医学のあゆみ265巻1号 がん抗体医薬の新展開-新規分子による創薬・治療から副作用対策まで

  • ページ数 : 120頁
  • 書籍発行日 : 2018年4月
  • 電子版発売日 : 2021年7月14日
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内容

がん抗体医薬の新展開-新規分子による創薬・治療から副作用対策まで
畠 清彦(国際医療福祉大学三田病院血液内科.同悪性リンパ腫・血液腫瘍センター)


 2000年に2つの抗体医薬が日本で承認,発売されて,抗がん剤治療は大きく進歩した.B細胞性リンパ腫に対するCD20抗体医薬rituximabと,Her2陽性乳がんに対するtrastuzumbである.これらの薬剤は奏効率20%の向上,無増悪生存期間の延長,QOLの向上,全生存率20%の向上などの著明な改善をもたらした.続いて転移性大腸がんにおいて,5-FU/LVというフッ化ピリミジンを中心とした従来の治療では奏効率20%,PFS 6カ月間であったのが,bevacizumab併用による治療の奏効率は50%以上となって生存期間も3年間がみえてきた.さらにcetuximabやpanitumumabなどのEGFRに対する抗体医薬も上乗せ効果が著明となった.その後,場合によるものの,固形癌ではアジュバント療法も使用されるようになり,乳がんの限定した状況では,いずれ手術は積極的には必要ではなくなるかもしれなくなってきている.(序文より一部抜粋)

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序文

はじめに

畠 清彦

国際医療福祉大学三田病院血液内科,同悪性リンパ腫・血液腫瘍センター


2000年に2つの抗体医薬が日本で承認,発売されて,抗がん剤治療は大きく進歩した.B細胞性リンパ腫に対するCD20抗体医薬rituximabと,Her2陽性乳がんに対するtrastuzumbである.これらの薬剤は奏効率20%の向上,無増悪生存期間の延長,QOLの向上,全生存率20%の向上などの著明な改善をもたらした.続いて転移性大腸がんにおいて,5-FU/LVというフッ化ピリミジンを中心とした従来の治療では奏効率20%,PFS6カ月間であったのが,bevacizumab併用による治療の奏効率は50%以上となって生存期間も3年間がみえてきた.さらにcetuximabやpanitumumabなどのEGFRに対する抗体医薬も上乗せ効果が著明となった.その後,場合によるものの,固形癌ではアジュバント療法も使用されるようになり,乳がんの限定した状況では,いずれ手術は積極的には必要ではなくなるかもしれなくなってきている.

さらに抗体医薬は改良を続けて,構造的にはキメラ抗体からヒト化抗体,完全ヒト化抗体へ,抗体によっては糖鎖を工学的に安定なものに改良したCCR4抗体医薬であるmogalizumomabのように,これまでまったく治療法のなかった疾患に対して効果の見込まれる抗体医薬が日本から開発された.またantibody drug conjugateといって,抗体医薬に抗がん剤を結合させたものも応用されている.まずCD33抗体にcalicheamicinという微小管阻害剤を結合させたgemtuzumab ozogamicin,CD30抗体医薬にMMAEを結合させたbrentuximab vedotin,Her2抗体に結合させたtrastuzumab emansine,CD22抗体医薬inotuzumab ozogamicin,がある.すでに放射性同位元素をつけたものも開発されており,使用されている.

また骨髄腫における抗体医薬としては,CS1に対する抗体医薬elotuzumab,CD38に対するdaratumumabが承認された.これによって,慢性骨髄性白血病で得られた分子生物学的寛解が,この抗体医薬の併用で骨髄腫においてももたらされようとしている.

さらに,免疫チェックポイント阻害剤の抗体医薬は,作用機序の点から画期的なものである.IpilimumabはCTLA4抗体医薬でメラノーマに対して,さらにnivolumabはPD-1に対する抗体医薬で,メラノーマから肺がん,Hodgkinリンパ腫,腎がん,胃がん,頭頸部がん,Merckel腫瘍など多くの適応拡大が続いている.さらにpembrolizumabも承認されてきており,すでに併用療法の試験も行われている.

さらに,CART療法という,T細胞にCD3,CD19といった抗原を遺伝子導入して,活性化したT細胞を戻す治療法も開発され,注目されているが,この際のcytokine releasesyndromeを抑制するのは,IL-6,TNFなどに対する抗体医薬である.このように,抗体医薬は広く使用されて,有害事象への対策にも使用され,管理体制も整いつつある.

本特集では,今後もさらに発展していく領域のトピックスに触れていただく執筆者を選ばさせていただき,企画した.

目次

1はじめに(畠 清彦)

総論

1.抗体医薬の効果と支える機序―シグナル伝達抑制から免疫チェックポイント阻害まで(三嶋雄二)

2.CTC(circulating tumor cell)―分子標的治療薬における臨床応用(松阪 諭)

各論

3.抗CD20抗体医薬―Rituximab,obinutuzumab(岡本晃直・冨田章裕)

4.抗CD22抗体医薬―Inotuzumab ozogamicin(安藤 潔)

5.抗CD33抗体医薬―Gemtuzumab ozogamicinの有用性(牛島洋子・清井 仁)

6.多発性骨髄腫に対する抗CD38抗体医薬―Daratumumab,isatuximab(石田禎夫)

7.抗HER2抗体医薬―TrastuzumabとADC(澤木正孝)

8.抗VEGF抗体薬の実際(岡村直香・辻 靖)

9.抗EGFR抗体薬―Cetuximab,panitumumab(川添彬人・設楽紘平)

10.Aggrus/podoplaninを標的とした抗体医薬の開発(藤田直也)

11.抗CD30抗体薬物複合体(ADC)―Brentuximab vedotin(伊豆津宏二)

12.免疫チェックポイント阻害剤―Ipilimumab,nivolumab,pembrolizumab(榎田智弘・田原 信)

13.BiTE抗体―Blinatumomab(丸山 大)

14.骨転移に作用する抗体医薬―Denosumabを中心に(三嶋裕子)

副作用

15.抗体療法後のB型肝炎ウイルス再活性化のリスクとその対策(楠本 茂)

16.がん抗体医薬による心血管毒性の診断と治療(岡 亨・向井幹夫)

トピック

17.抗体医薬の医療技術評価(HTA)(池田俊也)

18.感染症に対する抗体医薬―BezlotoxumabによるClostridium difficile感染症再発予防(吉田順一・三鴨廣繁)


サイドメモ

 肝中心静脈閉塞症(VOD)・類洞閉塞症候群(SOS)

 CLEC-2を標的とした抗体医薬の開発可能性

 Blinatumomabの耐性機序

 ラジウム223(Ra-223)

 B型肝炎に対する抗ウイルス薬(核酸アナログ)投与中および投与終了後のHBV-DNAモニタリング

 感染症と抗体医薬

 ClostridioidesまたはC.difficile感染症(CDI)

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書籍情報

  • ISBN:9784006026501
  • ページ数:120頁
  • 書籍発行日:2018年4月
  • 電子版発売日:2021年7月14日
  • 判:B5判
  • 種別:eBook版 → 詳細はこちら
  • 同時利用可能端末数:3

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