臨牀消化器内科 2021 Vol.36 No.6 消化器内科医のためのIgG4 関連疾患

  • ISBN : 9784004003606
  • ページ数 : 118頁
  • 書籍発行日 : 2021年5月
  • 電子版発売日 : 2021年5月19日
  • 判 : B5判
  • 種別 : eBook版 → 詳細はこちら
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¥3,300 (税込)
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商品情報

特集「消化器内科医のためのIgG4 関連疾患」

 IgG4 関連疾患は,わが国で提唱された比較的新しい疾患概念である.血中IgG4 高値とIgG4 陽性形質細胞浸潤を特徴とする.疾患概念の普及とともに,臨床医も多くのIgG4 関連疾患に遭遇するようになってきた.(編集後記より抜粋)

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■ 序文

巻頭言

神澤 輝実


膵臓に腫瘤を形成する腫瘤形成性膵炎は,膵臓癌と誤診しやすい特殊な膵炎として以前から報告されていた.東京都立駒込病院病理科のKawaguchiらは,腫瘤形成性膵炎切除例の病理組織学的検討より,密なリンパ球と形質細胞の浸潤と線維化を特徴とするlymphoplasmacytic sclerosing pancreatitis(LPSP)という概念を1991年に提唱した1).東京女子医科大学のTokiらはびまん性膵腫大とともに膵管狭細像を呈する“膵管狭細型膵炎”という特殊な慢性膵炎を1992年に報告し2),1995年には同大学のYoshidaらが,高グロブリン血症と自己抗体が陽性でステロイドが著効した膵管狭細型膵炎例において発症に自己免疫の関与が推定されることより自己免疫性膵炎の概念を提唱した3).その後2001年には,自己免疫性膵炎患者では血中IgG4値が上昇することが報告された4)

われわれは,自己免疫性膵炎患者の血中IgG4値の上昇の要因を探るために,イギリスから抗IgG4抗体を取り寄せて自己免疫性膵炎の切除検体において免疫染色を行ったところ,膵臓に著しいIgG4陽性の形質細胞の浸潤を認めた.また,自己免疫性膵炎患者に合併した胆管狭窄,唾液腺腫大,涙腺腫大,後腹膜腫瘤の組織にも,多数のIgG4陽性形質細胞とTリンパ球の浸潤と線維化を認めた.さらに胃,大腸,肝臓,皮膚,骨髄,リンパ節に多数のIgG4陽性形質細胞の浸潤が認められたことより,われわれは全身諸臓器にTリンパ球とIgG4陽性形質細胞の密な浸潤を呈するIgG4が関連する全身性疾患という新しい疾患の概念を2003年に提唱した5).線維化と閉塞性静脈炎を生じる膵,胆管,胆囊,唾液腺,後腹膜などにおいて臨床徴候を呈し,自己免疫性膵炎は本疾患の膵病変であると考えた6)

Yamamotoらはミクリッツ病患者では血中IgG4値が上昇することを2004年に報告し7),2006年にはミクリッツ病はIgG4‒related plasmacytic disease であると論じた8).その後,国内では厚生労働省の研究班が組織され,さらに国際シンポジウムも開催され,本疾患はIgG4関連疾患として広く認知されるようになった.

自己免疫性膵炎の診断基準は2002年に世界で初めて作成され9),それをもとに2003年に行われた全国疫学調査では年間推定受療者数は900人10)であったが,2016年の第4回目の全国調査では13,436人と著しく増加した11).この増加傾向の要因としては,疾患概念の普及と診断基準の改良が挙げられる.自己免疫性膵炎の診断においては膵臓癌との鑑別が最も重要であり,限局性膵腫大例の診断にはERPが必須であったが,2018年の4回目の改訂ではMRCPの所見やEUS‒FNAによる癌の否定所見などの組み合わせによりERPなしでも診断できるようになった12).現在,診療ガイドラインの3回目の改訂が行われている.

