循環器病予防エビデンスブックVol.1

  • ページ数 : 188頁
  • 書籍発行日 : 2021年6月
  • 電子版発売日 : 2021年7月28日
¥4,620(税込)
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商品情報

内容

循環器病予防の全貌をつかむためのエビデンスブック第一弾が登場!

●脳卒中と心疾患の近年の動向とその要因となる疾患・危険因子について、国内外の代表的疫学研究を網羅的にレビュー.
●循環器病予防学会誌総説シリーズをベースに,最新情報とコラムを加え、図表を多数用いてビジュアルに解説.

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序文

刊行にあたって

循環器病の発症や予防に関連するエビデンスは近年急速に集積してきました.種類も血圧と脳卒中との関連などに関するシンプルな報告から,治療中の人ではどの位リスクが低下するかなど詳細な情報が蓄積され,予防に関わる者が欲しいと思うエビデンスが揃うようになりました.一方で,2008年から特定健診・特定保健指導制度が開始された医療保険者による保健事業では,重症化が予測される人への保健指導として広がりを見せ,保健指導が保健事業の重要分野として確立しつつあり,保健指導の裏付けとなるエビデンスの需要は急速に高まってきています.

従来,わが国には循環器病の疫学に関する概括的な総説書が少なく,初学者や保健指導の実務家にとって敷居の高い状況でした.その結果か,専門家と保健指導実務家との知識格差がますます大きくなっていることを実感しています.

こうした事態を受け,当学会では数年前から循環器病予防に関わる研究成果について気鋭の先生方に依頼し,幅広い視点からエビデンスをまとめたものを総説シリーズとして学会誌に掲載して参りました.このシリーズは現在も継続していますが,ここまでの成果をまとめて「循環器病予防エビデンスブック」として刊行できることになりました.

本エビデンスブックは,専門家とそれ以外の方々との情報のギャップを埋めることを最大の目標とし,予防を志す医療者・教育者・実務者に信頼できる情報を提供するもので,まさに時宜を得たものと考えられます.他分野の研究者がこの分野の到達点を俯瞰するのにも最適なものとなっていますので,広く活用されることを期待しています.

このエビデンスブックは好評であれば,随時続巻を発行していく予定と聞いています.今後の循環器病予防がどこへ向かうべきかを考える際に,最新の情報を提供するシリーズに発展していくことを期待しています.


日本循環器病予防学会 理事長

生活習慣病予防研究センター 代表

岡山 明



編者序文

2017年3月,日本循環器病予防学会理事長である岡山明先生のご提案により,日本循環器病予防学会誌に「総説シリーズ」の連載が開始されました.このシリーズは,わが国の循環器病予防の全体像について,会員及び国内の保健医療専門家,行政関係者などが広く学ぶために,「記述疫学」「要因」「対策」「ライフコース」の4つの視点から,各テーマをリードする専門家にご執筆いただいているものです.

本書「循環器病予防エビデンスブック」は,これをベースに,最新の知見に基づくアップデートとコラムも加え,循環器病を予防するための取組みの基礎となるエビデンスを,専門外の医師・コメディカル・行政関係者にもわかりやすく解説する書籍をめざして編集されました.本書が,循環器予防に関わる全ての方々にとって,よい手引きとして少しでも役立ちましたら,望外の幸せです.

本書の刊行にあたり,大変お忙しいなか玉稿を賜りました各執筆者の先生方,出版社・学会等ご関係の皆様に,心より感謝申し上げます.


