臨牀消化器内科 2020 Vol.35 No.3 大腸ESDの工夫

  • ページ数 : 112頁
  • 書籍発行日 : 2020年2月
  • 電子版発売日 : 2021年3月5日
¥3,300(税込)
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商品情報

内容

特集「大腸ESD の工夫」

大腸ESD におけるトラクションや剥離方法,偶発症の予防法など,安全な治療のためのエッセンスを網羅するよう,開発者や使用経験の豊富な各施設のエキスパートの先生方に実際の使用法などを詳細に解説していただいた。(編集後記より抜粋)

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序文

巻頭言

内視鏡的粘膜下層剝離術(ESD;endoscopic submucosal dissection)が臨床導入されて,現在一般化しつつある.ESD の黎明期には,胃のESD ですら,日本消化器内視鏡学会の主題に取り上げるのは「リスクの高い手技ということで時期尚早である」とプログラム委員会で話し合われていたことを思い出すと隔世の感がある.内視鏡機器,各種のデバイスの開発,技術の進歩によって,手技の安全性や有用性が証明され,まず胃ESD が2006 年に,引き続いて食道ESD が2008 年に,そして,遅れて2012 年には大腸ESD も保険適用になり,保険診療のもとで全国の多くの施設で施行されている.

2012 年に保険適用となった大腸ESD の適応は「早期悪性腫瘍大腸粘膜下層剝離術」であり,腺腫などの良性腫瘍は適応ではないことに留意すべきである.すなわち,術前診断が,腺腫の場合はESD の保険適用とはならない.なお,最大径が2 cm から5 cm の術前診断「悪性腫瘍」に対して,病変を含む範囲を一括で切除した場合に算定するとあるが,術前診断が早期癌であれば切除標本の最終病理診断が腺腫であっても算定される.しかし,このあたりの理解が不十分な内視鏡医も多くおられたように思う.2014 年4 月の診療報酬改定によって,大腸ESDの診療報酬が加算されるとともに,この点が明確にされた.具体的には,保険点数は18,370 点から22,040 点に増点され,適用は,① 径2 cm 以上の早期癌,② 線維化を伴う径2 cm 以下の早期癌,③ 径5~10 mm の神経内分泌腫瘍と明記されている.③ はさておいて,大腸ESD(早期悪性腫瘍大腸粘膜下層剝離術)の適応から大きさの制限がはずれたこと,そして,線維化を伴う病変(EMR;endoscopicmucosal resection,内視鏡的粘膜切除術による一括切除が不能)は径2 cm 以下でも適応となった.なお,切除病変が腺腫であった場合の対応については「大腸ESD/EMR ガイドライン」(日本消化器内視鏡学会編)1)と日本消化器内視鏡学会のホームページに以下のように記載されているのでその内容をよく理解したうえで診療の中で対応して頂きたい.

平成30 年度診療報酬改定で早期悪性腫瘍大腸粘膜下層剝離術の保険点数が見直され,それに伴った留意事項を以下に記載いたしましたので,お知らせいたします.―大腸ESD における腺腫と早期大腸癌の取り扱いについて―①  大腸ESD の保険適用病変は『大腸早期悪性腫瘍』であり,術前に内視鏡所見もしくは病理学的に早期大腸癌と診断されてESD を施行した場合にはESD として算定可能とされている.②  一方,術前に腺腫と診断された場合には,大きさ等に関わらずESD の算定は不可であり,EMR の算定となる.( 一般社団法人日本消化器内視鏡学会 薬事・社会保険委員会)

大腸ESD の難易度を規定する有意な因子は,内視鏡の操作性と高度線維化の存在で,病変の大きさではない2).ひだにまたがる大きな隆起性病変はしばしば高度な線維化を伴い,時に筋層が挙上し病変内に引き込まれている.内視鏡の操作性を改善させるデバイスとしては,バルーンオーバーチューブ3)が有用である.また,先端硬性部の短い操作性が良く反転が容易な細径大腸処置用内視鏡4)も開発されている.病変の牽引(トラクション)も剝離操作を容易にするうえで非常に有用であるが,現在,さまざまな工夫やデバイスの開発が進んでいる.さらに,新しい粘膜下層局注液の開発も進んでいる.

