• ページ数 : 212頁
  • 書籍発行日 : 2017年3月
  • 電子版発売日 : 2021年1月8日
¥8,800(税込)
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商品情報

内容

日本初 世界基準に沿わせるべく定義・分類し直した成書
もはや「イレウス=腸閉塞」では片付けられない。腸閉塞を世界の実態に即して定義・分類し,詳しく解説した1冊


日本では「イレウス」が「腸閉塞」全般を表す言葉として扱われており,さらに「機械的腸閉塞」をも意味していることが多い。これは世界的コンセンサスからずれていると言わざるをえない。世界的には,両者は異なるものとして明確に定義・区別されている。さらにpostoperative ileus(POI)という新しい概念が登場したことで,いまや「イレウス」はかなり限定的な病態を指す言葉としてしか使われていないのが現状である。
本書は,経験豊富な著者の知見および海外の報告を基に,腸閉塞を定義・分類し直し,各疾患の概念から,病態,疫学,診断,治療,手技に至るまで,豊富なデータや明快なイラストとともに詳しく解説。日本における腸閉塞の概念を改める内容となっている。
自身の知識を整理・アップデートし,病態に応じたdecision makingに生かしてほしい。

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序文

序文

「言葉」は時代とともに変化する。そしてその変化をよしとする考え方を,医学にも当てはめようとする傾向がある。一方,医学辞書を編纂し,言葉の定義をきっちりとしようとする医学もある。どちらが,これからの医学にとって好ましいであろう。

言葉は,変化してよい,通じればよいとするのは,科学以外の一般生活でのことと考えるのが正しいと筆者は考える。厳密な言葉の定義を否定すると,その言葉を使用した医学データが希薄なものとなり,データとしての価値がなくなるのは明らかであろう。

日本の医学が,世界でも珍しく母国語である「日本語」で学ぶことができ,完結していることについては,先人たちの努力に感謝するとともに,その重要度を認識する必要がある。グローバルな時代となり,医学用語も世界的に定義を統一することが望ましいが,少なくとも外科学はまだそのレベルに達していない。日本語で確立されていない医学英語の定義を新たにすることは,重要であるが難しいとされてきた。

解剖学名・病名などの名称が定義されないまま20世紀が過ぎ,さらに,口語としての日本語がいつの間にか変化するように,外科学用語も,20世紀では変化が定義の前に進んでいった。結果,いままで蓄積した多くの論文が,用語の定義がないまま出版されたため,メタ分析に適しないものとなっている。それでも日々多くのメタ分析が,根底を流れるべき医学用語の定義に言及しないまま流出している。

21世紀は,医学を定義する世紀である。言葉の意味を正し,定義していくことが, 21世紀の外科学が進むべき道であろうと,筆者は常々思い,記載してもきた。母国語で独自の医学を築き上げてきた日本の医学界が,用語を定義し,世界に向けて発信することが,今世紀の急務ではないか,と。

これらが改善されれば,日本のビッグデータの集積が,この先の医学の進歩を牽引する動力になる。そう信じて,本書をかたちにした。

最後に,いつも私のつたない鉛筆書きの図を美しい図に変えてくださる青木出版工房の青木 勉氏に絶大な御礼を申しあげます。

また今回,本書を上梓する機会を与えてくださったメジカルビュー社の宮澤 進氏,編集をしてくださった山田麻祐子氏に感謝いたします。


2017年2月

ひと足早い房総の春風を感じながら
亀田総合病院消化器外科 三毛 牧夫

目次

Ⅰ.腸閉塞症の考え方

A. small bowel obstruction(SBO)とlarge bowel obstruction(LBO),そしてpostoperative ileus(POI)とは何か

B. postoperative ileus(POI)

  歴史/生理的POIの定義/病(理)的POIの定義/胃腸管の生理学,病理学/POIの頻度/POIの発生因子/臨床特徴/診断/POIの治療/POI の予防対策

C. small bowel obstruction(SBO)

  病態生理学/言葉の定義と定量化/頻度と原因/臨床像/診断/SBO の鑑別診断/他の疾患との鑑別診断/病因の各論/初期管理/外科的診査の適応とそのサイン/非手術的管理の試み/腹膜癒着防止方法