2021年5月

日本循環器病予防学会誌 編集委員会 委員長

滋賀医科大学 教授

三浦克之

日本循環器病予防学会誌 編集委員会 副委員長

帝京大学 主任教授

大久保孝義

目次

刊行にあたって

編者序文

A 総論

循環器病予防のエビデンスはどう作られるか

 I エビデンスとは何か

 II 循環器病の原因と危険因子

 III 疫学的エビデンスの落とし穴

  1.因果の逆転

  2.多様な集団のメタアナリシスの問題点

  3.「ビッグデータ」とエビデンスの質は異なる

  4.生活習慣の修正に関する長期間のRCTは困難

  5.個人の生活習慣の把握の難しさ

  6.交絡因子の影響の調整

  7.産業界による利益相反

B 循環器病を引き起こす要因は何か

B-1 脳卒中の危険因子

 I 脳卒中罹患率の時代的推移

 II 脳卒中危険因子の有病率の時代的推移

  1.高血圧

  2.糖尿病

  3.脂質異常症

  4.肥満

 III 危険因子と脳卒中発症の関連

  1.高血圧と前高血圧症

  2.糖尿病・糖代謝異常

  3.脂質異常症

  4.肥満

  5.喫煙

  6.飲酒

B-2 心疾患の危険因子

 I 高血圧

 II 脂質異常症

 III 糖尿病

 IV 喫煙

 V 肥満

 VI メタボリックシンドローム

 VII 慢性腎臓病

B-3 食塩摂取と循環器病

 I 食塩と高血圧

 II 食塩と循環器病,予後

 III わが国における食塩摂取量の現状と課題

B-4 野菜,果物摂取と循環器病

 I 日本人における野菜,果物摂取の現状

  1.野菜,果物摂取量の推移

  2.野菜,果物から摂取される主な栄養素

 II 野菜,果物と循環器疾患,およびその危険因子の関連

  1.野菜,果物と高血圧の関連

  2.野菜,果物と循環器疾患(冠動脈疾患,脳卒中)の関連

 III 野菜,果物に含まれる非栄養素機能性成分

B-5 タンパク質・脂質・炭水化物摂取と循環器病

 I タンパク質

  1.栄養素としての特性と食事摂取基準における各種指標

  2.タンパク質と循環器疾患リスク

 II 脂質

  1.栄養素としての特性と食事摂取基準における各種指標

  2.飽和脂肪酸

  3.n-3系,n-6系脂肪酸

  4.食事性コレステロール

 III 炭水化物,食物繊維

  1.栄養素としての特性と食事摂取基準における各種指標

  2.炭水化物

  3.食物繊維

B-6 食事パターンと循環器病

 I 和食パターンと糖耐能異常

 II 和食パターンとがんリスク

 III 和食パターンと心血管疾患リスク

 IV 健康減塩和食スコアと総死亡,疾患別死亡

 V 最近の動向

 VI 今後の課題

B-7 飲酒と循環器病

 I アルコールの心血管作用

  1.血圧への急性効果

  2.血管への作用

  3.心臓への作用

 II 飲酒と高血圧

  1.疫学研究

  2.実験研究

  3.臨床研究

  4.高血圧管理におけるガイドライン

 III 飲酒と心疾患

  1.心筋症と心不全

  2.虚血性心疾患

  3.不整脈

  4.全心臓病

 IV 飲酒と脳血管障害

  1.出血性脳卒中

  2.虚血性脳卒中

  3.全脳卒中

 V 飲酒と末梢動脈疾患,全循環器病

  1.末梢動脈疾患

  2.全循環器病と死亡率

 VI 飲酒パターンと循環器病

B-8 喫煙と循環器病

 I 能動喫煙と循環器病リスク

  1.能動喫煙による循環器病リスクの上昇

  2.能動喫煙と他の危険因子の合併による循環器病リスクの上昇

  3.卒煙による循環器病リスクの低減

 II 受動喫煙による循環器病リスクの上昇

 III 喫煙が危険因子である認識

B-9 身体活動と循環器病

 I 身体活動とは

 II 身体活動疫学研究の歴史

 III 身体活動と循環器疾患

  1.身体活動と虚血性心疾患・脳卒中

  2.体力と虚血性心疾患・脳卒中

  3.座位行動と虚血性心疾患・脳卒中

 IV 日本人の身体活動の現状と対策

C 日本の循環器病とその危険因子の動向

C-1 脳卒中の動向

 I 世界における脳卒中の推移

  1.脳卒中死亡率・発症率の推移

  2.所得別のトレンドと中国農村部にみる爆発的増加

 II わが国の脳卒中推移

  1.脳卒中死亡率・発症率の推移

  2.背景因子の推移と生活習慣改善のポイント

C-2 心疾患の動向

 I 心疾患の推移

