その患者、FHかもしれませんよ?~家族性高コレステロール血症とわかれば、治療と予後がこんなに変わる!

  • ページ数 : 136頁
  • 書籍発行日 : 2021年4月
  • 電子版発売日 : 2021年6月23日
¥4,180(税込)
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商品情報

内容

プロ直伝FH診断・治療のエッセンス

なぜFHを見逃してしまうのか?なぜ見逃してはいけないのか?なぜ診断が難しいのか?FHと診断したらどう治療したらよいのか?そんな疑問を解消できる一冊。本書に込められた家族性高コレステロール血症診断のヒントを明日からの診療に活かして、患者の未来を変えよう。
*都合により,紙版の誌面と異なり割愛される箇所があることがございます(p.78 図は未収載となっております).

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序文

はじめに ―「FHを診たことがありません」

家族性高コレステロール血症をご存知でしょうか? 英語ではfamilialhypercholesterolemiaと表記しFHと省略されます。読んで字のごとく遺伝性疾患です。PCSK9阻害薬の発売当初、全国のさまざまな地域で講演させていただく機会がありました。その情報交換会の席で、某循環器ハイボリュームセンターの部長先生から「長年、循環器内科医をやっていますが、わたしはFHを診たことがありません」と言われました。わたしは雷に打たれたような衝撃を受けました。臨床経験が豊富なベテランの先生が、「一度も診たことがない」のは「見逃しているだけ」と断言できるからです。この時、循環器内科医だけでなく、広く一般臨床医にFHを認知していただく必要があると痛感しました。

「遺伝性疾患」というと「希少疾患」というイメージをもたれるかもしれません。しかし、FHは遺伝性疾患の中では最多で、最近の報告によるとその頻度は全世界的に「約250~300人に1人」と考えられています。小学生以来の同級生の中にも何人かいたでしょうし、全国の医学部6学年の中に2人はいる計算になります。循環器内科や代謝内科の患者の中での頻度はもっと多いでしょう。最新の報告では、わが国の急性冠症候群の「12.5人に1人」がFHと考えられています。先の循環器ハイボリュームセンターには、少なく見積もって年間数人から十数人の新規FHが受診しているはずです。

それではなぜFHを見逃してしまうのでしょうか? なぜ見逃してはいけないのでしょうか? FHを診断することは難しいのでしょうか? FHと診断したらどう治療したらよいのでしょう? さまざまな疑問をもたれるでしょう。誰でも最初は自信がもてないものです。でも心配いりません。なぜなら、普通に診療している先生ならちょっと注意するだけで、年間5例くらいのFHを経験できるからです。その家族の中にもFHはいますので、芋づる式に年間十数例以上のFHを経験することができるでしょう。どの疾患でもそうですが、100例も経験すれば自信をもって診療できるようになります。

この本を手に取られた先生が、FHを見逃さないように、自信をもって診療できるように、そして先生方が診られた患者が不幸な転帰をとらないように。そのお手伝いができれば、著者としてこれ以上の喜びはありません。


2021年2月

川尻剛照

目次

【第1章】FHを知ろう

1.なぜFHを見逃してしまうのか?

2.FHは他の脂質異常症とどこが違うのか?

3.なぜFHを見逃してはいけないのか?

【第2章】FHの病態

1.コレステロールとリポ蛋白代謝

2.LDL受容体と肝細胞内コレステロール

3.FHの原因遺伝子・遺伝子解析

4.FHの遺伝子解析の問題点

5.多因子FH

6.そもそもFHとは

【第3章】FHを診断しよう

1.FHのコレステロール値はどのくらい?

2.FHの頻度はこんなに高い

3.FHの診断基準

4.わが国のFHの診断基準

5.さまざまなFHの診断基準

6.FHホモ接合体の病態

7.重症FHという考え方

8.FHの病歴聴取のポイント

9.二次性脂質異常症鑑別のポイント

10.FHかどうか迷ったらどうするか?

11.FHの鑑別疾患

【第4章】FHの身体所見

1.黄色腫の好発部位を知ろう

2.アキレス腱の触診方法

3.手背伸筋腱の診察方法

4.HoFHの黄色腫

5.FHの角膜輪

6.FHの鑑別疾患(シトステロール血症、脳腱黄色腫症)

7.アキレス腱X線撮影方法および計測法

8.アキレス腱のその他の定量法

【第5章】FHと動脈硬化

1.LDLは動脈硬化の原因物質

2.FHはLDLと冠動脈硬化症の関係を証明するモデル疾患

3.FHの冠動脈硬化の特徴

4.FHの大血管疾患の特徴

5.FHの弁膜症の特徴

【第6章】FHのコレステロール低下療法

1.FH治療の目的

2.FHのLDL-C管理目標値 わが国のガイドラインから

3.FHのLDL-C管理目標値 その他のガイドライン

4.FHの治療開始時期

5.わたしのHeFH治療の考え方

6.スタチン

7.NPC1L1阻害薬

8.胆汁酸吸着レジン(陰イオン交換樹脂)

9.FHのための薬 PCSK9阻害薬

10.LDLアフェレシス

11.HoFHの治療薬 MTP阻害薬

12.HoFH治療の実際

13.HoFHの特殊治療 生体肝移植

14.近未来のコレステロール低下療法

【第7章】FHの非薬物療法

1.生活習慣の改善は大切

2.高コレステロール血症治療は、意外にもカロリー制限から

3.脂肪制限も大切

4.やっぱりコレステロール制限も必要

5.わたしの食事指導の実際

6.FHにとって生涯禁煙はあたり前

7.FHの運動療法

【第8章】FHにまつわる諸問題

1.小児FHについて

2.妊娠・授乳中の女性FHの治療

3.HoFHの指定難病申請

<Column>

1.シマウマを見逃さない

2.古代中国の伝説の名医 扁鵲

3.近親婚を見逃してはいけない

4.アキレス腱触診のコツ

5.アキレス腱鞘炎を訴える患者

6.アキレス腱厚の診断基準はどうして「9mm」?

7.「相関」と「因果関係」は違う

8.遺伝学が教えるコレステロール低下療法の意義

9.FHは脳梗塞に罹患しないのか?

10.全身の動脈硬化が進行したHeFHの一例

11.HDL-Cは動脈硬化の「負」の危険因子

12.脂質低下薬を内服中のためLDL-C基礎値がわかりません

13.スタチン開発の裏話

14.スタチン不耐

15.スタチンの多面的薬理作用

16.スタチンが脳出血を増やすのは本当ですか?

17.スタチン増量と他剤併用、どっちが正しい?

18.Lp(a)と動脈硬化症

19.PCSK9阻害薬を処方するために

20.PCSK9阻害薬の効果が乏しいのですが

21.LDLアフェレシス治療の実際

22.LDL-C値に下げ過ぎはあるか?

23.高トリグリセライド血症の治療

24.コレステロールかトリグリセライドか?それが問題だ。

25.遺伝子治療の暗い過去

26.日本人とハンバーガーと食育と

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書籍情報

  • ISBN:9784840475464
  • ページ数:136頁
  • 書籍発行日:2021年4月
  • 電子版発売日:2021年6月23日
  • 判:B5判
  • 種別:eBook版 → 詳細はこちら
  • 同時利用可能端末数:3

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