D. large bowel obstruction(LBO)

  病態と言葉の定義/頻度と原因/臨床症状/診断/鑑別診断/初期治療

E. 腸閉塞症をきたす疾患

a 外因性腸閉塞症(extrinsic bowel obstruction)

 1.悪性腸閉塞症(転移性腫瘍,MBO)

  terminal stageの患者に対するdecision making/経過観察期間/MBOの原則/治療

  附:切除不能悪性胃十二指腸閉塞に対する治療

  手術,ステントの適応/治療前の準備/姑息的手術/ステント留置

 2.腸捻転症

  小腸捻転症/結腸捻転症

 (1)S状結腸捻転症

  疫学/病理発生/危険因子/臨床像/診断/鑑別診断/治療/予後

 (2)盲腸捻転症

  疫学/病態生理学/臨床的特徴/診断/治療

 3.ヘルニア

  分類と疫学/診断と処置/保存的治療/外科治療/考察

 4.SMA症候群(superior mesenteric artery syndrome)

  解剖/疫学/危険因子/臨床評価/診断検査/保存的療法/外科的管理/合併症

b 腔内性腸閉塞(intraluminal bowel obstruction)

 1.腸重積症

  病態/疫学/症状/診断/治療/考察

 2.胆石SBO

  疫学/病因/臨床症状/診断/治療

c 内因性腸閉塞(intrinsic bowel obstruction)

 1.大腸吻合部狭窄

  危険因子/管理/結果

 2.閉塞性大腸炎

  病因と疫学/発生のメカニズム/臨床症状/診断/病理/治療/考察

 3.消化管偽性閉塞症

 (1)急性結腸偽閉塞症(acute colonic pseudo-obstruction;ACPO)

  定義/疫学/病因および発生機序/臨床所見/診断/鑑別診断/管理/予後

 (2)急性偽性腸閉塞症(acute intestinal pseudo-obstruction;AIPO)

  定義/診断/鑑別/治療

 (3)慢性偽性腸閉塞症(chronic intestinal pseudo-obstruction;CIPO)

  病因/疫学/臨床特徴/診断/鑑別診断/病因の同定/治療/外科手術/予後

 (4)慢性大腸偽性閉塞症(chronic colonic pseudo-obstruction;CCPO)

  定義および病因/病因と概念/臨床特徴/診断/鑑別診断/治療

  附:中毒性巨大結腸症(toxic megacolon)

  疫学/病因/発生機序/病理/臨床症状/診断/放射線学的検査/臨床検査/内科的治療/外科治療/結果

 4.慢性放射線性腸炎の診断

  放射線障害/晩期障害の実態/症状/診断/保存的治療/外科的治療へのアプローチ

d その他のSBO,LBOの原因

  炎症性疾患と虚血(外因性・内因性腸閉塞症)/外傷性腹腔内血腫(腔内性腸閉塞症)/脾症(外因性腸閉塞症)/胃腸管の先天的異常(外因性腸閉塞症)/異物 回虫によるSBO(腔内性腸閉塞症)

Ⅱ.外科治療(SBOとLBOに対する外科治療)

a SBOの手術療法

  開腹/腸管切除−再灌流障害と減圧−/腸瘻造設術および人工肛門造設術/バイパス術

b LBOの手術療法

  腸管前処置/経肛門的long intestinal tube留置による減圧/LBOの治療の考え方

c 合併症と死亡率

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書籍情報

  • ISBN:9784758315258
  • ページ数:212頁
  • 書籍発行日:2017年3月
  • 電子版発売日:2021年1月8日
  • 判:B5判
  • 種別:eBook版 → 詳細はこちら
  • 同時利用可能端末数:3

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