といえば,まだまだ生化学的な解析が中心でしたが,ゲノムワイドな解析が導入され爆発的に変化していくタイミングに立ち会えたことは幸運でした.

それから早くも12 年になります.ゲノムワイドなクロマチン解析は,発生・再生,がんや免疫といった臨床分野,さらには植物に至るまで幅広い分野で一般的な技術となりつつあります.NGS を基盤とした解析法だけでなく,本分野は目で見るイメージング技術の台頭が目覚ましく,さらには,そのどちらも使ったオミクス的な解析法も近年次々と報告されるようになってきました.

そんななか,あるNGS 技術の開発者が集まる会議に出席した際に,おそらくこれからNGS を用いた解析をしたいと考えている方より「最近,xx-seq,xx-seq っていろいろあって混乱します.結局どの解析法が“一番”いいのですか?」と質問が投げかけられ,私は困惑しました.あまりに技術の発達がはやく報告数が多いため,研究者が最適な解析法を選ぶことが難しくなっているという問題を知る機会になりました.

そこで,本書ではこのような悩みを持つ研究者にとって解析法を選ぶヒントとなるような内容をめざしました.現在,最先端技術はSNS やプレプリントサーバーで発信され目まぐるしく更新されてますが,ベースとなる技術はそう多くありません.本書で紹介する鍵となる解析法の概要を知っていれば,あとは自分の研究のゴール設定を明確にさえすれば,最も適した方法が選べると考えています.この趣旨のもと,それぞれの解析法の重要なポイントを漏らさず記載いただくために,熟練者すなわち,その解析法を用いて論文発表にまで至った研究者の皆さんに執筆を依頼しました.気鋭の研究者の方々を筆者に迎えることができ,編者として嬉しい限りです.この場をお借りして厚く御礼申し上げます.

さいごに,本書の企画にあたりイメージングとNGS 解析の両方に精通した金沢大学の宮成悠介さんに共同編者をお願いしました.彼なしでは,ここまで素晴らしいプロトコール集になりえませんでした.また,私のわがままをすべてとり入れていただき,新しいプロトコール集への挑戦を引き受けていただいた羊土社の山口恭平さんに深く感謝申し上げます.この本が皆様のクロマチン解析の一助となりますことを願っております.


2020 年11 月

大川恭行

目次

第1章 NGSによるクロマチン解析

1 転写因子の結合部位やヒストン修飾の集積する領域を特定するー実践的 ChIP-seq 〔プロトコール〕【石内崇士】

 column エピゲノム解析用の抗体の選び方【木村 宏】

 column スパイクイン,NGS定量標準化の「量叉」【朴 聖俊】

2 少数サンプルよりタンパク質が結合しているDNA領域を特定するーCUT&RUN〔プロトコール〕【椙下紘貴,藥師寺那由他,井上 梓】

 mini Protocol Protein A/G-MNaseの自作【椙下紘貴,藥師寺那由他,井上 梓】

 mini Protocol CUT&RUNのデータ解析【椙下紘貴,藥師寺那由他,井上 梓】

3 1細胞レベルで転写因子やヒストン修飾のゲノム上の局在を特定するーChIL-seq〔プロトコール〕【半田哲也】

 column 少数細胞クロマチン解析法の性能を比較する【前原一満】

4 オープンクロマチン領域を特定するーATAC-seq〔プロトコール〕【原田哲仁】

 mini Protocol Tn5 transposaseのインハウス精製法【佐藤祥子,胡桃坂仁志】

 column シングルセルATAC-Seq実験のワークフローと成功のコツ【寺倉伸治】

5 メチローム解析のための高効率なライブラリー調製法ーtPBAT法〔プロトコール〕【三浦史仁】

 column シングルセルメチローム解析技術の開発状況【三浦史仁】

6 1細胞全ゲノム複製ドメイン解析と核内コンパートメントの推定ーscRepli-seq法〔プロトコール〕【高橋沙央里,三浦 尚,平谷伊智朗】

 column 1 細胞 Repli-seq 解析から見える核内コンパートメント動態【三浦 尚,平谷伊智朗】

7 三次元クロマチン構造を捉えるーHi-C法〔プロトコール〕【前澤 創,髙橋一生,行川 賢】

 column 1細胞Hi-Cによる高次クロマチン構造解析の現状【永野 隆】

8 限定した領域のクロマチン三次元構造を捉えるーCapture Hi-C法〔プロトコール〕【藥師寺那由他】

9 探索型解析によるクロマチンNGSデータ分析のコツ〔レビュー〕【中戸隆一郎】

 column NGSライブラリー調製まではできた.さて,この後どうする?〜NGSのコスト(費用と労力)とデータ解析の話【大川恭行,宮成悠介】

 column 新たな解析法にチャレンジするときに使える支援〜「先進ゲノム支援」の活用事例紹介【黒川 顕,岸 雄介】

第2章 イメージングによるクロマチン解析

Ⅰ.固定細胞

1 標的タンパク質,RNA およびゲノム DNA を同時に見るーImmuno-RNA-DNA-FISH〔プロトコール〕【栗原美寿々,宮成悠介】

 mini Protocol Cot1 DNA,自分でつくってみませんか?【宮成悠介】

 mini Protocol 標識 dUTPを自作する簡単レシピ【宮成悠介】

2 クロマチンアクセシビリティを見るーATAC-see〔プロトコール〕【宮成悠介】

3 1細胞内のRNA分子の局在可視化と絶対定量ーsmFISHとsmiFISH〔プロトコール〕【落合 博】

Ⅱ.ライブイメージング

4 転写および翻訳のダイナミクスを1分子の解像度で追跡する技術〔レビュー〕【森崎達也,Timothy J. Stasevich】

5 ショウジョウバエ初期胚を用いた転写活性の1細胞ライブ計測ーMS2/MCPシステム〔プロトコール〕【深谷雄志】

6 ゲノム上の特定領域をライブイメージングで捉えるーTetO/TetRシステム〔プロトコール〕【増井 修】

 column 特定遺伝子の核内局在および転写活性の動態を同時に見る【落合 博】

7 生きた細胞でクロマチン修飾変化を見るーMintbody〔プロトコール〕【佐藤優子,木村 宏】

第3章 最先端オミクス解析

1 イメージングによる空間配置情報を保持した1細胞トランスクリプトーム解析ーseqFISH+〔レビュー〕【大石裕晃】

2 局所的かつ高深度の空間トランスクリプトーム技術ーPhoto-Isolation Chemistry〔レビュー〕【沖 真弥,本田瑞季】

3 空間的遺伝子発現が明らかにする新しい組織学研究ーVisium空間的遺伝子発現ソリューション〔レビュー〕【大﨑 研】

4 1細胞レベルで転写産物とタンパク質を同時に解析するーCITE-seq〔レビュー〕【大村咲恵】

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書籍情報

  • ISBN:9784758122481
  • ページ数:271頁
  • 書籍発行日:2020年12月
  • 電子版発売日:2021年1月1日
  • 判:B5判
  • 種別:eBook版 → 詳細はこちら
  • 同時利用可能端末数:3

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