自己免疫性膵炎の約半数にIgG4関連硬化性胆管炎を合併し,その多くは下部胆管狭窄を呈する.一方,IgG4関連硬化性胆管炎の84%に自己免疫性膵炎を合併する13).IgG4関連硬化性胆管炎の診断基準は2012年に作成され14),現在改訂作業中であり,診療ガイドラインは2019年に作成された15).狭窄部以外の胆管壁にも肥厚が見られるのが特徴であるが,肝門部~肝内胆管に狭窄を呈する例では,原発性硬化性胆管炎(PSC)や胆管癌との鑑別が問題となる.その他のIgG4関連の消化器疾患としては,IgG4関連自己免疫性肝炎,IgG4関連胆囊炎およびIgG4関連消化管病変が挙げられる.

IgG4関連疾患の治療は,ステロイドの内服治療が標準療法であるが,ステロイド減量中や中止後にしばしば再燃が起こり,ステロイドによる維持療法が長期に必要な例も少なくない.欧米では,再燃例にリツキシマブの有用性が報告されているが,本邦では保険適用になっていない.

消化器医が日常診療においてIgG4関連疾患に遭遇する機会が増えており,本特集がIgG4関連疾患の理解を深める一助になることを願っている.


Terumi Kamisawa
がん・感染症センター都立駒込病院(内科)(〒113‒8677 東京都文京区本駒込3‒18‒22)


文献

1) Kawaguchi, K., et al.:Hum. Pathol. 22;387‒395, 1991

2) Toki, F., et al.:Endoscopy 24;640, 1992

3) Yoshida, K., et al.:Dig. Dis. Sci. 40;1561‒1568, 1995

4) Hamano, H., et al.:N. Engl. J. Med. 344;732‒738, 2001

5) Kamisawa, T., et al.:J. Gastroenterol.38;982‒984, 2003

6) Kamisawa, T., et al.:Am. J. Surg. Pathol.28;114, 2004

7) Yamamoto, M., et al.:Scand. J. Rheumatol.33;432‒433, 2004

8) Yamamoto, M., et al.:Mod. Rheumatol.16;335‒340, 2006

9) 日本膵臓学会:膵臓 17;585‒587,2002

10) Nishimori, I., et al.:J. Gastroenterol.42;6‒8, 2007

11) Masamune, A., et al.:J. Gastroenterol. 55;462‒470, 2020

12) 日本膵臓学会・厚生労働科学研究費補助金(難治性疾患等政策研究事業)「IgG4関連疾患の診断基準並びに治療指針の確立を目指す研究」班:膵臓 33;902-913,2018

13) Tanaka, A., et al.:J. Hepatobiliary Pancreat.Sci. 2020 doi:10.1002/jhbp.793. Online ahead of print.

14) 厚生労働省IgG4 関連全身硬化性疾患の診断法の確立と治療方法の開発に関する研究班,厚生労働省難治性の肝胆道疾患に関する調査研究班,日本胆道学会:胆道 26;59-63,2012

15) Kamisawa, T., et al:J. Hepatobiliary Pancreat.Sci. 26;9-42, 2019

■ 目次

特集 消化器内科医のためのIgG4関連疾患

巻頭言/神澤 輝実

1.IgG4関連疾患の概念と診断基準/梅原 久範 他

2.IgG4関連疾患の発生機序/内田 一茂 他

3.IgG4関連膵胆道疾患の病理/谷川 雅彦,福嶋 敬宜

4.自己免疫性膵炎

(1)疫学/菊田 和宏,正宗 淳 他

(2)診断体系/平野 賢二

(3)US, EUS, ERCP/吉田 将大,水野 伸匡 他

(4)CT, MRI/轟 圭介,藤永 康成 他

5 .IgG4 関連硬化性胆管炎

(1)疫学/清水 晃典,田妻 進

(2)診断/植木 敏晴 他

6.IgG4関連疾患の治療/西野 隆義 他

7.自己免疫性膵炎・IgG4 関連硬化性胆管炎の予後/窪田 賢輔 他

8.IgG4関連自己免疫性肝炎/田中 篤

9.IgG4関連胆囊疾患/萱原 正都

10.IgG4関連消化管病変/能登原憲司 他

〔連 載〕

内視鏡の読み方 好酸球性食道炎の臨床画像所見/小田 丈二 他

検査値の読み方 アルコール性肝硬変に合併した膵性腹水の1例/三井 有紗,葛谷 貞二 他


前号ご案内

次号予告

編集後記/杉山政則

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