医学のあゆみ269巻9号 レクチン医学最前線

  • ページ数 : 120頁
  • 書籍発行日 : 2019年6月
  • 電子版発売日 : 2021年6月16日
¥2,640(税込)
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内容

レクチン医学最前線
企画:山本一夫(東京大学大学院新領域創成科学研究科先端生命科学専攻)


・レクチンの定義に関する論文が『Nature』誌に掲載されたのは1980年代のことである.当時はまだ知名度も低く,レクチンが認識する糖鎖の生物学的意義に関しても知見は乏しかった.
・その後,免疫系にC型レクチン受容体の遺伝子が見出され,リガンドの特定と機能が明らかになるにつれて,レクチンの意義が注目されるようになった.現在では,さまざまな分野の研究者がこの領域に参画している.
・レクチンは教科書ではあまり触れられていないが,臨床では癌などの診断に活用されるなど決して遠い存在ではない.本特集では,今後レクチン研究がどのように進展するかを概説し,他の研究分野との連携を考察する.

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序文

はじめに


山本一夫

東京大学大学院新領域創成科学研究科先端生命科学専攻


5名の著明なレクチン研究者の連名でレクチンの定義に関する記事が『Nature』誌に掲載されたのは1980年のことである.当時はまだ知名度も低く,レクチンが認識する糖鎖の生物学的意義に関しても知見は乏しかった.その後,免疫系に数多くのC型レクチン受容体の遺伝子が見出され,リガンドの特定と受容体の機能が徐々に明らかになるにつれて,レクチンの意義が注目されるようになった.ほかにも,ウイルスや細菌の感染にはレクチン受容体を介して宿主細胞に結合することが必須であったり,成長因子やケモカインなどの共受容体としてGAG鎖が機能するなど,レクチンという定義を越えて糖鎖認識分子の重要性が多くの研究者に認知されるようになった.

細胞内のシグナル伝達はミリ秒という非常に速い反応であり,蛋白質のリン酸化やカルシウムイオンの流入などにより制御されている.一方,広範な細胞間コミュニケーションという長いタイムスパンの情報伝達には,化学的に安定な糖鎖とレクチン受容体を介したシグナル伝達が多用されている.糖鎖は安定であるがゆえに迅速な変化に対応する方策も必要であり,受容体のクラスター化と解離でシグナルのon/offを制御したり,糖鎖の微小不均一性(microheterogeneity)などに象徴される.

このような背景のもと,さまざまな分野の研究者がこの領域に参画するようになり,現在ではレクチンを介する機能制御の試みが果敢に挑戦されている.そこで,「レクチン医学最前線」というテーマで,臨床に向けた応用から基礎研究に至るまで,それぞれの最前線で活躍されている先生方に先駆的な研究を紹介していただくことを企画した.

レクチンに関する記述はいまだに教科書ではほとんど触れられていないが,臨床では抗体やレクチンを用いた糖鎖マーカーの追跡が癌の診断に多用されるなど,レクチンはけっして遠い存在ではない.本特集が,今後レクチン研究がどのような方向に進展しようとしているのかを知り,ほかの研究分野とどのようなコラボレーションが可能かを模索していただきたく,医学に携わる先生方との接点を持つ一助になることを強く願っている.

目次

総論

レクチンの未来―自然に学ぶ時代から医工学利用に向けたエンジニアリングの時代へ……平林 淳

レクチンの臨床に向けたアプローチ

レクチンによる糖鎖標的膵癌治療の開発……小田竜也・他

膵がん糖鎖バイオマーカーとしてのフコシル化ハプトグロビンの臨床応用……三善英知

新たなモダリティーとしてのレクチン‒薬剤複合体の創出……舘野浩章

レクチンの口腔ケア製剤への利用応用……今村幸治

C型レクチン受容体Dectin‒1による腸管免疫の制御……矢部力朗

鳥インフルエンザウイルスヘマグルチニンのレセプター特異性と宿主伝播……岡松正敏

糖鎖を標的とした工学的アプローチ

蛋白質ナノブロックによるレクチン超分子複合体の創出戦略……入間川 伸・新井亮一

ボロノレクチンを利用したバイオエンジニアリング……松元 亮・宮原裕二

非蛋白性合成レクチンを用いた糖認識バイオマテリアル……中川泰宏・荏原充宏

アントラキノン‒レクチンハイブリッド分子による標的糖蛋白質の選択的光分解―肝がん関連糖蛋白質AFP‒L選択的光分……高橋大介・戸嶋一敦

レクチンを標的とした工学的アプローチ

改変レクチンの創出……山本一夫

糖鎖高分子およびナノゲルによるレクチン機能材料の開発……三浦佳

感温性微粒子を用いたグルコースセンシング……菊池明彦

レクチンの新たな視点

レクチンとしての繊維芽細胞増殖因子……浅田眞弘

C型レクチン受容体のリガンド認識と免疫調節機構……豊永憲司・山﨑 晶

レクチン‒糖鎖相互作用の物理化学的理解

レクチンの糖鎖認識とは……山口芳樹

レクチンの複数の糖結合部位の親和性解析―セレン糖鎖とX線結晶構造解……加藤龍一

核磁気共鳴分光法と分子動力学計算を通じて観る糖鎖の動的構造とレクチンの糖鎖認識の理解……矢木宏和・他

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書籍情報

  • ISBN:9784006026909
  • ページ数:120頁
  • 書籍発行日:2019年6月
  • 電子版発売日:2021年6月16日
  • 判:B5判
  • 種別:eBook版 → 詳細はこちら
  • 同時利用可能端末数:3

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