初めの一歩は絵で学ぶ 腫瘍学

  • ページ数 : 181頁
  • 書籍発行日 : 2015年4月
  • 電子版発売日 : 2021年5月14日
¥1,980(税込)
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商品情報

内容

知ってるつもりだった!?知らないままだった!?・・・
「がん」に関する素朴なギモンをここで解決!!


日本人の死因第1位のがんは、国が対策に取り組む医療の大きな問題です。しかし、がん(腫瘍)そのものや、日々進歩する治療について理解することはなかなか難しいのが実情です。
本書は、がんに関する素朴な疑問に答えながら、がんがどのようにできてくるのか、なぜ治療が難しいのか、診断や治療にはどのようなものがあるのか、治療薬はどのような作用で効果を発現するのかといったことを、読みやすい文章とそれを補足するわかりやすいイラストで解説します。また、がん治療にかかわる様々な取り組みやサポート体制についても解説します。
がんはチームで診療にあたる疾患です。医師、薬剤師、看護師のみならず、がん診療に関わる全医療従事者に読んでいただきたい1冊です。

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序文

はじめに


本書は医学・薬学・看護学などの医療系学生や若い医療者向けの入門書である「初めの一歩は絵で学ぶ」シリーズに含まれます。これまで「生化学」「解剖生理学」「微生物学」「薬理学」と発刊されてきましたが,主に基礎医学分野でした。「腫瘍学」は初めて臨床的な内容の多い本となります。もちろん基礎と臨床はそれぞれ異なるものではありません。基礎を学ぶときは臨床でどのように応用されるかを考え,臨床では基礎を振り返って知識を新たにすることが大切です。本書では薬学生と看護学生の2人と問答しながら教える形式で,左ページに文章,右ページにイラストを配置して,見開きで1項目が完結するように仕上げてあります。

内容は,がんの疫学・発がんのメカニズム・診断・治療(総論)・薬物療法・がん治療の難しさ・がん対策・患者さんのサポート,の全8章から構成されています。腫瘍学の広範な内容をコンパクトにまとめるのは難しかったですが,私が腫瘍内科医であることから,がんの薬物療法・支持療法・緩和ケアに関係した分野について詳しく述べています。

日本人の3人に1人ががんで亡くなり,2人に1人が何らかのがんになる時代です。肺がん・胃がん・大腸がん・乳がん・肝がんは5大がんと呼ばれ,日本では数の多いがんです。ほかにも胆道がん・膵がん・造血器腫瘍などもよくみられます。有名人ががんを発症したニュースがよく流れます。読者のみなさんのご家族や親戚,友人・知人の中にもがんになった人がいると思います。「がん=死」というイメージがあるかと思いますが,がんが完治して元気に暮らしている方も多くいます。一方,発見時にすでに進行していたり,手術後に再発する方も多いです。本書を手にする人は,がんという病気を少しでも理解して,どのように対応するのかを知って,医療者として患者さんやご家族により良い医療・ケアを提供したいという願いがあると思います。

患者さんや家族が求めるものは何でしょうか。医学的知識も必要ですが,それと同じくらい大切なことがあります。患者さんは,がんという病気のこと自体がよくわからないのに,これからいったいどうしたらよいのか,途方に暮れているのではないでしょうか。ましてや,そこで矢継ぎ早に検査や治療のこと,さらには余命まで告げられたら,パニックにならないほうがおかしいくらいです。実は,がんと告げられても,慌てる必要はなく,家族や周囲の人と語り合い,自分の過去・現在・未来に思いを馳せ,人生を考える絶好の機会ととらえることができるのです。この点は,一瞬にして意識がなくなるような心臓・脳血管系の病気と違うところです。人は必ず何らかの原因で亡くなります。不慮の事故と比べれば,「がんでよかった」とも考えられます。自分は何がしたいのか,何を人生で残したいのかを真剣に考える機会ととらえ,その希望を家族や医療スタッフに伝えることが大切です。そしてみんなで患者さんの希望が叶うようにチームで応援したいものです。

がん薬物療法(がん化学療法)は腫瘍放射線治療とともに米国では従事者の多い専門分野ですが,日本では両分野ともマンパワー不足です。日米の医療制度や医療文化の違いを反映しているのかもしれませんが,患者さんのために何がより良いのかを考える時代が来ていると思います。そのためにも日進月歩のがん医療を生涯学び続け,自分に何ができるのかを1人ひとりが自らに問いかけていくべきではないかと考えます。本書がそのきっかけになれば著者として望外の幸せです。