一方,高齢化社会の進んだ本邦においては,抗血栓薬内服患者も多く存在しており,大腸ESD を施行する際には注意が必要である.また,穿孔などの偶発症が起きた場合の縫縮法のコツとピットフォールを熟知しておくことも重要であるし,現在さまざまな工夫が報告されている.これらを熟知することは,大腸ESDを安全かつ効率的に施行するうえで必要不可欠である.

本特集は,そのあたりのコツや注意点について,第一線で大腸ESD を精力的に行っている専門医の先生が執筆されている.この特集号の内容が,明日からの実地臨床の即戦力となる情報となることを信じている.


田中 信治

目次

特集一覧

0 巻頭言

Editorial

田中 信治

Shinji Tanaka

1 ESD困難例に対する対応と工夫

New Strategies and Ideas for ESD Challenging Case

林 芳和

Yoshikazu Hayashi

2 ESDの出血高リスク症例に対する対応と工夫

The Management of Antithrombotic Agents for Patients Undergoing Colorectal Endoscopic Submucosal Dissection

坂田 資尚

Yasuhisa Sakata

3-1 トラクション (1) S‒Oクリップ

S—O clip

福嶋 浩文

Hirofumi Fukushima

3-2 トラクション (2) 糸付きクリップ

Clip with Line—assisted Colorectal Endoscopic Submucosal Dissection

朝山 直樹

Naoki Asayama

3-3 トラクション (3) Multi loop法

Usefulness of Multiloop (M—loop) Traction Method During Colorectal Endoscopic Submucosal Dissection

田沼 徳真

Tokuma Tanuma

3-4 トラクション (4) エンドトラック法

Method for the Colonic Endoscopic Submucosal Dissection using Endo Trac

阪口 博哉

Hiroya Sakaguchi

3-5 トラクション (5) Magnetic anchor法

Magnetic Anchor—guided ESD

松崎 一平

Ippei Matsuzaki

4-1剝離の工夫 (1) Water‒pocket法

The Efficacy of Water—pocket ESD in the Colorectum

原田 英明

Hideaki Harada

4-2 剝離の工夫 (2) トラクションデバイスを使用したpocket-creation methodの有用性

Usefulness of Pocket—creation Method with Applying Traction Device for Colorectal Endoscopic Submucosal Dissection

井出 大資

Daisuke Ide

4-3 剝離の工夫 (3) Multi‒Tunnel法

Effectiveness of Multi—Tunnel Method for Large Colorectal Tumors

港 洋平

Yohei Minato

5-1偶発症予防の工夫 (1) Clip on clip閉鎖法による縫縮

Clip on Clip Closure Method for Mucosal Defect after Colorectal Endoscopic Submucosal Dissection

野村 達磨

Tatsuma Nomura

5-2 偶発症予防の工夫 (2) 留置スネアによる縫縮

Endoscopic Suture Techniques for Large Defect of Endoscopic Submucosal Dissection Using Endoloop Snare and Metallic Clip

日原 大輔

Daisuke Hihara

5-3 偶発症予防の工夫 (3) Ring‒clipによる縫縮

Endoscopic Suturing Techniques for Large Defects after Endoscopic Submucosal Dissection Using Ring‒clip Method

吉井 新二

Shinji Yoshii

連載一覧

6 生検後に再発・増大した食道超微小癌の1例

Ultraminute Esophageal Squamous Cell Carcinoma, a Case of Recurrence after Biopsy

郷田 憲一

Kenichi Goda

内視鏡の読み方

Endoscopy

7-1 その1.学会発表と論文はどう違うの? …①

加藤 順

英語で論文を書くことの効能・・・学会発表だけじゃダメなんですか?

7-2 その1.学会発表と論文はどう違うの? …②

加藤 順

英語で論文を書くことの効能・・・学会発表だけじゃダメなんですか?

8 肝細胞癌(HCC)腫瘍マーカー

The Biomarkers for Hepatocellular Carcinoma

近藤 泰輝

Yasuteru Kondo

検査値の読み方

Laboratory Data

9 ラムシルマブ(サイラムザ®)―肝細胞癌への適用について

Ramucirumab (Cyramza®)

上嶋 一臣

Kazuomi Ueshima

薬の知識

Information of New Drugs

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書籍情報

  • ISBN:9784004003503
  • ページ数:112頁
  • 書籍発行日:2020年2月
  • 電子版発売日:2021年3月5日
  • 判:B5判
  • 種別:eBook版 → 詳細はこちら
  • 同時利用可能端末数:2

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