  1.冠動脈疾患・心不全死亡率の推移

  2.冠動脈疾患罹患率の推移

  3.心不全罹患率の推移

  4.冠動脈疾患の国際比較

  5.その他心疾患の推移

 II 冠動脈疾患の時代的推移の要因

C-3 大動脈疾患の動向

 I わが国における大動脈疾患死亡の危険・抑制因子

  1.高血圧

  2.喫煙・受動喫煙

  3.飲酒

  4.魚の摂取

  5.BMI

 II 大動脈疾患の発症数に関する報告

 III 剖検での報告

 IV わが国における大動脈疾患死亡の動向

 V 国際的な大動脈疾患の死亡の動向

C-4 高血圧の動向

 I 血圧値の分類

 II 診療室血圧に基づく高血圧の管理とその推移

  1.高血圧有病率および血圧値の推移

  2.高血圧治療率・管理率の年次推移

 III 家庭血圧を加味した高血圧の管理とその推移

  1.血圧測定法の推移:診察室血圧から家庭血圧へ

  2.家庭血圧による高血圧分類と循環器疾患リスク

  3.仮面高血圧の有病率・管理率

 IV 血圧測定法の推移と血圧測定時の留意点

  1.血圧計の選定・管理

  2.血圧の正しい測定方法

C-5 糖尿病の動向

 I 糖尿病の定義

 II 糖尿病の有病率,有病者数

  1.世界の動向

  2.わが国の動向

  3.糖尿病実態調査

 III 糖尿病の患者数,治療率の動向

 IV 糖尿病合併症の動向

  1.急性合併症

  2.糖尿病の細小血管障害

  3.糖尿病網膜症,糖尿病性神経障害,糖尿病性腎症の合併頻度

  4.糖尿病の大血管障害

  5.合併症の予防

 V 糖尿病における生命予後の動向

  1.糖尿病予防の動向

  2.血糖管理の動向

  3.糖尿病治療薬の動向

C-6 血清コレステロール値と脂質異常症の動向

 I 血清総コレステロール値および脂質異常症の有病者数の推移

  1.国民健康・栄養調査と循環器疾患基礎調査による報告

  2.CIRCS(Circulatory Risk in Communities Study)研究による報告

 II 血清総コレステロール値に影響を与える要因

 III 血清総コレステロール(LDLコレステロール)値の上昇抑制

 IV 血清HDLコレステロール値の推移

C-7 肥満・メタボリックシンドロームの動向

 I 肥満の定義と有病率の推移

  1.体重からみた肥満:過体重

  2.内臓脂肪蓄積に注目した肥満:腹部肥満

  3.わが国の肥満の有病率および肥満関連指標の推移

 II 小児肥満の有病率の推移

  1.小児肥満の定義

  2.わが国の小児肥満の有病率の推移

 III 肥満の有病率の国際比較

 IV メタボリックシンドロームの疫学

  1.メタボリックシンドロームの歴史と考え方

  2.メタボリックシンドロームの有病率の推移


索引


column

 (1)脳梗塞の臨床病型と危険因子

 (2)血液中の脂質と脂質異常症

 (3)塩分チェックシート

 (4)野菜,果物の摂取と社会,経済,文化的要因

 (5)カロテノイドに関する疫学研究:三ヶ日町研究

 (6)低炭水化物ダイエットと循環器病

 (7)形質・疾患に関連する遺伝子解析方法

 (8)アルコール飲料の種類と循環器病

 (9)メタ解析(メタアナリシス)

 (10)新型タバコ

 (11)活動量計を用いた低強度身体活動の研究

 (12)頸動脈内膜剥離術(CEA)と頸動脈ステント留置術(CAS)

 (13)頸動脈プラークの定義と循環器病イベントとの関係

 (14)新型コロナウイルス感染症(COVID-19)と脳梗塞

 (15)脳卒中と循環器病克服5カ年計画

 (16)大動脈疾患の病態

 (17)有病率・治療率・管理率および血圧値の算出方法

 (18)“臨床イナーシャ”の問題

 (19)循環器疾患の予防・管理における低コレステロール血症の取り扱い

 (20)メタボリックシンドロームと高コレステロール血症

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書籍情報

  • ISBN:9784263732007
  • ページ数:188頁
  • 書籍発行日:2021年6月
  • 電子版発売日:2021年7月28日
  • 判:B5判
  • 種別:eBook版 → 詳細はこちら
  • 同時利用可能端末数:3

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