本書ができあがるまでには,株式会社ビーコムの島田栄次氏,株式会社じほうの南友美子氏にたいへんお世話になりました。医学的な内容に関しては金沢大学がん進展制御研究所腫瘍制御研究分野の源利成教授に詳しく校閲していただきました。患者さんのサポートに関する執筆では,金沢医科大学腫瘍内科学講師の久村和穂先生に協力いただきました。心より感謝いたします。


2015年4月吉日

金沢医科大学にて 元雄 良治

目次

Introduction ようこそ腫瘍学講座へ

第1章 がんの疫学

1-1 がんと日本人

1-2 男女差と「がん年齢」

1-3 がんのできやすいところ、できにくいところ

1-4 どんな人ががんになりやすいのか

第2章 がんとは何か?―がん発生のメカニズム

2-1 「がん」…その歴史と由来

2-2 正常な細胞と遺伝子の働き

2-3 がん発生の過程

2-4 細胞増殖のアクセル(がん遺伝子)

2-5 細胞増殖のブレーキ(がん抑制遺伝子)

2-6 がんの構造

2-7 がん細胞の活発な活動

2-8 目に見えるまでどのくらいかかる?

2-9 固形がんと血液がんの違いとは

2-10 がんは遺伝するの?

2-11 がんはなぜ再発するの?

2-12 加齢とがん

2-13 感染症とがん

2-14 生活習慣とがん

第3章 がんの診断

3-1 がんに初発症状はあるの?

3-2 画像診断

3-3 内視鏡検査

3-4 病理診断

3-5 血液検査

第4章 がんの治療

4-1 がんのさまざまな治療法

4-2 外科手術

4-3 薬物治療(がん化学療法)の歴史

4-4 放射線治療

4-5 内視鏡治療

4-6 免疫療法(1)免疫力を強化して治療する療法

4-7 免疫療法(2)分子標的薬

4-8 サイトカイン療法

4-9 がん治療を支える漢方

4-10 緩和ケア(1)定義と導入時期

4-11 緩和ケア(2)実践

4-12 研究開発中の治療

第5章 がんの薬物治療

5-1 抗がん剤治療(化学療法)とは―がん化学療法の原理

5-2 細胞分裂を阻害する抗がん剤

5-3 DNA合成を止める抗がん剤(1)

5-4 DNA合成を止める抗がん剤(2)

5-5 DNA合成を止める抗がん剤(3)

5-6 なぜ多剤併用療法が行われるのか―Goldie & Coldmanの理論

5-7 なぜ分子標的治療が生まれたのか?

5-8 増殖因子と分子標的薬

5-9 腫瘍血管をターゲットにした分子標的薬

5-10 ホルモン療法

5-11 抗がん剤を手術前にも使う?

5-12 手術後の抗がん剤治療

5-13 遺伝子の違いと効果・副作用の関係

第6章 がん治療のむずかしさ

6-1 なぜがん治療は困難なのか

6-2 がんはなぜ転移するの? 転移しやすい臓器とは?

6-3 転移しても原発巣を治療する理由

6-4 臓器別悪性度の違い

6-5 抗がん剤による副作用の発生機序

6-6 各副作用はどんな薬剤(系統)に多いのか?

6-7 支持療法とは

6-8 がんはなぜ痛くなるのか

6-9 薬が途中で効かなくなる薬剤耐性(メカニズム)

第7章 がん対策の取り組み

7-1 エビデンスを「つくる、つたえる、つかう」とは?

7-2 臨床試験とは?

7-3 診療ガイドラインとは?

7-4 がん登録とは?

7-5 がんプロとは?

7-6 がん診療連携拠点病院とは?

7-7 キャンサーボードとは?

7-8 集学的治療とは?

第8章 がん患者と家族のこころとくらしのサポート

8-1 余命ってわかるんですか?

8-2 がん治療はどれくらいのお金がかかるのか?

8-3 がんになっても仕事は続けられますか?

8-4 セカンドオピニオンについて

8-5 医療者と患者・家族との信頼関係

8-6 がんになっても自分らしく生きるには

8-7 認知症患者ががんになったら

8-8 がん医療における「なおし」と「いやし」

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書籍情報

  • ISBN:9784840746533
  • ページ数:181頁
  • 書籍発行日:2015年4月
  • 電子版発売日:2021年5月14日
  • 判:A5判
  • 種別:eBook版 → 詳細はこちら
  • 同時利用可能端末数:3

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